2025/06/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にトーラスさんが現れました。
■トーラス > 王都内の主要拠点を巡回する二頭立ての乗合馬車。
雨除けの幌が付いた荷台の左右には腰掛ける為の長椅子が設置されており、
中央通路部分には前後に梁のような棒が通されて、
立ち客が転倒しないように掴まる為の吊り革が垂れ下がっている。
王都内とは言っても、舗装されていない悪路では相応に揺れを伴なうからだ。
「――――……。」
尤も、路線によっては吊革にも掴まれない程に通路に人が溢れる事もある。
特にルート上に王立コクマー・ラジエル学院が存在する乗合馬車は、
学院生達を乗せているために通学時間は満員となってしまうのが常であった。
今も、学生ではないながらも非常勤講師として学院に通勤する中年冒険者が、
座席に腰掛ける事ができないばかりか、満員の通路部分の真ん中にて、
吊り革にも掴まれずに馬車の振動に押し合いへし合いされている始末。
踏まれる足に辟易しながら、退屈しのぎに周囲の女性客を物色するように眺め。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からトーラスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にポリアンさんが現れました。
■ポリアン > 「えー、ちょっと其れはなぁ。」
冒険者と言う物は、どんな依頼にだって勇気を持って飛び込んで行く物だ
だが、そんな冒険者でも、例えば矜持にそぐわぬものであったり
或いは宗教上の理由だとか、親からの言いつけだったりとか
まぁ、なんやかんや色々な理由で、依頼を渋る場合だってある
で、今回の理由は何かと言うと。 "公的なミレー狩りへの帯同"である
まぁ、依頼を要請されて居る訳では無く、そんな依頼もあるよと勧められて居る段階なのだが
露骨に面倒くさそうな表情(笑顔)浮かべた物だから
相手も其れ以上押し付けたりはせず、別の依頼話をし出した
―――此処は冒険者ギルド。 詰まるところ、受付カウンターでの会話。
他にもこの時間となれば、大勢の冒険者が行き来しては
報告をしたり、依頼を受けたり、或いは喧嘩したりと元気の良い事だ
本日は、パーティのメンバーは他に居ない。
多分、それぞれ好きな事をしている時間だろう。
だから、自分は自分で、御飯の種になりそうな話を探していると言う訳だ。
―――途中から、半ば雑談になり始めて居るのだが。
「それにしても、最近そう言うのばかりじゃない?
昔はもっとさ、洞窟やら遺跡調査ー、みたいなのが溢れてた気がするんだけど。」
――言いがかりである。 今も探せばちゃんとある。
言ってる本人も、判って居て難癖をつけている。 勿論、嫌みではなく、戯言の範疇でだ。
冒険者なんて続けていれば、ギルドの職員なんて顔見知りになるのも早い。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」に枢樹雨さんが現れました。
■枢樹雨 > 多様な人々が集う冒険者ギルド。この場においては、異国の衣装身に纏う己もそこまで浮くことはないか。
さりとて、浮いたところで気に留める性分でもない妖怪は、鬼角隠す頭上の白絹を揺らしながら、空きのある受付カウンターへと真っ直ぐに向かう。
その傍ら、己とは対照的な白の髪を見つければ、無意識に視線が誘われる。
ギルド職員と何やら揉めている…という程でもなく、雑談の類か。
隠すでもない様子の会話を自然と耳で拾いながら、懐に収めていたカードを、己の前にいるギルド職員へと提示した。
それは運搬依頼の受領証。受取主の直筆サインが記されたそれ。受け取ったギルド職員がしばし後、いぶかし気な表情を見せる。
『本当に荷を届けたのですか?』
言葉遣いばかりは丁寧だが、疑いを多分に含む問いかけ。
妖怪は長い前髪の下でゆっくりと瞬き、少し首を傾ぐ。
「届けたよ。」
そう、届けた。間違いなく。
馬車であれば3日。馬で早駆けしても1日。王都からそれくらいは要する街にて約束の荷を受け取り、王都内のとある人物へと届けた。
