2025/08/04 のログ
■パニア > 「うちもティア姉の事高評価ッス! 星5ッス! …………そういえば心の友が回復も出来るとかゆってたような……いや、あの子なんでも出来るけど回復までは無理だったッスかね……? って、何スかそのとりあえず同意しとこうみたいなノリはぁ!」
ぽかぽかぽかぽか。
生温かい目に対し、小さな拳の打擲で反撃。
無論加減の利いた戯れではあるが、ガントレットなので地味に痛いかも。
「け、けぇどぉみゃく……ッ。い、いいいいやいやいやいやっ、こう見えて――――み、見ての通りうちも冒険者ッスからね! 狼とかは何度か倒してるッス! まあ、あそこまでデカいのはやった事ねぇッスけど……」
あくまでも慎重派な彼女のもっともな言に、紅潮していた頬がさっと蒼褪める。
妖精のお姫様が行う首切りジェスチャーが、なんだか妙に堂に入ってたのも小娘のビビリを助長する。
とはいえ狼程度なら田舎にいた時でもぶちのめしてきたし、20、30の群が相手となれば流石に逃げるが、相手は1匹。普通に考えればいけない道理はない……のだが、心底ビビり倒しているヒーラーの様子に決意もぐらぐら。
「んぇ? あ、あ――ん♥ あむ。ころころ……」
改めて眼下のデカ犬を見下ろす。
いけそうなんだけどなぁ……と思う所に飴玉を投下され、優しいお姉さんに構ってもらえるのが嬉しいチビはぷるんとした唇を開けてぱくり。
日焼けの頬をぷくりと膨らませつつ飴玉ころころ。
あいつもなんか若干飽きが来てる感じだし、ほっといてもその内どっか行きそうだし、このままお姉さんときゃっきゃうふふしてるのもいいカモ♥
とか思うのが半分、冒険者としてただのワンコに黒星つけられたままでいいのか! いや、断じていくないっ! と思うのが半分。
―――であったのだが、飴玉の糖分に元気づけられたか、改めてお姉さんを見る目には再び決意が宿っていて
「――――前衛はうち。ティア姉はこっから回復魔法。あと他に、ぴかーって眩しくするやつとか、なんか相手をよわよわにするやつとか、逆にうちのことつよつよにする魔法とかあったりしねーッスか?」
大型とはいえただの犬相手にこの念の入れよう。
つい先ほど返り討ちにあったばかりであり、さらに相棒がむっちゃ犬を怖がっているが故のビビリである。
■ティアフェル > 「なにぃ、じゃあわたしは星10個つけちゃうもんね!
うーん? 友達の特技は把握しといたほがいーよ、特に回復とかさ。いざって時もあるでしょうし。
きゃー、怒った~、痛い痛い~いじめる~」
完全にふざけた。蚊刺されたほども感じないソフトな打撃と……まあ、ゴリラ的にはガントレ程度の補強では笑止だった訳ですが。
目元に手を当ててしくしく泣き真似をカマして……悪ふざけ。それにしてもゴリラが気持ち悪いだけである。
「さっきさっくり負けとった。半泣きでここまで必死に登ってきたおちびは誰よ」
それを軽々引き上げたのはわたしだが。
ぴ、と人差し指を向けて、無理無理無理無謀無謀無謀。と重々しく首を横に振る。
