2025/06/20 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 衣装屋」にグリードさんが現れました。
■グリード > 特別な日や夜の蝶を彩るため。或いは普段使いとして、飲み屋街の入り口に佇む衣装に特化した店。
その店の扉を潜ると酒場数件はあろうかという広さの中に試着室も複数個。
男性用、女性用と、用途によってラベリングされた見やすい店内、足を踏み入れた事で用向きを聞いてくる店員へ……。
「オンナを彩る奴が欲しい。価値がぐんと、上がる様な。」
そう告げれば嫌な顔一つせずにしばしの思案。
ドレスや東方の民族衣装。どこから入手したのか学園の制服に寝間着の類、その合間を抜け少し奥のラック群へと案内される。
『ご用命の際はお声掛けを』そういって女性の店員が去ったその場所は……。
ほぼ布きれとしか呼べないようなモノから、むしろ局部を強調するように仕立てられたもの。
それを彩る手枷や環、ピアス等のアクセサリまで選り取り見取りであった。
「ン~、こういう露骨なのもなぁ……。」
用途で言えばもっと露骨であっていいのだが、どうしても個人的な趣味趣向が頭を擡げてくる。
暫く手に取り、戻しと繰り返すその衣装には、布面積は多いものの極端に薄い布地の水着や、透ける程薄い様々な職業衣等もあり……。
「人間ってのは、アレか……俺らよりよっぽど淫らだよな……。」
繁殖のための生存戦略と言えばそう。だがここまで夜の生活のために工夫を凝らす様は、余程淫魔より淫魔らしいとすら思う。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 衣装屋」にエウヘニアさんが現れました。
■エウヘニア > 繁華街の街並みを歩きながら、程よい疲労感に肩のあたりを解しつつ。
なんにせよ己の作った薬を必要としてくれるというのはありがたいものだ。
若干色恋よりが多いのは場所柄というべきなのだろうけれど。
「実入りは良いけど……うーん、いいのか、………いいのか、なぁ……?」
己の人生という道行のなかで錬金術というものを体現してゆく過程で、どうしたって現世利益と切って切り離せないのなら、そちらにも注力すべきなのかなあ、とぼんやり考えることが無くもない。特に薬膳スープという名の草スープすする時とか。
繁華街の深い場所から、浅い場所へ。基本御用聞きとしては裏口からの訪問になるのだけれど、そこから外れようとしている路地ではその線引きもあいまいになってくる。
表通りの広い場所、目立つ場所に佇む布の下りた店構え。
色とりどりのそれは周辺の衣装や衣類を扱っている店舗だった。
場所柄の品ぞろえではあるものの、普通の衣服もないわけじゃない。
丁度懐も温まったところだし、……そろそろ夏服を見繕わないと暑くて死にそうな心地を何度か味わいもしたので、仕立て直しによさそうな安物とか、夏用の薄い生地だとかを求めて足を踏み入れることにした。
普段足をあまり踏み入れないというか縁のない場所だから、視界の情報が溢れて一瞬戸惑いつつ、夏物を求めてゆる、と足を動かしつつ。
指で触れる生地の素材はやはり季節に合わせて変わっているのだろう。
今は比較的薄手の織生地が主流のよう。
扱いやすいリネン、少しお高い綿、シルク…は混ざりものの具合で相場がぐんと違っているのを、素材を見定める眼差しでじぃ、と眺め。
■グリード > 暫くは、他の客が居ない店内での物色。幾つか使い勝手の良さそうなアクセサリの類を店員に渡し、もう少し季節柄を意識したもの、等の要求を伝えていた。