霊体となって自由に空を移動できる己にとっては至極簡単な依頼。
しかし冒険者としての登録を行わず、物は試しと初めて受けてみた依頼。それをたったの2日でこなしてしまったが故の弊害。
受領証が本物であるのかどうか、確認するように色々な角度で眺めるギルド職員を眺める妖怪は、何故こんなことになっているのかもわからず首を傾げたまま。
手持無沙汰に視線彷徨わせると、先ほど見つけた白の髪へ、自然と誘われ。
■ポリアン > 「最近は物騒で平和じゃない依頼が多いからねぇ。
え、何、今に始まった事じゃあ無いって? 其処は駄目だよ認めちゃあ。」
多分、大した依頼は無いと言う判断なのだろう
完全に世間話へと移行し始めている雑談も、勿論職員に仕事が舞い込めば
邪魔をする心算は無いから、素直に譲るのがマナー
とは言え、今の所は受付が埋まる様子も無いから、まだ暫くは付き合わせる事が出来そうだった
―――そんな中で、隣に訪れた目立つ容姿。
幾ら人種や種族の坩堝である王都でも、全く目立たぬと言う事は無いだろう
シェンヤンの文化だって、入って来たのは最近なのだ
まだまだ物珍しい時期は抜けて居ないのだし、東方風味ならば尚更だ。
もし、視線を向けられれば、のんびりとした笑顔で、やぁ、と挨拶位は向ける。
そして、直ぐにまた、他愛ない世間話へと戻りかけたのだが。
「………………ふぅん?」
何やら、妙な雰囲気。 離していた職員と共に、横からそっと伺って見れば。
――成程、確かに。 妙な雰囲気にはなりそうな内容だ。
「…………まぁ、不思議な事は無いんじゃない?
人は見かけによらない物だよ。 寧ろ凄いと思わなきゃ、ね?」
受領証は、偽物と言う訳では無さそうだ。 つまり、ちゃんと届けて居る事になる。
――なら、別に良いじゃないかと、横から助け舟の心算で声を掛けて見るのだ。
それは、彼女の視線が、何やらこちらに向いた、と言うのも在るのだけれど。
■枢樹雨 > 慣れた者であれば己の能力を示すなり、手八丁口八丁で乗り切る場面なのだろう。
しかし肉体を得て1年と数ヶ月の妖怪は、まだまだ人の世の理に疎い。
言葉少なな性質も災いしてかギルド職員の言動でのみ、その場の雰囲気が形成されていく。
その危うさに気が付いていないこともまた、残念な点なのだろう。
ふらふらと揺蕩う蝶のように彷徨う視線が、懐っこい笑顔と印象的な白のもとへと誘われる。
それとほぼ同時か。再び視線交わすこととなった為か。
傍らからの声に、長い前髪の下で瞬き数度。
フォローとも取れる内容に、視線は貴方に留まるまま。
言葉受けたギルド職員と言えば、己とは違う熟練者、かつギルド馴染みの顔に絆されてか、若干の疑惑を残しつつも受領証を認めてくれたようで。
「………ありがとう。勝手がわからなかったから、助かった。」
カウンターの向こうで、ギルド職員が受領の手続きを始めている。
それを知れば、真っ直ぐに伸びた背筋をそのままに、腰を少し折って礼の言葉を伝える。
淡々と、抑揚のない声音。長い前髪の隙間から覗く仄暗い蒼の双眸。
折った腰をもとに戻せば、少しだけ上にある貴方の碧眼を見遣り。
「君は、冒険者…というやつ?」
冒険者という単語は知っていても、定義に関してはいまいち把握していない妖怪。
貴方の容姿や、その格好など、遠慮知らぬ視線で眺めては、問いをひとつ投げかけ。
■ポリアン > 笑顔と言う物は、一寸した事ならば温和に解決してくれる優れモノだ。
職員と言う仕事である以上、一度は疑いの目で掛かりがち
特に信用の無い相手ならば、何かしらの詐称を疑ってかかるのは仕方ない
とは言え今回は、少なくとも受領証は本物で在ろうし
怪しい部分と言えば、受け付けた日付と報告の日付が、余りにも近い、と言う位
―――移動手段なら、まぁ、出来る者には出来るものだから。
「はい、どういたしまして。 ま、君は別に悪くないんだけどね。」
仕事が早過ぎて疑われる、と言うのも難儀な物だ。
とは言え、何方も悪くは無いので、まぁ、運が悪かったと言う所。
ひらり、片掌を掲げて、相手の謝礼を受け入れれば
