2025/09/10 のログ
ブライト > 膝の部分はベージュ色の砂汚れを残しながら、ひとまず荷物の受け取りに行かねば と歩くなか
極めて特徴的な高く元気のいい声が聞こえる。

(揉め事かな……?)

くたびれ気味だった男は歩みを止め、声の方向へ振り返る。
落とした?わざわざ呼びかけてくれるなんて優しい人がまだまだいるから世の中捨てたものじゃない。

……と感心していた矢先、己のポーチを見つめ

「……あっ!!!??」

もしかして と青ざめる。
その辺のポーションや薬と勘違いして飲むと人によっては逆に猛毒にもなりうる危険な代物だ。
男は全力疾走で声のもとへ駆けつける。

「ッハァ、ハァ、ハァ、ハァッ……!!!……どこ、どこ……!!すいません!呼びましたか!!」

慌てた様子で戻ってくるメガネがずり落ちた、ひどいクマが目立つ男が何かを探す様子で声の主を探してきょろきょろしている。
とにかく急いだので激しく息切れ。その場でぐでーと膝に手をついて肩で息をしている有様

メイベリーン > 「……」

来ないな。

聞こえないのかな。

思いっきり息を吸い込むと、声が甲高さを超えてカエルの鳴き声のようにつぶれるまで声を張り
「すいませ!!!!!!!!」
すると、慌ててやってくる、見たことあるお兄さんの姿。
「……うん、呼んだよ。……あっ、先生じゃあん!!!!あたしあたし。」
こないだぶりー、とプニプニした手を振りながらニコニコと。
「ダメだよお先生死にそうな顔してる〜。」
と、言いながら拾ったものを、ん、と差し出す。
「危ないものみたいね?返すね?」


ところで先生はなんでそんな急いでるの、と尋ねる。
「あっマドレーヌさん探してるのもしかして」

などと揶揄う。

ブライト > 必死こいて戻って来たものだから髪は乱れ、メガネはナナメにずれ。
まるで単位が危うい癖に寝坊をかましたギリギリの学生の如く青ざめた男は平民地区に住まう者なら知ってる人もそこそこいる町医者だ。

「メイベリーン、君だったのか……危なかったよ。本当に助かった……はぁ……」

メガネの位置を整え、心底安心した様子の男は顔見知りの少女……ある娼館では若いながらも評判の女の子である。
なんでも、彼女の指名のため身の丈を超えて踏ん張る者までいるぐらい。

とにかく色々と”すごい”らしい。口で聞いて納得せず是非男性諸君は直に確かめて欲しいものだ。

「ありがとう。想像してる通り、危ないもの……って、こら。何を言い出すんだい…!」

徐々に呼吸が落ち着き、アンプルを受け取ってポーチにしまった後に聞こえてくるのは、
彼女と同じ職場に勤める麗しの女性。彼女とは異なる魅力で幾多の客を虜にしている慈母の如き……
流石にどきっとしたようで、会えたら嬉しいな という気持ちは隠さなかったが赤面する。

「まるでボクが性質の悪い追っかけみたいじゃないか。
 まぁ……本当にそういう人たちが現れるぐらい君たちが魅力的なのは事実だけどね。
 君も、気を付けなよ……?」

まだ若いし、邪悪な目論見で近づこうとする輩は無数にいるだろう。
店の中なら監視の目があるが、外ではその限りではない……何せ物騒なのだ。

メイベリーン > 「違うの?だって先生…見る目が違うじゃない?ひょっとして…?」
少々手玉にとって、ニヤニヤと笑う。
「……ふぅん。先生はそういう顔するんだぁ……」
真っ赤になるのは、素顔の表れと彼女は思ってる。
「だいじょーぶ。健康な証です。」
などと先生がいつか言った言葉をそのまま返す。

お仕事で疲労が溜まる。気持ちが塞ぐ。なんか寒暖差で具合良くない。
そんな時に行くと大体しっかり処方してくれる。
(先生の診療所、おすすめよう!)
いつもお世話になっている先生にも、そんな男性としての感情がある…「そんな感情」はしょっちゅうこの目で見るけれど、自然発生の、もっと慕情に近いものは、みてわかる。