奥へと物色しに行った店員を待つ間に、扉の開く音、それに応対する他の店員の声が聞えれば自然と視線はそちらへと向く。
はてさて、どこかで見たことがあるような、無いような……。
そんな記憶と一致しないのはおそらく衣類の違いが大きいのだろう。
そんな中、戻ってきた店員が手にしていたのは夏向きの浴衣。緋色の派手な生地色ただし、向こう側が透ける程薄く滑らかな手触りのオーガンジー。
申し訳程度に肌を隠すのは幾つかの薔薇を模した刺繍。それを店員自ら宛がい営業を掛ける。
「あぁ……そうか、ありがとう。」
そう店員に感謝を伝えたのは、浴衣でその存在を思い出したため。
店員へ耳打ちをすると、一人衣類を探すその女性へ、店員がその浴衣を持って近づいていくのだろう。
『あちらのお客様が、こちらをどうぞとの事です。』と。
どんな表情を見せるだろうか、そんな悪趣味な楽しみ方。視線がこちら絵向いたなら悪戯めいた笑みが見えたことだろう。
■エウヘニア > まあ今は高級品(?)に用はなかったので、視線は使い回ししやすそうなリネン生地の衣類へと向けられる。
派手な衣装や、界隈独自のそれらは己には必要のないものだ。
ごく稀に、薬を気に入ってくれた界隈の女性に連れられることはあるものの──未知の世界すぎる。
シンプルにシャツを数着……着回しを考えて──なにか他に、と真面目に黙考。
そんなふうに考え込んでいると、乗客でもなさそうな己に店員が歩みを寄せる。
差し出されたのは選んでいるものとは真逆のそれに胡乱な眼差し。
彼方…?と視線で示されたほうに改めて目を向けると、見覚えのある色彩に猫が威嚇するみたいにぶわ、と一瞬三つ編みが揺れた。
「イラナイ、デス」
カタコトじみた声音と、強張った笑みを店員に向けて主張。
ぶんぶん首を横に振って、何なら手にしようとしていた衣類を戻して撤退の様相。
■グリード > 店の中には普段使いにも有用なものは沢山あり。だから探すだけでも時間が溶けるように無くなっていくのだがそれが楽しみでもあり。
そんな散策を繰り広げているだろう女性へ向けられたものと、己の姿を見た瞬間に、明らかに警戒心をむき出しにして拒絶する様子に、やはり楽しそうに口元を抑え笑う。
「あーあ、折角夏に似合う逸品なのに勿体ない。君が受け取らない事でお姉さんの売り上げが下がるなぁ……」
大仰に可哀想だ。なんて言葉を向けながら歩み寄る。
その間も浴衣を手にしていた店員が、ノッたように相手へ、宛がう浴衣。
それは出口を塞ぐかのようでもあり。その癖『受け取らないの?』と不安げな視線を向ける辺りは流石プロである。
そうこうしている内に彼女の目の前へと男が辿り着けば、着ている衣類を眺め
「浴衣姿も良かったが、そういう姿も似合ってるな。」
そう言ってから店員より浴衣を預かる。お役御免とばかりに去る店員が彼女へウインクしたのは、ある種の圧かもしれない。
■エウヘニア > 撤退しようとしていると、さすがに売り上げを考えている店員のお姉さんは手ごわい。まあ自分だってお給料と直結するならそうする。己が買う商品よりも、差し出されたそれの方が数段値段は上。
物腰は柔らかいが、感じる圧に撤退できないでいると声が近づいてくる。
警戒を最大限向けているのにどこ吹く風、といった態度なのにジト目を向けた。
「必要、ない、デス」
はっきりと告げたにもかかわらず、退路を塞ぐように肩に身頃があてがわれる。
宛がわれたところで、下に着ているいつものローブが見えているような透け浴衣を買う理由も、もらう理由もないのだけれど…!