続いて投げかけられた質問には、緩やかに頷いて応じよう。
「そう、一般的には冒険者で括られる職業だねぇ。
探索者って言う人も居るし、呼び方は其々だけど。 ほら、此処が冒険者ギルド、だからね。」
だから、便宜上冒険者と呼ぶ事の方が多い、なんて。
ぴ、と人差し指立てながら、気さくに話し出すだろう。
■枢樹雨 > 隠れた目許に感情の伺えない声音。言葉紡ぐ薄い唇、その口角がろくに持ち上がらないともなれば、印象の向上を図るのは難しかったか。
反面、柔い笑顔の貴方があっさりと場を解決に導いてくれた。
ギルド職員もまた心ある人の子。ごく自然な対応、人らしい言葉と感情のやり取り。
それを目の当たりにした妖怪は、己では出来ぬことと率直に礼を告げる。
己とは少し違う蒼を、じぃ…と見つめ乍らに。
「それは、そう。ちゃんと仕事した。初めての、仕事。」
礼を伝える殊勝さはあれど、やったことはやったと太々しく言い切るマイペース。
胸を張るには至らぬが、軽く顎を上げてやり遂げたのだと自慢でもするような物言いは、若干幼さ滲ませるか。
「探索者。…それもまた、広義な言葉だね。まあ、それだけ色々と請け負える人、ということなら、凄い。」
問いへの返答。ひとつひとつ受け取り、数度小さく頷いては、ひとまずの納得を見せる妖怪。
…と、そこへかけられる声。ギルド職員のそれ。
カウンターに置かれた報酬に視線移せば、それは簡素な袋に入れられたゴルド硬貨。
単純な運搬依頼ではあったが、知らずに違法性のあるものを運搬してしまったせいかおかげか、それなりの額がその袋に入っていると知り、前髪の下の双眸を丸くして。
「お金持ちになった。」
驚き故の報告。
受け取った袋を両手に乗せ、貴方へと示す。
魔物の討伐依頼と比べれば決して多くない額ではあるが、手持ちの楽器による演奏で微々たる額を貰ったことしかない妖怪には十分すぎるものだったから。
■ポリアン > ―――うん、成程。 つまるところ、少しばかり
言葉のやりとり(コミュニケーション)と言う奴に難が在りそうだ。
とは言え、別段喋れないと言う訳でも無さそうだから、
人となりの誤解が融ければ、或いは、信用が得られればまた違って来るのだろう
冒険者の中にも、割合会話のやりとりが壊滅的な連中が居るし
そんな連中でも、まぁ、何となくやって行く事は絵切るから、問題無い。
「へぇ、凄いじゃない。 初めての仕事で疑われるって事は、逆に言えば期待の新人さんだ。」
どんな手段を使ったかは知らないが、出来たと言う事実が大事。
依頼さえ達成出来るなら、別段とやかく言われる筋合いだってない
隣に居た顔見知りの職員も、問題無いと判断したのか大人しく下がって言った。
――ついでに、雑談も切り上げられて仕舞ったが。
ひらり、其の背中に向けて、またねぇ、と声を掛けてから。
今度は、目の前の有望な新人冒険者へと、視線を戻そう。
「ま、やってる事は何でも屋みたいなものだからね。
冒険、と言わなくても、ほら、建物の修繕に力を貸したり、何て事も有る訳だし。」
肉体労働でも在り、知識職でも在る。 当人の能力次第で無限に仕事の幅は広がる。 其れが冒険者。
離している間に、報酬が奥から運ばれてくる。 運搬の仕事だ、きっと宿代くらいにはなってくれるだろう。
――なんて、思って居たのに。
「…………、……わぁ、すごいね。」
――笑顔のまま、少しだけ視線が、職員へと向けられた。
多すぎる。 何を運んだのか知らないが、一般的な運搬依頼で支払われる金額とは思えない。
勿論、ギルド側には守秘義務が在るから、答えてはくれないのだろう、が。
しばし、じっと見つめた後で、また新人の顔を見て、ふ、と笑みを作り直し。
「じゃあ、大切に仕舞って置かないと、誰かに盗まれたりしたら大変だ。
君は、何処か泊る所は在るのかい? 完全に安心、とは言えないけれど、先ずは部屋の金庫にでも仕舞うと良い。」
■枢樹雨 > 察しの良い相手だからこそ会話が成り立つ。
その事実に気が付くにはまだ経験を要するか。
マイペースな新人の相手をしてくれる貴方という存在のおかげで、ギルド職員の対応も定常のものとなる。
結果、要らぬ注目を集めることなく目的を達すれば、妖怪も満足気な様子で。