「…ううん?いい人ばかりだよ?…たまには変な人もいるけど…気にしてないよ?でも気をつけるね?」

そう、ここは外。
店の中ではないから、守ってくれるものはない。
そして治安は、平民地区でも、時に確実に、よくない。
春を売るということは、恋愛の模造品を売っている、ということ。
そして人間が皆真贋がわかるわけではないということも、先生の言うとおり。

「ここで立ってるのもあれだしぃ、いっしょにいく?わたしお店まで行くんだけど、どう?」

このメイベリーン、あどけない外見だけれども、ソレはここが屋外で、公共の場で、要するに何から何まで職場の正反対だから、手練も手管もだしてない、ということ。

メイベリーンは先生よりも背が低く、ちょっと見下ろせるくらいの身長差。
その

ブライト > 「あー……ええと……それはだね……うーん……」

視線が泳ぎ、冷や汗を垂らす男。
マドレーヌさん この男に限らず無数の男性が夢中になるであろう麗人。
娼婦というよりも、心身による奉仕で荒んだ心を洗い流してくれるような存在が近しい。
内心では、会いたいに決まってる と吹っ切れた気持ちも強くなるなか、事実上認める形で言葉に詰まる。

「ははは、健康……維持しなきゃね」

患者にも口を酸っぱく言っている言葉を、苦笑いしながら弱弱しく語る。
診療所での自分が、どのように映っていたのかを何となく察しながらもごほん!と咳払いして。

あまりピンと来てない様子だが、気を付けると約束してくれれば、うんうんと優しく頷き
「そうだね。方向が同じだから、一緒に行こう」

なんだかんだ、年相応に幼く華奢な女の子だ。あれだけ評判なら悪意の目がどれだけ向いてるか想像に難くない。
オトナとしての責務もあるが、慕ってくれている子に悲劇が起これば自分を責めずにはいられないから。

二人で歩きながら、何気ない世間話をしながら歩いて行く。

彼女の口から名が挙がったマドレーヌの他にも、同僚がいる。
珍しく在籍している男の子のアメデオや、職場の人とは仲良さそうなのかなと娼館の人間関係に興味を持ったり。
ずっと個人経営だから、仕事仲間という存在は己には想像しがたい存在で。

「大変そうだけど、楽しそうだね」

メイベリーン > 「うん。叶うといいね!」
夢は大きく。ライバルは多い。
「とりあえず先生は運動かなって思う。ずっと座ってるし。わたしもそんな軽くないんだよ?」
メイベリーンの会話は適当で軽い。ちゃんと応じているけれど、接客業で生きてる人の所作ってやつで。
暗に、体力はあった方がいいよぉ、と示している。
わたしが抱えられなかったら、マドレーヌさんも抱えられないよ、と。


メイベリーンは、空気と風は読めるけれども、知力はそんなに良くない。
論を組む、なんていうことになるとオズワルドくんなどの学院の生徒にも多分負ける。ブライト先生と比べれば確実に開きがある。

道すがら、お店の話とか、面白かったお客の話とかをしながら

「アメデオくんはねえ。修行に来てるんだって。実家、役者らしいの。お姉さまたちに人気みたい。」
細身で繊細、しなやかな所作の、アイドル性の高い少年なのだ。そして修行ということは、いつかは、やめるのである。

「ローズマリーさんは偉い人。大ベテランで、なんかすっごい高いお店にいたみたい。」

「いつもカウンターにいる黒服のおじいちゃん、若い時はめちゃくちゃ美形だったらしいよ。今高齢者さんだけど」

他にも、物書きでもあるアンジーさん、冒険者だったバレンシアさんの存在も話す。先生は頭いいから、アンジーさんとは話し合うかもだけど、遊ぶよりお喋りで2時間終わりそう。などと彼女は言った。


この仕事は、楽しいと思う。楽しく見えているということが、少し嬉しい。
「ありがと。先生の仕事もかっこいいよ?一人でみんなを助けるなんてスーパーヒーローじゃない。抱いて!って感じ」
えへへ、と、十代の面影が濃い笑顔。
「うちの近所の子も、先生にめっちゃ感謝してるよ。優しくていい先生だって。先生はそのままでいてね?」

そろそろメイベリーンの勤務先=お店の近所になる。

ブライト > 叶うのだろうか……。世の中には大枚をはたいて他人の人生を買えてしまう者もいる。
それに……誰か一人だけの女になる生き方を選ぶかどうか……などと遠い目をしながら

