2025/05/16 のログ
ご案内:「魔族の国・欲望の街「ナグアル」」にルージェさんが現れました。
■ルージェ > 欲望の街の夜。禍々しくも妖美な光輝を放つ月が昇る。
退廃を言祝ぐ騒めきの中。
大衆向け、というよりは少し客層を絞った酒場の二階。そのテラス席。
黒檀のテーブルに置かれたグラスに満たされたのは薔薇の赤。
通常の食物を必要としないもの向けに作られる、精気に形を与えたそれを前に。
黒で統一された装束を纏った貴族然とした風情の女。
死蝋の肌、グラスの中身にも劣らない真紅の双眸。
椅子に深く腰を預け、泰然と過ごす。
手袋に包まれた手首を彩る細い鎖。そこに下がるのは来訪者である身分を告げる、薄い金属片。
しゃら、と装飾鎖の揺れる音を伴いながら、グラスの細い頸に指をかける。
つ、と手袋に包まれた指先が、花の頸をなぞるように這い、それからそっとグラスを持ち上げた。
ゆったりと、仄かに薫る芳香を感じ入るように目を細め。
■ルージェ > そっと唇を寄せて、静かにグラスを煽る。
喉を滑りおちてゆく香気を、退廃の喧騒を遠く耳を傾けながら味わう。
営みというのは、その本質的には魔も人間も違いはないのだろう。
それを示す様な己の領土では耳にすることのない各地の噂話を肴に一人、夜の時間を咀嚼する。
絶え間なく流れ込むそれらに厭く迄は、偶にはそんな時間もよいだろう。
ご案内:「魔族の国・欲望の街「ナグアル」」からルージェさんが去りました。