2025/08/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド併設酒場」にケストレルさんが現れました。
■ケストレル > 「よーっす……今日は静かな方だな……」
冒険者ギルドに併設された酒場の扉を開け、屋内を見回したケストレルは開口一番にそんな感想を漏らした
既に日も沈み、普段なら出来上がってる常連の一組や二組あるものだが、この日に限っては客入りも疎ら
何かあった?とギルドカウンターで訊ねてみれば、近郊に大型の魔獣が現れたか何だかで大勢出払っているらしい
「なるほど、そりゃあコトだな
俺も居合わせられりゃあなあ……」
どうも依頼が出されたのはケストレルが王都を離れている間だったらしく、乗り遅れたかと口を尖らせるケストレルに、
ギルド職員は今回の件が王国騎士と合同になるほどだと伝えた
それを聞いて不満顔からさらに苦虫を噛んだ顔になるケストレル
「そりゃあ……居合わせなくて正解だったかもしれねえ」
おー怖い怖い、と魔獣よりも身バレに対して呟きながら酒場へと移動し、空いてる席に腰掛けた
■ケストレル > 「麦酒と……今日のツマミはピクルスにでもすっか……」
肉か酢漬けか、どっちかと言えばサッパリさせたい気分
そんな事を宣って、酒と肴を注文する
あとはいつもよりも人の少ない酒場を、テーブルに肘を乗せ頬杖なんてつきながら眺めて待つのみ
「はー……これじゃナンパも侭ならねえ……
誰か別嬪さんが来たりしねえかなあ」
夕飯時だし、飯くらい奢るんだけどな―、と視線を建物の出入り口扉へと向ける
奢るとは言ったものの、常識的な範囲内でお願いしたいとか掌もくるくるさせつつ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド併設酒場」に夜宵さんが現れました。
■夜宵 > 夜――湿気を孕んだ風が、前髪を震わせる。
鈍く軋む、手ずれした扉を押し開け、夜宵はゆるりと足を踏み入れた。
冒険者ギルドの喧騒と、酒場特有の酒精の香が鼻をかすめる――
が、それらに気を取られる様子はない。
彼女の視線は、ひとところにすうっと吸い寄せられる。
「――やあ。夜分遅くにこんばんは。
今日も飲みに来ていたの?」
依頼上がりか外に居たのか、薄らと熱を纏いながら、
夜宵はつい此間知り合ったばかりの青年に声を掛けたのだった。
■ケストレル > ぼんやりと酒と肴を待ちながら、今後の予定を考える
暦の上では夏もそろそろ終わるはずだが、暑さが引くのはまだ随分と先になりそうだ
作物や漁獲には影響が出そうだ、もしかすると既に出てるのかも……などと考えていたところで、注文していた麦酒とピクルスが届く
「こうして気楽に酢漬け胡瓜なんて齧れなくなる……のか?」
活動のしやすさにも繋がるから、この暑さには早いところ御退場願いたい
そう思いながら麦酒を呷れば、耳に涼やかな声が飛び込んで来た
ジョッキに口づけたまま、声の主へと目を向ければ、見知った顔
「おお、夜宵さん
ちょっと依頼で遠出しててさあ、事も済んだし一杯やろうと思って今飲み始めたとこ」
ジョッキを下ろし口元の泡を拭う
夜宵さんも依頼終わりかい、とピクルスを指で摘まみつつ問う
■夜宵 > 以前ここに来た昼下がりの時とは違って、
夜は夜独特の喧噪がある。猥雑で、濃密で、雑多で。
それすらも笑い声と賭けの種に変わってゆく。
日常茶飯事、平時の一つの顔。
「何だか、少し難しい顔をしていたね」
彼の心中は察せるほどではないが、何かを案じるようにも見えたから。
ジョッキをあおる様子を見止めつつも、ケストレルの元へ向かった。
見た限りでは、此れから一杯――というところだろうか。
「ふふ、お疲れ様。
私も何か飲もうかな――…依頼帰りに向いてるようなの、とか。
それとも、君の中のオススメって、ある?」
そのまま手近な椅子を引き寄せて、流れるような所作ですとんと、座り込んだ。
真下には薄暗い橙の光が、埃と煙に霞んだ空気を照らす。
酔いと疲労と熱情が、ゆるやかに渦を巻いた気がした。
■ケストレル > 「いやあ、夜宵さんに会えたってだけで依頼こなした甲斐があったなーってもんだわ
……ええと、オススメかぁ
外、暑かったし……柑橘の果実酒なんてどうだろう、ライムとか」
勧めておきながら自分はいつもの麦酒なのだが、単に好みの問題なだけである
仕事上がりの一杯目は麦酒、そう決めているというか、駆け出しの頃の先輩の受け売りをそのまま続けているだけだ
それなら麦酒を勧めれば良いのだろうが、何となく、彼女がジョッキを呷る姿は想像出来なかったというのもある
「柑橘の酸味なら気持ち良く疲れも抜けてくし