「うっ"っ"……」

運動。痛いとこを突かれて軽く白眼を剥く。座りっぱなしなのは間違いない。
入院患者の介護なども必要なので体力は必要だが、正直追い付いてる感じがしない。
軽くない 恥ずかしげもなく告げる彼女の華奢な体格を見直して……確かに と頷いた。
服を着ていようがお構いなしにでかでかと自己主張する見事な胸囲を見れば、相応に全身の肉付きも言わずもがなだろう。
……その実、驚くほど筋肉質なのは彼女の性技を味わえば身体で知るだろうが。

「役者……素敵な夢だ。……でも修行で、そういう仕事をさせるって親御さんもなかなかだな」

うーむ と、常人には計り知れない教育方針には理解が難しそうな顔で眉をひそめる。
まだ若く純朴さと艶やかさを兼ね備えた少年……さぞ可愛がり甲斐があるだろう。
とはいえ、性商売となれば色々気苦労も多いだろうに と応援や同情が入り混じった複雑な気持ちで。

「いい年の取り方をしたご老人は、顔つきに出るものさ。大人になってから気付く魅力ってやつだよ」

たくさんの孫に囲まれ、心底幸せそうな老婆。誰にでも気さくに声をかけ、親しまれる元職人のおじいさん。
もちろん、悪い意味で顔に表れている者だっている。きっと、多くの人間と触れ合う彼女も言葉に出来ずとも直感で分かるかもしれない。

聞けばたくさん出て来る同僚の話に、充実した人間関係を感じた男は自ずと口角が上がり楽しそうな顔で聞き入っていた。

「……一人かあ。……そう見えてるだけで、実は結構色んな人のお世話になってるよ」

診療所の患者さんや近くの店員さん、場合によっては患者の知り合い。
またある時はメイベリーンやマドレーヌとの繋がりで縁が生まれた者……


「……ぇ、えっ!!だ、抱く!?」

抱いて! その言葉を真に受けた男は硬直し、あんぐりと口を開く。
周りの視線を気にしながら、やめなさいやめなさい と必死に人差し指で「しーっ」と合図。

ちょっと気まずいながらも、店の前までやってくれば

「そろそろだっけ?今日もお仕事頑張って。落とし物、本当に助かった……感謝してるよ。
 メイベリーンも、体調以外に困った事があればボクや周りを頼ってね」

メイベリーン > 常識的に考えれば、叶わない。
でも、やってみるのは自由。
やってみたことで、夢は叶わなくても、得るものがあるかもしれない。
だから…そんなことを彼女は言った。勢いで。直感的に。

メイベリーンはこう見えて獣人だから、ただの人間より力がある。
肉付きがあるから当然軽いわけはない。それでも、見た目よりは重い。

アメデオくんについては…
「色気を身につけろ、って言われても…あたしの地元、田舎だからよくわかんないんだぁ…」
芸能界ってよくわからないよね、と彼女はこぼした。
談笑は余計体力仕事なので、ソレはきついという。何しろ実弾数に限りがある。

「…うん、わたしもわたし一人で生きてるわけじゃないみたいよね。うちの魔女の先生がなんかそういうことよく言ってるんだ」
平民地区のにわとこ商店というお店の、主人。全ては繋がっておる、とか、メイベリーンから見るとよくわからないことを言っているように聞こえる。

「そうだよ?抱いて?先生だったらいいよ?」
微妙に鼻にかかった声でちょっとだけ詰め寄る。
ぴとり、と先生の手に、指を絡めて、ふふり、と少しだけ艶っぽく笑った。

「お仕事前だからキスちょうだい?…ってじょーだん⭐︎…でも先生だったらいつでも歓迎だよ?そのうち来てね?」
唇に指を当て、ふわっと投げキッスをした。

「先生も、なんかむしゃくしゃしたら遊びに来てね!お話だけでもいいよ?」

こつこつ、と石畳の上を歩くと、後ろ姿の気配がだんだん変わってくる。
頭身も体型も変わらないのに、ふわっとした香りがするようで。


(もし、周りで心が辛い子がいたら、先生を頼ろっかな)

そんなことを考え、振り返ると、にぱ、と笑った。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からメイベリーンさんが去りました。
ブライト > 色気 とはまた自分には難しい概念だ。
異性を魅了する彼女たちでも思い悩むようであれば、自身にはなおさら理解が難しそう。
中には蔑視する者もいる娼婦という仕事だが、彼女なりに信念をもって取り組んでるように感じる。
よくわからない と語るメイベリーンには暖かく見守ったまま心の中で頑張れと繰り返す。

