2025/01/26 のログ
:: [一覧へ] :: :: ::

ご案内:「魔族の国・欲望の街「ナグアル」」にルージェさんが現れました。
ルージェ > 「────」

渡された許可証に、視線を向ける。無機質な金属片に刻まれた紋章を一瞥し。
それから視線を転じる。わずかに細められた双眸は眠たげともいえるのは本来であれば、まだ微睡のうちに閉ざされていることが多いからだ。

街並みは、己の死棘に閉ざされた領地とは違う猥雑さ、熱気、魔力が交じり合っている。
表情を動かすことなく、滑らせる爪先が石畳の上を静かに歩む。
ぞろりとそれに従う影もまた。


夜を滲ませる淑女は、そのくせ近侍一人伴うこともなく。惧れもなく。
さりとて歓びを抱いているわけでもなく、ただ静かに。

尖った耳に過る喧騒に感情なく耳を傾けながら、その爪先が何処に向かうかは───流れに任せるよう。

ご案内:「魔族の国・欲望の街「ナグアル」」にスラッグさんが現れました。
スラッグ > 身の丈、2メートルを超える巨漢の男が盛況な街中を練り歩く。
獲物こそ持ち歩いてはいないものの、樹皮、竹で編み込まれた軽鎧の下の肉体は、
全身が武器である事を示す筋肉に覆われており、彼の正体を如実に現わす。
ちょっとした有名人である彼は、行き交う通行人や行商は声を掛けられては、気さくに片手を掲げて応じて。
大通りを進む内に貢物のように差し出された肉串や果実、酒徳利などが彼の両手や腰を塞ぐ事になっていた。

「うぅむ。飯を食いに行くつもりだったんだが……、ん?」

無論、断れば良いのだが、差し出される善意を無碍に扱うのも気が引けて、
傍から見れば、戦利品を分捕ったかのように小食の一食分は優に賄える程の品々。
羊肉の肉串に噛み付きながら、オーク面を困惑気味に歪めながら、不意に目の前を行く女に気付けば双眸を細め。

「――――ほぉ、まだ陽も出ているこんな時間に珍しいな。
 そこな、吸血鬼のお姫さん、お供も付けずに何処に行くんだい?」

酷く血色の悪い黒衣の淑女を見付ければ、好奇心と要らぬお節介から声を掛ける。

ルージェ > 馴れ合いも、社交もさして好まぬ女は、けれど俗世を泳ぐことは特に苦にはならない。とは言え今の時間は女の領分ではない。そしてこの場は己の領地でもない。

故に
薄暮に薄く伸びる影のように、その気配は薄い。

中央広場から、時計の針が巡るように廻ろうとした足が止められたのは──聞き知らぬ声に対して。
興味薄そうに、所持している様々な物品により雑多な匂いを纏っている男へと視線を流す。

「………────」

あらためてその形を捉えても見知らぬ存在でしかないそれに、軽く視線を伏せたまま応じるかべきかを判じた。
結果────

「見知らぬ方にお答えする必要はございませんわ、オークの戦士」

ひとまずは応じるものの、距離を埋めることも、埋めさせることも許さぬまま、対峙する。
『姫』と称されたのが揶揄か否かは置いておくとしても、居住まいや姿勢。その言葉は他者を支配する傲岸さを備えたものであるのは相違なかった。

スラッグ > 孤高。
影法師の如き、黒衣に包まれた存在は、ただ在るだけで威圧感を放つ。
魔族の中でも、自己の存在を高貴に捉えたがる種としての尊厳がそうさせるのか、
辛うじて敵対には届かぬ拒絶の言葉に猪面の英雄は双眸を鋭利に細める。
戦場であれば敵対する全てを委縮させる英雄的存在の強き眼光で女を射貫き、

「これは気安くお声掛けして真に失礼した。
 我は太祖カインの末裔にて、武勲によりヒーローの誉れを賜りし者。オーク骸族にて、名はスラッグ。
 御名をお伺いして、その手の甲に忠誠を表す事をお許して頂けるかな?」

傲岸不遜な相手に対して膝を折り、その場にて跪けば、己の名前を高らかに名乗り上げる。
彼女に対して、言葉や態度で最大限の敬意を示すと共に、
オークの英雄として、太祖の名を口にする事で自身を貶める事もなく、誇りを保ち続ける態度を取り。
衆目が集まる中で、まるで人間の騎士が姫君に対する忠節を示すような仕草を見せて。