君には荷が重いよ。犬だよ…い・ぬ。恐怖の大王相手にそんなこんなちっちゃい子が。死に行くようなもんよ。
「はい、おいしーねー。だいじょぶだいじょぶ、犬だもの。みな負けるもの。勝てる訳ないもの。これはノーカンだよ」
餌付けたろか、と思いたくなるような誠に素直なお口開け。ちっちゃい口に放り込んで。
そのまま宥めすかして彼女の考えをやんわりと折りにかかる。
犬恐怖症の主観、半端なく偏っていた。
あーエネルギー補給してますますやる気になっちゃった…とやる気満タンなご様子に逆効果だったかぁ、と額に手を当てて。
「悪いね、わたしはバカに一芸と名高い……ただの回復バカだよ。植物にも対応できるし魔力なんかも回復できるけど、致命傷も息の根さえアレばどうにかできるけど……それ以外はからっきしでね。
――ほんとに死んでも知らないよ? お姉さん云ったかんね。責任取らないよ」
あ~ぁ、駄目だこのコ。死地に赴く顔しとる。
すっかり説得を諦めて肩を落とし溜息を吐き出す。そして少し考えて補助的な魔法は使えないが……。
「うーん……いちお増強剤。副作用とかちょいあるからあんまお勧めしないんだけど……命には替えられんよねぇ」
とごそごそ、真顔で引っ張り出したのはヒーラー印の水薬瓶。効くけど切れたらがくっとくる。人によっては立ってられない。どうしてもというなら譲渡しよう。
■パニア > 「星10!? お、大盤振る舞いが過ぎる…ッ! その子とは大冒険をした仲ではあるんスけど、一緒に仕事した事はまだねぇんスよねぇ。今度会ったらまた確認してみるッス」
お姉さんとのきゃっきゃうふふを堪能する事しばし(てかゴリラ防御力もあるんスかっ!?)
爆乳チビ的には妖精のお姫様の嘘泣きにもばっちり童顔を蕩けさせていたので安心していただきたい。
「は、半泣きしてねーッス!? あ、あれは、ええっと、ほら……あれッス。ほ、本気を見せるのはこれからッスよ!!」
先の醜態に頬を赤らめつつも、苦しい言い訳でなんとか戦意を維持。
続く飴玉攻勢も辛うじて乗り切って、いざ!
「ち、致命傷も回復とか、それって普通に凄かねーッスか……? だ、だから死なねぇッス! これから戦いに赴く勇者に不穏な事言うなッス!!」
隙あらば犬恐怖を煽ってチビの戦意を挫こうとしてくるお姉さんの頬を、むにぃっとつまんで反撃。しばし同性の頬の柔らかさを堪能した後、今度こそ飛び出そうとした所で。
「え"……っ。い、いや、副作用あるとかふつーにちょっと怖ぇんスけども……ま、まあ、いざとなったら使わせてもらうッス!」
怪しい薬瓶を受け取って、ぽけっとにねじこ……いや、ポケットとかなかった……。
まあ、手に持ったまま下に降りて、バトル開始前に足元にでもおいておこう。
「―――――……てことでとうっ!」
やるとなったら即断即決。
屋根縁に手を掛けたチビは壁を蹴り、それは見事な後方宙返りで家屋の壁際に接近していた大型わんこの背後に着地。
柔らかく使った膝で衝撃を吸収し、そのまま腰を落として踵を上げた防御からのカウンター戦術の構えを取った(ダイスボーナス+2である!)