「……それは、どーも」
しかしそんな問答しているうちにたどり着かれてしまった。
こちらを見下ろしての言葉に低めの声音で応じたけれど。
……浴衣を相手に渡して、それからなぜかウインクされたのにゆるく双眸を瞬かせる。
今のアイコンタクトの理由は何なのだろうと若干考え込んだが、とりあえず肩から荷物が消えたのならさっさと退店するべきだろう、と一歩下がる。
店の出口を確認するように視界の端で扉の位置を見定めたら──、これだけ布にあふれている店内なのだから、逃げ切れるだろう。
リーチの差があっても。
じりじりと機を窺い。
■グリード > 「……こういう時に、ありがとうございますー!ってモノだけ貰って御機嫌ようが出来ると強いんだろうけどな。」
残念ながら相手は常識人だったようで。一方的に損をすることは避けられた。
向けられるジト目も、はっきり告げられる言葉ですらのらりくらり。
…………わかりやすい。とても、明らかに警戒し、退避を考えていることは想像に難くない。恐らく走り出されたら手も届かないだろうから。
「あんなに激しい夜を過ごしたってのに……、ほんとツレナイ。自分から口で奉仕するくらい愛してくれたのに……。」
あえて周囲に聞こえるように言い放つ。放っておいたら余計な噂が独り歩きするだろう。事実、とは言い難いが概ね間違ってはいない。
残念そうに肩を落としてみせながら……。
「俺はまた会えてうれしかったんだけどなぁ……色々見て、なんか買ってとかなぁ……。」
そんな言葉も、浴衣が無ければ素直に信じられたんだろうけれど、一から十まで身から出た錆ではある。
そして、ここまで店に迷惑をかけたのだから、ちゃんと買っていこうと。終始、お前がいうな。という話。
「なんか1個好きなの選んで良いから、このままだとただの迷惑客だろ?」
■エウヘニア > 「貰ってもいらないものはただの持ち腐れって話じゃないですか」
何処で着ろって言うんだあんなの、と若干口が悪くなったのは、関係性を鑑みれば致し方ないとしか言いようがない。
しかし大人の対応ではない、と自身でも思ったのか口許に手を当てて仕切り直すように咳ばらいを交え己を取り戻そうと努力はしたのだ。
………次の相手の言葉であっけなく崩れていったけれど。
「──────── だ ま っ て !!??」
何か口をふさぐもの、焦ったところで相手の口から出た言葉は、もう、どうにもならない。
あああああ、と声を上げたら余計注目を浴びるだけ、とはいえ、こう。こう…!
耳まで赤くなった己を見て、誰が彼の言葉が虚言だと信じてくれるのだろうか。
こういう時軽くいなせる話術だのを学ぶべきだったのだろうか、と明後日のことを考えながら。
とりあえず、この赤毛を黙らせる方法を考えるのが先。握った拳を小さく震わせた。
……殴ったら黙るのカナー。
「イラナイデス、ほっといてください」
首を横に振る。
そもそも己は物欲自体はさほどない。
見知らぬ人に毛が生えた程度の相手に何か買ってもらうつもりもないのだが。
「……ど、どの口、が……!」
唸る。己はただの一般客で、変な絡み方をしてきたのは相手だ。
深く息をつく。
このままこうしていてもきっと何かにつけ絡まれそうだったので、適当に手にしたものを頼むことにしようと、さっき手にしたものをもう一度手に取った。
此処で一番高いものをとか考えないあたりが女のお人好しさを示してはいるのだが。
場所が場所だけに高いものが変なものであった場合の対処に困りすぎるから──という保身に走った結果だったりもする。
「それじゃ、これを」
着回しの一つで選ぼうとしていたリネンのシャツ。
夏生地のさらりとした風合いが好みのそれを手にした。
どうせ買おうと思っていたものだったから、問題はない。
それで今度こそ会計のカウンターに向かおうとするのだ。
■グリード > 「えっ、着てくれない……というか、着せるが?」
もう警戒されているだろうから易々と先日の二の舞にはならないのだろうけれど。
断言するように着せると言い放つのはある意味予言にも似て。
──ヒソヒソ。
大きな声を上げ言葉を遮ろうとし、尚かつ赤くなった女性の顔というのは仮に事実と反していたとしても、そう思わせるだけの破壊力はある。
彼女の顔を見ながらヒソヒソ話をする店員の様子も明らかに、『見た目に反して、ねぇ?』の類。バカップルの喧嘩を揶揄するような雰囲気。