あ、酸っぱいの苦手だったら、別に違うのにしても良いけど」
どうかな?と椅子に腰掛けた彼女の様子を見つつ問う
前と変わらず、東方の衣装をまとう姿は、エキゾチックで見飽きる事は無い、とほぅ、と感嘆の息を漏らし
■夜宵 > 「――あは、相変わらず素直なんだね。君は。」
ジョッキに注がれた黄金色の液体を飲みながら一息つく青年を見つつ、
ふむ、と独り言ちる面もあれど――ライム酒あたりをお勧めされるとなれば、
注文を給仕に頼み、暫し待つとしようか。
「ううん。折角お勧めして貰ったから、其れを頼ませて貰ったよ。
――酔えはしない方だけど、味が分からないわけでは無いからね。
ああ…見てる限りだと、麦酒も美味しそうに見えるかな。」
この地にたどり着いてから、麦酒の類は口にしたことは無い。
とはいえ、どちらかと言えばシェンヤンより遥か東から来たのであれば、其れもその筈。
女は、酒を待つ傍ら、ケストレルの手に握られたジョッキを見つめては、
「――どんな味、するの?」
等と、鈴を転がしたような声音と、少年の様なあどけなさを含ませて、問うた。
■ケストレル > 「どういう意味っすかー……」
自分に限らず、男であれば10人中9人は同じことを思うし言う事だろう
それを素直、だと評されるのは何だか腑に落ちないケストレルだった
「え――どんな味、と言われても言葉で説明し辛いな」
しかし、夜宵の関心が麦酒に向けば、ジョッキに目を落とし
端的に言ってしまえば苦い、けれどそれだけならなぜ飲んでるのかという事になる
うーんうーん、と少し考える素振りを見せてから
「……一口飲んでみる?」
と、ジョッキを女へと差し出した
飲みかけで良ければ、と付け加えて
■夜宵 > 「うーん…あえていうのならば。
この間のやり取りの印象が強かったから――なのも、ある」
トントン、と人差し指でテーブルを突く夜宵。
ライム酒が届くまでの――暫しの手持無沙汰。
少々、先日の件に思いを馳せる間があるだろうか。
揶揄うようでもあるが、本人は至ってケストレルを弄んでいる心算はなく。
「――おや、いいの?
じゃあ、ありがたく頂戴するね」
ジョッキを預けられるならば、微笑みつつ両手でジョッキを受け取った。
――く、と傾けて、唇から口に広がる苦みに、目をはっとさせた。
ぱち、ぱち、と瞬かせ、喩えるなら――ふむ。と自身の内側で咀嚼する一瞬。
「っ。は――……なるほど。
これ、舌先で味わうよりかは、喉で飲む様なもの、なのかい?
確かにこれは、苦いものだね…」
合点云ったとばかり。ジョッキを彼に返すと、
酒精で女の顔には赤みが差してくる。軽い酩酊ののち、
舌先で下唇をちろりと舐めた。
■ケストレル > 「ええい、早いとこ忘れて貰いたいんだけどね、あんなカッコ悪いとこ」
そのあとの色々と教えた部分だけ覚えていて貰いたい
先日の自分の醜態を思い出し、軽く呻きながら頭を抱えるケストレル
まあ、やってしまったものは取り消せないのは百も承知の上たが
「飲んだことないってんなら、本当に味見程度にしときなよ」
ジョッキを渡しつつ忠告も添えて
自分が初めて飲んだ時はその味に思い切り顔を顰めたものだが
今となっては当然の様に呷れるのだから、成長ってのは分からんもんだなと独り言ちる
そしてそのまま女が麦酒を口へ運ぶのを酢漬けを自身の口に放り込みながら見守って
同じジョッキで飲んでいるのに、気品を感じるのは彼女の佇まい故か、
思わず見入りながら、先日彼女が傾けていたのはグラスだったなと思い出す
「……っ
はは、苦いっしょ? 言う通り、味わうものじゃなくてガブガブ飲むもんだってさ
俺も最初の頃はそう教わったけど、理解したのはもっと遅くなってからだったなあ」
懐かしむ様に目を細めながら返されたジョッキを受け取って
白い肌が僅か赤く染まるのを見れば、酔えないと言っていた割に出やすいんだなと、そんな事を思う
唇を舐める姿も、何だか艶めかしく見えて、不埒な気持ちを流す様にジョッキ傾け麦酒を呷る
■夜宵 > 「――ああ、でもね。あの後の手続きや細々とした事とかは、
とても役に立ったよ。聞いてなければ、
一日中町中を練り歩いていたかもしれないし、ね。
感謝――してるんだよ?」
と、お礼の言葉を紡ぐも、視線を向ければ頭を抱える様子。
――こてん、と首を傾げては「カッコ悪いとこ…?」なんて鸚鵡返しにもなろう。
彼にジョッキを返したところで、給仕から届くライム酒。
切り分けたライムが淵に引っかけており、
酒精を上回る柑橘の香りが鼻梁を通り抜けた。
「――うん。確かに君の言った通り……ほろ苦いや。
のど越しで楽しむお酒は、経験が無かったから吃驚したよ。
ガブガブなんて――そんなふうに飲むには、