あと、手にした薬瓶も足元の邪魔にならないトコにちゃんと置いた。
■ティアフェル > 「喜びは倍返し!幸せのコツよ。んー、それが手堅いねえ……ってか回復しなかったってことは無傷で大冒険乗り切ったんか………ぱねえ」
その大冒険は主観的な大冒険であって俯瞰的には……どうなのか今のところなんとも云えない。
嘘泣きが効果あったんかなかったんか甚だ愚問だ。蕩けているのは何故だ。ツッコミ待ちしたいんだが。
「いんや~アレは半泣きカウントだね。とんでもねえ泣き声に聞こえちゃったんだけなぁ~?」
まだ本気出してないだけって、じゃあさっき本気出さなかった理由はなにさ。と猜疑心な顔。
「即死だったらアウトなんよ~ロストなんよ~? 無謀と勇気は違うぞ勇者ちゃん」
勇者さまというか完全に勇者ちゃんだ。あ、思いの外しっくり来るぞ勇者ちゃん。
勇ましさだけは一級品なんだけど、危なっかしいやなと眉根を寄せ。ぶう、と頬を膨らまして変な顔して頬をつまむ指を頬の内部圧迫で迎撃する。
強い薬には副作用があるもんでしょ、ともっともらしく云い無駄に割らないでよー、と付け加えて。
運動神経は申し分なく、猫のようなしなやかさで一回転して着地していく勇者ちゃんを屋根の縁から見下ろして。
「わー、マジでいっちゃったよ…逝かないといいけど……うわあ……うわああ……やだぁ……」
とても頼もしい身のこなしではあったけれど……犬恐怖症からしたら本当に信じられないことする子、としか思えず、軽く血の気を引かせながらこわごわ見下ろし。
■野良犬 > まるで獣のようなしなやかにバネの利いた芸術点数の高い着地とはっきりとした敵愾心を向けてきた少女は……先程の尻尾を巻いて逃げた相手と別のように犬としても感じたものの。
しかし、まだ無邪気そうなその瞳は犬としては遊んでくれるお嬢ちゃんに見えたのか。
「ばう!!(おう嬢ちゃんやんのかい)」
と、吠える声は威嚇しているというよりも、構ってくれる人間に喜んでいる風に聞こえ。
頭を下げて重心を低くし、後ろ足を強く蹴り出し両の前足を上げて押し倒そうとするように一気に飛びかかっていくが――ちょっと嬉しそうな人懐っこさも垣間見えたかも知れない [1d6+1→5+(+1)=6]
■パニア > 【なんかダイス機能の仕様上+1は最低限必要ぽいので、それも加味してこちらは+3で対応です! とりゃ!】 [1d6+3→4+(+3)=7]
■パニア > 「……………ま、まあ、……うん、そ、そうッスね」
彼女の素直な感嘆に、こちらは何故か小麦の頬をじんわり朱に染めつつ童顔を明後日の方向に逸らしつつの反応である。
二人で水着で休日の昼間に学院校舎に忍び込んだだの、せまっ苦しいロッカーで警備員から隠れつつ汗だくにゅるにゅるしただの、その後は空き教室で……だの、到底明かせぬ大冒険であった。
「な、泣いてねぇッス! それは空耳ッス! めいよきそんッスぅ!」
ちなみに爆乳チビが最初この犬に負けたのは、ティアフェルとは真逆。
犬好き属性持ちが祟った結果であった。
ここまでデカい犬は田舎にいなかった事と、やけに悪い人相―――犬相のせいで敵意があるのかどうか判断しづらかったという事もあって、実際ぶん殴っていいのかどうか迷いが生じたがため。いやホント、言い訳とかじゃねぇッス!
まあ、殺る気まんまんな狼相手ならこっちも遠慮なくガントレットのフルスイングでぶっ飛ばせるのだが、ただ遊んで遊んでと絡んできてるだけの無害な犬相手にそれはなかろうという遠慮があっての退散だったのだ!
とはいえ、今度は回復のアシストがあるので取れる手段も色々あって、相手に怪我をさせぬまま、こっちのが上であると教える事も出来るはず。
「もぉ~~~! ティア姉は本当に心配性が過ぎるッス! ヒーラーさんってみんなこうなんスかねぇ。ってほっぺふくらますの可愛いッス!♥」
膨らんだ頬を指先でつつく遊びに切り替えて、微百合感漂うきゃっきゃうふふタイムをさらに楽しむ爆乳チビ。
そんなやり取りの後、見事な軽業の後に隙のない着地も決めて
「さっきは油断してやられたッスけど、今度はそう上手く行くとは思わねぇ事ッスね! さあ、どっからでもかかってくるッスよ!」
レスリングにも似たポーズは、普段投げなど使わぬチビ的には珍しい物。
とはいえ先のやり取りで相手の動きはある程度把握している。
最初は策もなく突っ込んできて正面から飛び掛かり、その重さを活かして押し倒そうとしてくるはず。
こちらはそれに対して掴みかかって身体をひねり、上下を入れ替えようという考えだった――――のだが、思いの他早い!