「店員さんもこっち見て、恥ずかしいったらないな……。ニア。」
なんてあの日聞き取れた名前を呼ぶもんだから恐らく店員の勘違いは加速するのだろう。
そんな二人が結局、一つの商品をもって会計場所へと来るのだから、傍から見たら言い訳もできない。
「あ、プレゼントなんでラッピングで。可愛らしく。」
そう店員へ頼むと奥へ引っ込む。多少手の込む工程になるのだろう。
そこまでして、心底楽しんだというように肩を震わせ笑い。己の隣の頭部に掌を載せて、髪を軽く撫でた。
「ま、でも俺はまたニアと出会えてうれしかったぞ。ニアもそうだと、嬉しいが。」
なぁんて、甘ったるい言葉と共に、撫でる手が上を向かせるように。そのまま視線が重なれば、また赤い瞳が質悪く光る。
もうすぐ開放される、そんな隙に少し浸け込んでみた。効果はありや、なしや。
■エウヘニア > 「着ませんヨ」
即答。
そのやり取りがはた目からはどう見えるのかは知らないが。
知りたくもないが。
バカップルなどと不名誉な称号を冠されていたと知ったのなら、全力退店していただろう。
そうでなくとも生ぬるい眼差しとひそひそ話にそろそろ限界ではあった。
「………………………
………………………………。」
黙。
ひたすら黙。
大人げないとは思っても、こういった手合いにはそれが一番有効なのだと言い聞かせる。
「…………は?」
ラッピング発言にさすがに声が上がった。
ただの普段着にそんなことする必要はない、と向けようとした言葉よりも早く、ラッピングに下がる店員さんの行動のほうが早かった。
「……………それは。…………こっちはそういう要素全くないと思いますが」
伸ばしかけた手をあきらめて下ろしつつ、じっとり低い声音。
頭に乗る掌を弾くのはさすがに反応が子供すぎるので好きにさせたが、それも含めて面白くなさそうな表情を浮かべていた。
上向かせるように荷重がかかると、ぐえ、とうめき声を一つ。
灰緑の視界に、男の赤い───魔力光を帯びた眼差しが映るのに、目を細めた。
■エウヘニア > それが二度目であれば、男にとってその理由ははっきりするだろう。
同族というほどでもないが、女もまた"混じっている"ものがあるがゆえにソレに抗うものが血に備わっているということを。
だからかその効果は今回もかかりが悪いか、遅延したような反応を見せるのだ。
■グリード > 「……………」
残念ながら、沈黙は効果覿面であった。
上げ足の取りようもなく、話の広げようもないのだからさもありなん。
とはいえ、既にひと悶着やり合ったあとであれば周囲の印象はさして変わらないのかもしれないが。
「あんだけ乱れたのに? まぁ……人前はやり過ぎだったと思わんでもないが……。ニアも嫌、だけじゃなかったと思ったんだがなぁ。」
似た血なのだ。理性とそれはまた別の所にあるはずで。
そんな話を髪を撫でながらするもんだから本当に、倫理観というか頭のネジが抜けている。
ある意味存在としては正しいのだが。
「流石に分かりやすい二度目はなぁ……っても、可愛いニアに全部抵抗出来たとは思わないが。俺の負けって事にしておく。」
髪の毛を、頭頂部から三つ編みの毛先まで指先を滑らせ撫でながら。
本来であればそこまでかかるものでもないラッピングに嫌に時間がかかっていたのは男が先だって渡していた物も同じ風にされていたから。
店員の慌ただしい動きに終わりを感じれば、撫でていた指先をそのまま腰に落とし。軽く触れて引き寄せようと。
「ま、眼を使ってでも、何してでも抱きたいって思うくらいにゃ、ニアは魅力的だった。」
だから、気を悪くすんなよ。なんて紡いでから抱いた腰、軽く臀部を叩いて離す事にしよう。其の頃には店員がラッピングした袋を二つ、三つと。
■エウヘニア > 沈黙は有効。
けれどもやはり相手をしてしまうと、好きなように話を広げてくれるのに視線がまたジトリとしたものに変化した。
あまり意識したことはなかったのだが、男の言葉に己にもそういう要素があるのかと認識すると、こう、口角が思い切り下がったのだが。
血は選べない、というのが正直なところ。
「黙秘しておきます」
それについて思うことがないわけではないものの、さしあたってはねじの外れた会話は、耳目のある所では避けたいところ。
己の評判にかかわるではないか、とおもうのだ。ある意味職場(?)から近いし…!