「…出る杭は、打たれる?…冒険者は、大変だね。」
己のいた国に、そんなことわざがあった。
自意識過剰とも取られかねないそれに、他意などない。
そもそもにおいて己が冒険者の端くれとなった自覚もないまま、得た驚きを親切な貴方へと向ける。
それに対する反応。言葉に添えられた間。ギルド職員へと向けられる貴方の視線。
若干の違和感に少し首傾ぐも、己が手にした報酬への違和感には至らない。
だから貴方の視線が戻るのをただ待って。
「泊る、所…は、あると言えば、ある?…でも金庫は、」
泊まる場所に心当たりはあれど、そこを自分の場所と示すことも、そこに金庫があったかも把握はしていない。
思案気にぽつりぽつり、言葉返すも、それが途中で途切れる。
代わりに、報酬の袋が乗った真白の両手から、じわりと黒い靄がにじみ出る。
着物の帯の辺り、両手の上でシミが広がるように黒靄が広がっていけば、報酬の袋がその黒靄の穴にストンと落ちる。
さながら、手のひらの中の小さなブラックホール。
報酬を喰らったその黒靄の穴は一瞬にして霧散する。
つかの間の出来事は、此方を注視する者しか目にはしなかっただろう。
「これで、大丈夫。誰にも盗られない。
…あ、でも、…君にお礼、する分。甘いお菓子、好き?」
靄に飲まれた現時点での全財産。
そこから貴方へ礼をする心算だった妖怪は、礼の品は何が良いかと問いかけ。
■ポリアン > 「んー…いや、そんな事は無いよ。
ギルドの職員が新人虐めとか、そんな問題起こしたら信用問題だからねぇ。
出来る人なんて、居るに越した事は無いんだし。」
それこそ、出る杭を打って、貴重な人材を逃したら、ギルドのみならず国の損失だ。
ギルドがある程度の影響力を持つのは、そうやって人材を繋ぎ止め、雇用を生み出して居るからだ。
どんな出自であれ、一度は受け入れる。 それは、実力さえあれば、と言う所が在るからだろう。
冒険者は大変だ、それ自体は間違い無い。
けれど、仕事なんて、冒険者に限らず大変なもので。
「―――――……成程。 ………えぇ…、……其れは、何て言うか。
…………うん、凄いね。 そりゃ運搬だって出来る訳だ。」
ふと下を見る。 相手の掌に乗せられた硬貨袋が、次の瞬間、消える。
何かの魔法なのか、それにしても、こう。 ……とんでもない物を見た様な。
若干笑顔が固まり、それから微苦笑へと変わる。
間違い無く、何らかの実力は存在するのだろう。
下手をすれば、その辺の冒険者なんかよりも、ずっと。
質量を無視する芸当なんて、そんな単純な魔法では無いのだから。
「……いやいや、お礼なんて。 お菓子は好きだけれどねぇ。
……そうだ、君、誰か仲間は居るかい?」
好き嫌いも無く、確りと甘党。 けれど、お礼、と言うよりは。
少し、思い立った事が在って、声を掛けるのだ。
もし、既に仲間が居るのならば、其の時はすんなり諦めるが。
■枢樹雨 > 「本当?…じゃあ、またお仕事する。」
生きるための食事も、睡眠も、必要とはしない己。
最も嫌う面倒事が仕事に伴うのであれば金など不要と、その思考は貴方の説明により一時的にせき止められる。
人間が作り上げた需要と供給の循環。その一端を担うギルドという組織。
その在り様の一部を教えてくれる言葉、確と耳を傾け小さな頷き二つ。
黒靄の消え去った白い両手。
それを降ろすと共に貴方へと視線戻せば、逆に貴方の視線は黒靄のあった場所。
交わらぬ視線、固定された笑顔に再び首傾ぐこととなれば、さらりとこめかみへ流れた前髪の隙間から、仄暗い蒼の瞳覗いて。
「運搬くらいしか、出来そうなものなかったから。
でもあれだけお金もらえたら、美味しいお菓子、買えるはず。」
己の能力の有効活用。その方向性を運搬くらいにしか見出せなかった妖怪は、淡々とその事実を語る。
菓子が好きと聞けば礼は出来そうと、内心での安堵。
…と、そこへ別の冒険者が受付へと近づいてくるから、小股に場所を譲り。
「…仲間?…いない、かな。」
今度は己へと向けられる問い。
其処に含まれた、聞き馴染みのない単語。
仲間というその単語をしばし咀嚼して後、貴方の碧眼を見遣り回答を。