ええい負けるかぁ! あ、っぶな……ギリ勝利!
てことで、ワンコと上下入れ替え地面にどすーん。
相手に爆乳の弾力を押し付けて、こちらはワンコ腹のもふもふを堪能する。
■ティアフェル > 大冒険の内容は自分が考えていたのとは微塵も合致せなんだらしい……ことは薄ら何かさっしたが、そこはツッコミ不要であろう、と大人の対応をさせてもらった。
「ふふーん。じゃあさっきの『たしゅけて~!』はなんだったんかなあぁぁ? 聞いてたよう?ばっちり鼓膜に張り付いちゃってんだからね」
腕組みして目を細くし顎を軽く上げて意地悪に畳み掛けておく。まさか犬好きなんてそんな身の毛もよだつ想像は到底及ばなかったから。
彼女もさぞや怖かったのだろう。
あんなちいちゃい身体なんだからそれはそうだ。うんうんうん、と心のなかで首肯する。
「犬じゃなきゃわたしだってこんなに怒涛の心配しないわよ。犬よ。魔犬よ。おお怖。
……この膨れ顔をぶちゃいくと云わないのは相当な猛者だな……! ありがたい、拝もう。星をさらに追加しよう。あとパニちゃんもかわいいよ」
ぶう、と膨らんだ頬の顔は見れたもんじゃねえと弟たちに大評判だが。このかわいいおチビちゃんからはまさかお高評価だ。
膨らましたぶちゃいくな頬だが良ければ好きにつついてくれい、と捧げておく。ぷにぷにっと指先で反発する丸い頬。
「あわわ……きゃ、うわ…ひえっ、危ない……っ!」
見てる方も気が気じゃなかった。超怖い。飛びかかっていく野良犬の動きに悲鳴混じりに声を上げては、震える手でスタッフを探って握り、すぐ回復しなきゃか――!?と構えた。
内心は以下だったけど。
こわいよう。みてるだけでこわいよう。おうちかえりたい。
■野良犬 > 「ばうばうわん!」
お犬様は好敵手を得て大変お喜びである。元気に吠え立てて飛びかかっていくが、いつの間にか天地が周り。
逆転する体勢。しかし、投げられても大したダメージはないのか一層喜んでご機嫌に吠え立てて。
興奮したように顔をべろべろと舐め回し、もっと遊んで遊んで!と云わんばかりに尻尾を振り回していた。 [1d6+1→5+(+1)=6]
■パニア > 「ぬっ、ね、粘るッスね! だが+3ボーナスはこの程度じゃ覆らねぇッスよー!」 [1d6+3→6+(+3)=9]
■パニア > 『本当にこのお姉さん、どんだけ犬が怖いんスか……』
とっくに上限である★5を倍する評価なのに、さらに追加で★11というバグ表記レベルにブックマークしてもらいつつ、若干呆れ気味のジト目が彼女の過去に思いを馳せる。
幼少期に意地悪ワンコに散々やられたのか、それとも回復しか出来ない彼女が冒険者になるに至ったシリアスなエピソードとかがあるのか……。
まあ、その辺りの話を聞くのもこの不埒なワンコをやっつけてからだ!