「………まあ、私はそっちの方の才能はないのでわからないですけど。負けてくれる分にはありがたいですね。労力いらないし」
そっけなくなっているのは気安さというべきか、それとも男への評価が気を遣わなくていいレベルまで落ちている感。
相変わらず人の髪を撫でているのを好きにさせながら、頼んだものに対して少し時間がかかってるようなのに首を傾け。
「……そういう会話はですね。人目のないところでお願いしますネ」
棒読みに近い抑揚で、あきらめたように返す。きっとこの男はそういうタイプなんだろうなとようやく諦観に近い認識が出来上がってきたのはお互いにとっていい事なのか否か。
少なくとも害意はないらしいと放置していたら、引き寄せられたのに、驚いたように体を強張らせ。
スカート越しに臀部をはたかれるのに、小さく跳ねる。その後すぐに解放されたが、なにするんですか、と恨めし気にみやる表情が羞恥を見せるのは当然だった。
折よくというか、タイミングをはかるようにしての行動だったのか、ラッピングされた荷物が渡されると、その数に首が捻じ曲がる。
「…………んん?」
一つのつもりだったのだけど、と胡乱な眼差し。
ラッピングされたものを戻してくださいなどと主張するほど無情にもなれなかった。
■グリード > 「そこは拒否しないんか。」
つまるところ、解釈としては是。そうとしか捕らえられないから、口角が下がる相手とは裏腹に、わかりやすく機嫌が良くなるのは子供っぽい。
相手の才能。それを身をもって受けた側としては、十二分にあると言いたいところだが、流石に今言ったら蹴りでも喰らいそうということくらいは学習したらしい。だから「そんなことはない」とそんな一言。
「はいはい……、んじゃこの後は宿にでも行くか。人目も無いし、遅れて出た効果で、他人に抱かれても癪だしな。」
抑揚のない一言ですら、じゃぁ人目の無い所に行こう。へ変換するあたり都合の良いというか、本当に淫魔としての本能赴くままに生きている。
けれど、誰でもいい、というわけでもないのは都合のいい店員でなく、彼女へ絡みながら口説いている様子でも明らかだろう。
「あぁ、まぁそれでもいいか。一応これは、俺個人の買い物だ。」
どうやらそのラッピングは男からしても想定外だったようで。
ただ中身を知る身としては勘違いされても仕方のないもの。
一つの袋に収められたラッピングを手にすると。
「んじゃま……行くかニア。」
そう、また腰を抱いて、今度は力強く抱き寄せよう。店員へ見せつけるようにしながらとりあえず店を、後に。
■エウヘニア > 「欲求や、欲望を全否定できるほど私は聖人君子でもないですし」
己という存在が生まれたのだって、そいうところから生じている。
欲望というものがすべて忌避すべきものというのは違うでしょ、と宣うのは──それもまた己の生計を支えている一つではあるからだ。
己の身でそれを体験したいかっていうと、首を横に振るかもしれないのは別として。
「その、抱く抱かれないって尺度やめません───!?」
それが本能だといわれたらそれまでなのかもしれないが、己の倫理観はそこまで吹き飛んでない。
ちょっとお茶しようくらいのノリじゃないですか!と主張。
彼我に横たわる認識の齟齬は深く根深そうだなあとはおもう。
────相手の目の力が己にどう作用するのかは、いまいちわかってはいないのだが。
「───?……それなら、まあ…?」
男が何をしにこの店に訪れていたのかは当然知る由もない。
その中身についてはあまり追求しないほうがよさそうだな、と思ったのは──誰かへのプレゼントというのもなくはないだろう可能性があるから。
出来れば自分の分だけ受け取ってさようなら、としたかったのだけれど……それらは一つの袋に纏められて。
衣類なら然程負担でもないから受け取ろうとしたら、それも阻まれた。……紳士的とも言い替えられはするのだが。
「へあ?………私はまだ承諾してない気がするんですよね───!」
ずるずる。
腰を抑えられて半ば引きずられるように連行されていく姿は──店員にどう見えたのかはわからない。
それでも、迷惑客として出禁にはされなかったと……思いたい。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 衣装屋」からグリードさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 衣装屋」からエウヘニアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にライラさんが現れました。
■ライラ > 「んー……討伐かぁ…」
平民地区のとある冒険者ギルド。
少し割のいい依頼を探しに来、受付に尋ねたところ勧められたのは討伐。
確かに討伐は報酬はいいのだが、ギルドから勧められるということは面倒な相手がほとんど。
何が開いてだろうと依頼を確認すれば眉間に皴が寄り。
「うぇ……魔樹とか外れの代名詞だし」
相手は動かない木の魔物ではあるが、その分面倒な相手。
何より自分との相性の悪さに渋いかをするしかなく。
もしこれを受けるしかないなら最悪は森火事覚悟で焼くかな。
そんなことを考えて依頼書を眺めて。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からライラさんが去りました。