2025/11/06 のログ
影時 > 己は兎も角、二匹はやはり鼻が利く分、好みじゃない匂いにはうるさい。
酒を吞んでて腰が重い親分となれば、安全な隠れ家(シェルター)の中でふて寝のひとつでもしけこみたくなるか。
今回の件は、最初から雑嚢の中に放り込まれっぱなしだった、ということも若しかするとありそうだ。
過保護過ぎかねぇ、とは思わなくもない。――毛玉のキモチになるのも難しいものである。
小さく息を吐きつつ、酒を呷る。彼らのおやつがてら頼んだナッツとドライフルーツ類は、己のつまみでもある。
塩はかかってない。味わいなどが気になるなら、一緒に食べて呑む位が丁度良い。

後、ついでに云うなら――、

「……良い女でも居たらさらに良いが、欲が深いかねぇ」

酒場での独り酒はいつものことだが、浸ってばかりもいられない。次の、次の次の金策、一手も考えないといけない。
学院の講師、家庭教師の仕事は平常運転、日々の糧の基本として、冒険者であることを止められない。
王都から離れた遠い処にも、危険地帯にも行ってみたい。
先日の未踏破遺跡は暫く封鎖されることだろうが、侵入経路が別にあるのでないか?と唱えている者も少なくなかった。

ギルドからすれば頭が痛いことかもしれない。
だが、考えなくもないだろう。都市一つと思える位に広大ではないか?というなら、他に入口はあるのではないかと思うのは。
同時に考えなくもない。実は、進入したのは異界に接続している、拡がっている領域ではないのか?というのも。
懐深く、奥も先もある広大な領域は、地下に蟻の巣のように広がっているとしたら、辻褄が合わないと宣う識者も偶に居る。

今すぐは、そこまでリベンジに血眼になるまではあるまい。
自分達の精進に、同道出来る腕利き、有望な後発の発掘――考えるべきは色々ある筈だ。

影時 > とりあえずは――、地固めか。

我欲ばかりではいられない。気になる動きの把握もしておきたければ、自分たちの城の守りも固めておきたい。
長く住まいとした宿を近々辞するとして、その後のことを考えておく必要は出てくる。
外敵、襲撃者が再度出てこないとは限らない。場所柄を考えず、大っぴらにということもあり得るかもしれない。
考えるだに面倒しい限りだが。宿に迷惑が掛かるという憂い自体は一つ減る。あとは……。

「……色々仕込んで、様子見つつといくかねえ。もう少し落ちついたら、シェンヤンにでもまた出向いてみるのもいいか」

次の、次の、また次の旅先に思いを馳せる。帰る場所が出来ても性分は変わらない。
卿経由での依頼、盗賊ギルドの依頼を請けるのもいい。港湾都市絡みの依頼も幾つか、気になるものがある。

鎮魂の酒に浮かぶ氷が解けきるまでは、ちびちびと遣ろう。
呑み終えて酒場を出る頃まで、月はどれだけ沈み、傾いていることか……。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/酒場」から影時さんが去りました。