まだ私……ここに染まりきれてないのかも」
ほんの僅かに口角が上がり、喉奥から小さく、くつ、と笑いが漏れる。
喉を通るその重みを、まるで"心地よい痛み"のように味わっているようだった。
女は、ひと呼吸おいてから、どこか悪戯めいた口調で続けた。
「――ああ、此れでも酔ってないんだ。
私、顔に出やすいみたいだから、すぐ――照れたようになってしまうんだ。」
そんな風情を醸し出しているからか、グラスを呷る仕草は振る舞いは、
どことなく艶が滲む様な――…鈍い明りと喧噪の中で何かまた一つ、情が渦を巻いたようだった。
■ケストレル > 「そっちは努々忘れんようにしてもろて……
このギルド周辺なら、俺も顔馴染みだし……ケストレルの紹介で、って言えば融通利かせてくれるところもあるから」
冒険者としてだけではなく、騎士としてもある程度顔が知られている
厄介事の対応に当たったことも一度や二度ではなく、悪い言い方をすれば貸しがある店や施設も無くは無い
だからこの周辺で生活していく上で、特に手持ちの心許ない内は力になれることも多いだろう、と
頭を抱えながらも、ライム酒越しに夜宵へと告げて
「はは、いずれ染まる――いや、夜宵さんにはあんま染まらんで貰いたい気もするな……
うん、うん、やっぱり夜宵さんはそのままで居て貰いてえ……」
この街の、この国の雰囲気に染まってしまった彼女の姿を想像するが、どうにも心臓に悪いので頭を振って追い払った
ただでさえ時折垣間見せる艶っぽさが理性を擽って来ると言うのに、それが明け透けとなったらと考えるとどう考えても理性が保たない
「へえ……色が白いと赤くなりやすいらしいしな
ま、大抵は酒を飲めば赤くなるんだ、気にする事じゃねえ、うん!」
人が下心を追い遣ろうとしている傍から新たな火種が放り込まれてる気がしてならない
気のせい気のせい、依頼上がりで気が高揚し過ぎてる所為、と自分に言い聞かせながら空になったジョッキをテーブルに置いて給仕を呼ぶ
やや動きが大仰なのは、顔でこれだけ分かりやすいなら、より皮膚の薄い着物の下も赤く染まりやすいのだろうか、なんて考えてしまったからで
■夜宵 > 「うん。――君の名前を出してみて、すんなり通った事もあった。
こねくしょん?というものは偉大だね。」
紹介や仲居がうまく通らなくて困った事もあった。
顔見知りの名前を出せば、すんなり通るのもこの国らしい。
のっぴきならない事情というものは、己の身だけでは解決しない。
頭を抱える様子が其の儘なら、つんつんと肘を人差し指で突いてみたか。
「――私は私の儘だよ。
何物にも、何者にも――染まらない。
だから、そんなに心配しなくて大丈夫。
ただ流れるだけだから。」
まるで、清流の中に立つ石の様。激流に揉まれても動かず、
水を拒まず、触れられても、洗われても、
いつかまた静けさの中に還るような在り方の女。
ほんの少しだけ、何処か遠くを見ゆるような眼差しをした後に、
彼へ向き直っては、ライム酒を半分残しては、トンと卓の上へグラスを置いた。
酒精と、柑橘の香りが、ふわりと彼にも向かうだろう。
「……ふふ。下着だけじゃなくて、
そっちも気になってた?」
そこで言葉を切ってしまうと手首を捲り朱が挿す肌理が垣間見える。
きっと彼が思っていることが、夜宵の身の裡に走っているのだろうと知れるように。
見透かしたような、言の葉を残して。また袖口を正す、僅かな間。
■ケストレル > 「俺からも夜宵さんの事は前以て口利きしとくからさ
王都に居る間は、なるべく不便なく過ごせると思う」
度を超えた割引や、無償提供などはさすがに無理だけれど
そもそも彼女はそんな事を求めないと思えるし、杞憂にもならない
肘をつつかれ、そこでようやく頭を抱えるのを止めて
「そりゃあ、安心だ
いや、言うほど心配はしちゃいないけどさ
……まあ、その在り方は俺としても見習いたいもんだ」
冒険者というものは大抵我が強い人間が多い
そういう意味では、彼女は冒険者向きと言えるだろう
一方で自分は、と己を振り返るケストレルだったが、不毛だ、と悩む前に自ら止めた
此方へと向き直る彼女を見て、自然と背筋が伸びる
甘い酒精と爽やかな柑橘の匂いが鼻腔を通じて脳を擽るような気さえして
「またしてもお見通しって訳ですかい
そりゃあ、気になるさ 気にならない訳ない
それだけ女性として魅力的だし、夜宵さん」
振り払っても振り払っても残る男としての性を見透かされた気がして
それがカマを掛けただけだったとしても、隠したり誤魔化したりと言った方が良くない方へ転がるというのは先日学んだばかりで
それならば、と運ばれて来た新たな麦酒を手に、正面から彼女を見て頷く