「へぇ、豊かな人生を歩んだ人が身の周りにいるんだ。……そういう大人が周りにいるのは、運がいいことだよ」

きちんと周りには色んな意味で守ってくれる大人がいるようだ。
彼女のどこか危なっかしく感じる無防備さ……純粋さは、見てて不安にはなるが失って欲しくはないから。

「そ、そんな事言われても……っふぅ。お客さんが本気に受け止めて、うちに殴り込んで来たらシャレにならないから」

艶事に興味がない訳ではないが、色々と男として不安になる部分が残る。
そもそものテクニックもそうだが、ブツも並で他の刺激的な男に比べ退屈ではないだろうか……。
そうこう馬鹿真面目に考えてると「お話だけでも」という声にはにこやかに

「ありがとう。君のお店か、それともどこかでまた喋ろうか」

そっと手を振って見送ると、店内に足を踏み入れ見えなくなるメイベリーンの姿に触発され


「……さて、仕事のための仕事だ」

男も自らの用事を終わらせようと、白衣の襟を整えて再び歩き始めた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からブライトさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にシェンさんが現れました。
シェン > 平民地区の商店区
とはいえこの時間だと空いてる店もなく人気は一切ない
そんな広い路地の隅っこ、大きな木箱の前に少年はいる
痩身で手足も細い
顔立ちも中性的で少年とも少女とも見えるが来ている服装は簡素な男物のチノパンに襟なしのシャツ
そんな少年は木箱の上の真っ黒な野良猫を両手で抱えている
野良猫は人馴れしてるのか抱えられても大人しくじっとしてて、「にゃー」と少年をまっすぐ見たまま鳴いていて

「大丈夫だぞ、お前らは苦いしまずいし食うとこすくないからな、食わないぞ」

なにやら不穏な事をいう声は声変わりもまだのようで高い
かるいなーオマエと言いながら猫を上下にちょっと揺すってから木箱に下ろす
ポケットから取り出すのは干し肉。 右手で欠片を持ちながらガジガジと噛んでいると、猫もクレクレと干し肉に顔を近づけようとして

シェン > 「だめだぞ?これはオレ様のものだからな!」

ふっふーんとたかが猫相手に鼻を鳴らし干し肉を自慢する
猫のほうがくれくれと何度も少年ににゃあ、にゃあと鳴いて

「うーんしょうがないな、ちょっとだけやるか
オレ様は優しいからな!」

干し肉をちぎって木箱におくと猫はがじがじとほしにくをかじる。少年も干し肉をかじりながら

「よっ、っと」

と木箱に座る。 今日も温かい夜だし今日は朝までここで寝てもいいだろう。

「うまいか? うまいよな? そーだよな、肉はうまいもんな!」

猫の返事をきかずにワシャワシャと猫の頭を撫で回して

シェン > 干し肉をたいらげた猫はもっとくれとシェンの膝にのって手をちょいちょいと出して少年にちょっかいを出す
「もうないぞ」と乱暴な手つきで猫をワシャワシャ
ちょっと雑に撫でられるのが平気なのか猫はゴロゴロと喉を鳴らし目を細めてる

「そうだよな、肉はうまいよな! でもこの時間は店がやってないからな――ん? 肉は店の中にあるんじゃないか?
んー、じゃあちょっと魔法で壁に穴をあけて干し肉だけもらうか」

なんか物騒なことを思いつく。 たかが干し肉が今たべたいという理由で押し込み強盗のような真似を考えて
しかしどこの店のどのあたりにそれがあるかわからない
少年は料理なんかできないので干し肉以外の食材なんか手に入れても困る
うーんうーんと考えて

「ちぇー、ちょっと店があくまで待つか
日が登れば店が開くからな……どうだすごいだろ、オレ様はもう、この王国のしすてむってやつを理解してるんだぞ!」

鼻を鳴らして猫に自慢してるあたり言ってることは本気らしい

シェン > 「よーしネコ、寝るぞ!」

木箱の上で丸まる少年。 猫はちょっと考えるように少年を見て、少年の顔の前で丸まる
きままに街で生きる野生児はそのまま眠って

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からシェンさんが去りました。