てことで―――
「ぬははははーっ! うちが本気出せばざっとこんなもんッスよ! ほれワンコ、負けを認めて降参するッス! ワンコの手足じゃこのパニア固めからは逃れられねぇッスよー!」
パニア固め。
大型犬相手の変形四方固め的な寝技である。
もふ毛に顔をずっぽし埋める密着は、ワンコのメインウェポンの噛みつきを絶妙に防ぎ、人間の様な自在の可動性を持たぬ犬の手足ではむっちり圧し掛かる体躯を押しのける事も出来ず、結果的に毛むくじゃらは爆乳の下でじたばたするのが精一杯という凶悪な犬殺し技であった。
それでも野良はその巨体を活かして相当に頑張った。
若干押し負けそうになる場面もあり、屋根上からチビの死闘を見守るお姉さんもひやっとしたかも知れないが、パニアは上手く足を拡げてバランスを保ち続ける。
「見てるッスかティア姉! もうちょいッス! こいつ、そろそろ限界ッスよー!」
後半は、時折不安げな声音を漏らす犬嫌いな友人に片手を上げてアピールする余裕まで。お姉さんむっちゃ怯えててラブい♥
それから程なく。
わんこのじたばたが不意に止んだ。
もふもふに埋めた童顔を横向けて確認すれば、舌をでろーんっとはみ出させた野良は完全にグロッキーであり、近くからみれば案外つぶらな黒瞳にも潔く負けを認めた色が確認出来て
「勝利ッスぅぅうううううううッ!!」
ワンコ布団からがばりと上体を起こし、危機に対してじっと待機してくれていたお姉さんに片手を突き上げ勝利宣言を轟かせた。
■ティアフェル > 先端恐怖症や高所恐怖症に『あなたなんでそんなもの怖いんですか?』と訊けばいい。ことに寄っちゃ殴られるから。
恐怖症とはそういうものだ。すべての事象が理屈で測れるなら誰も何も怖がらない。
本気で怖がる人をバカにするのは本当に良くないです。
「うっわ、うわ、うわああぁぁ……ま、マジかあ……ひえぇ……やっちゃったよ……信じらんない、こわ。逆らわんとこ……」
心底筋金入りの恐怖症は……まさかの抑え込み返り討ち極めた小型爆弾みたいな子を見下ろして……感心を通り越してヒいていた。
顔を蒼白にしてこの時期なのにぶるぶる震え……あいつ、人間じゃねえ、みたいな顔をして大型犬を平和的に抑え込む様子に。
「お、おぉ~……が、がんばってねぇえ……す、すごいねえ……む、無理…はしないで~?――あ、勝っちゃった……すげぇ……こええ……」
もはや犬なのか少女なのかどっちが怖いのだろう。限界と元気に声を張る頼もしい様子だと思っていたら、割とあっさりやっつけてしまった。
お腹を全開にしてすっかり降伏の姿勢を見せた野良犬の様子に、うはあ…と妙な驚嘆付をこぼして。パチパチパチ…とちょっと力ない拍手を捧げては。
しかし彼女はこんなうっすいリアクション望んでない気がして。これはもっともっと気合い入れて無理してでも勝者を称賛せねば、と。
「い、いええぇえ~!! かぁっこい~イ!! よっ、パニア!三国一の勇者ちゃん!! パニアしか勝たん!! ゆう・しゃ!ゆう・しゃ!ヘイゆう・しゃ!!」
推しに対するリアクションを降らせた。勇者コールもしておいた。犬をねじ伏せてくれたのだから最大限に賛辞しよう。ちょっとチャラいのは……生来の仕様だ。真面目にはやってる。心も込めている。これ以上はないぞ。だって犬を(以下略)
■野良犬 > わふ!?とまさかの抑え込みに入られて。
抑え込まれてでっかくってもふもふの身体をじたばたもがかせて、手足をばたんばたんしていたら、人間よりもずっと短い四肢である。力はあるので容易くは極まらなかったようだが。
もはやどうしようもないほどにがっちり固められると、しばらくして『負けたわん…』とでも云わんばかりに耳と尻尾をぺたりと寝かせた。
しかし、いっぱい遊んで、もらった~と犬側としては大満足で。ぱたたと尻尾の先が揺れ。
抑え込んでいた体勢が外れると、じたじたしながら身を起こして。
「わん!」
勝者の美技を称えるかのように一声吠えて。去っていくのであった。
■パニア > 妖精のお姫様の正体が雌ゴリラである事に未だ気付かぬ小娘は、更に知らんうちに彼女の上にも立っていた。わんこを絡めたピラミッドのトップである。
さぞや喜びパニアの生還を祝ってくれるだろうと思っていたお姉さんが、未だに青い顔している事に小首を傾げつつ、地べたにあぐらをかいて座るパニアの傍ら、大人しくお座りして尻尾をぶんぶん振るわんこの頭をわしわしと撫でてやる。
上下関係が逆転しても、ヘルハウンドみたいな凶悪な顔は相変わらずの野良だった。
ともあれ、その様子を見て安心したのか、いきなりハイテンションの褒め言葉が飛んできたなら
「うへへへへへぇ♥ そんなぁ、照れるッスぅ♥ 褒めすぎッスよぉ♥」
てれてれ。
黒髪ショートの後頭を掻きながら、実にわかりやすく照れ笑うチビである。
『負けたわん…』に思わず萌えさせられた野良(ヘルハウンド顔)も、結果的にはがっつりへばるまで遊んでもらえて満足したらしく一声鳴いて去っていった。
その後姿を片手を振って見送った後、犬毛に塗れた体操着と土埃に汚れたブルマをぱんぱん払った爆乳チビは
「―――おし、それじゃあティア姉。凱旋祝いに行くッス! 命の恩人に飯奢ってほしいッス! この辺でどっかおいしいトコ知ってるッスか?」
共にクエストを終えた冒険者仲間を誘うように、仕事終わりの呑み―――ならぬちょっと早い夕食へと誘う。というかたかる。
知り合ったばかりのヒーラーがそれに応じるならば、この後もしばらくは優しいお姉さんとの楽しい時間が続く事になるだろう――――。
■ティアフェル > マジ……逆らわんとこ……
狂犬をねじ伏せた勇者ちゃん…と認識した小型爆弾に対して意識を強固にするのだった。
だって怖い、犬けしかけられたりしたら。死んじゃう。
ゴリフェルとか陰口叩かれまくっている凶暴特攻型ヒーラーも犬には型無で。
っふー……これだけ称え奉っておけば充分だろう……一応ちゃんと本心だ。
冷や汗を拭いながら、照れくさそうにはにかみ笑いしている様子を見下ろして息を吐き出す。
対処不能で心底困っていた犬を無傷で追い払ってくれたのだ。
去っていく犬の背中を見送ってほっと安堵して。
飯か、そのくらいなら肯いて。
「おっけー。じゃあちょっと…降りるから待っててねー。まずわたしの手持ちを確認してから注文よろしく頼む」
手持ち以上にたかられても無い袖は振れないのだ。屋根からようやく降りて食堂に向かう途中、今このくらいは持ってるから〇〇ゴルドまでで勘弁してください、と交渉するのだ。
かわいらしい小型爆弾に助けてもらった恩を返しがてらの楽しく食事。それはおしゃべりを始めるとなかなか終わらない女子の特性が出て随分遅くまでかかることになったかも知れない……。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からティアフェルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からパニアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にジャックさんが現れました。
■ジャック > 大通りに面する冒険者ギルド。
時刻は正午、昼飯時、受付や待合室より併設された酒場に活気が集っている。
冒険者、依頼人、ギルド職員に近所のおっちゃんおばちゃんその他通りすがり、
エトセトラ。
冒険者関係者以外にも広く開かれていて安くて美味いとくるとかなりの繁盛だ。
そこの隅っこ、カウンター席の端っこに何とか席を確保して例に漏れず昼飯中の金髪茶筅髷。
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ……。
大の男が抱えれるか抱えられないかのどでかい器にこれでもかと盛られた炒飯。
食べ切れたらお代無料! という大食いチャレンジ用のメニューをがっついている。
「スープおかわり」
余裕で。他のものまで頼んでお代わりまで追加しながら、もぐもぐもぐ。
■ジャック > 「ご馳走様でした!」と両手を合わせたのはそれから十数分後。お腹をぽんぽん擦りながら「デザートいくぞー」とかのたまうものだから周りも流石にぎょっとした目で見たものだが当人は気にせず食後のデザート目指して店を出て大通りに向かうのだった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からジャックさんが去りました。