ルージェ > 戦士が己にどのような印象を抱くかに興味は持たない。
というよりは相手がだれであれ、そうだ。

故に他者が己に抱く感情すべてが、鎖のようで煩わしく感じる。
言葉を拒むつもりはないが、それにより──害意を持たれようとも女にとっては些事ではあった。

だから男に宿る眼差しの強さに、血赤の双眸は揺るぎもせずに応じる。
男が己を戦士と、勇士と自認しその威を示すのであれば。

───この個体もまた、その位置を保持する存在なのだから。

「──必要ない。
私の名は、ルージェ。死棘の城を預かるモノ
勇名も栄誉も私には必要はなく、ゆえにその証も必要はございませんわ」

衆目を集めるような仰々しい仕草にむしろその死蝋の手指を固くそろえたまま差し出すことはなかった。

───男の矜持を貶めるつもりはないが、さりとて見知らぬ誰かの忠誠など必要ない。
名が必要だというのなら応じるだけだった。
一つ呼気を零すと──立ち上がることを促す程度は試みたが。

スラッグ > 女の前に跪き、双眸を閉ざして恭順の意思を示す。
対して、与えられるのは忠誠を拒み、気高きその名と立場のみ。
幾百の戦場を駆けて幾千の首を獲ったオークの英雄と、
城主として高貴な身分を有する吸血鬼の姫君。
対峙する二人の応酬に、周囲の魔族は慄き、唾を呑み込み、その趨勢を覗き見。

「――――、うむ。これで見知らぬ間柄ではないな、吸血鬼の姫君」

彼女の呼気に顔を上げれば、先程までの神妙な面持ちは何処に消えたのか、悪戯めいた笑みを口許に浮かべ。
相手に名乗らせた事に満足だとでも言いたげな調子で立ち上がると、
手にした赤い果実を衣服の裾で拭い、汚れを落とすと相手に差し出す。

「……で、城主がお供も付けず、日傘も差さずに何処に行くんだ、ルージェ。
 この街は乱雑だ。道に迷っているならば案内くらいはしよう」

ルージェ > 誰の恭順も忠誠も欲していない。
欲していないものを提示され、対価を要求されるのは少々納得はいかないが。
名を隠しているわけでもない。いらぬ軋轢を生むためにそぞろ歩いているのでもない。
周囲の有象無象がこの茶番をどう見ているのかも興味はないが───。

満足げな男の様子を見やる眼差しに温度が宿ることもまたなかった。
差し出される果実にも無言で首を横に振る。

「必要ありませんわ」

同じ言葉を使うことで労力を削ぎ落とすように。
実際必要のないものだからだ。

己の素性を顕しておいて、無為な物品を差し出す意味はよくわからない。

「─────供、は」

ごぽりと、女の影が蠢く。
獣がその内側で存在を主張するが如くに。

する、と衣擦れの音をさせて裾をさばくと歩き出す。
目立ちすぎたことを厭う様に。
影の多い場所であればより問題がないと路地を選ぶ無造作ぶりは、己を本当の意味で害すことが難しいことを自認するが為。

「───…………他の雌をお誘いになったらいかがです?」

迷うのも別に困りはしない。
陽光が落ちきるまでの時間を潰す、散策じみた行為だ。
影に融けて移動するのだし、さして労力も必要はない。
必要以上の破壊を禁じる文言くらいは守るべきかと思ったのだが────、石畳を一つはがすくらいなら許されるのだろうか、とちらりと思考を巡らせる。

スラッグ > 差し出した果実は受け取られる事もなく、一瞬、腰に佩いた酒徳利と見比べるも、
流石に彼女の態度から、そういう意味合いでもない事を察する程度の知能は有している。
代わりに、牙伸びる顎を開き、真っ赤な果実に歯を突き立てるとしゃくり、と果肉を削り取る。
瑞々しい果汁が滲む果実を数度、咀嚼すると、果肉と果汁を嚥下して咽喉を潤して。

「ほぉ、成る程。……流石は夜の眷属の姫君。
 陽の光が照る間でも、影さえあれば、供も不要という事か」

彼女の足元から伸びる影法師に獣の存在を看過すれば、双眸を細めて感心して、
齧り掛けの果実を芯まで咀嚼し、種までを呑み込んで喰らい尽くす。
甘味と酸味のバランスの取れた味わいに満足そうな表情で舌で口周りを拭えば、
人気のない路地へと歩き始める女を後から慌てて追い掛け始め。

「おいおい、そっちに目ぼしい場所は何もないぞ。
 ――――ん? そうさな。オークの本能が囁いているのだ。
 今のこの街に、目の前の雌以上のオンナはいない、と。
 かの大娼館のサキュバスクイーンも、ルージェには敵うまいて」

物騒な思考を抱く女を追い駆け、その隣りに並びながら、暢気な調子で彼女を口説き。
オークの本性、本能を隠す事もなく、赤裸々にしながらも無碍にあしらう女に笑う。

ルージェ > 「────」

男の咀嚼。削り取られる果実の悲鳴を耳にしながら、一応の理解を得たことに静かに首肯する。
女が喉を潤すものは別の命の雫にほかならず。
それもまた欲しない以上は必要がないものだった。

「解釈は如何様にも」

その獣は下僕でもあり、女自身でもあり。
世界を食らう為の牙を仕舞い込む。

己の歩を追う男の言葉に、とくに耳を貸すことも無くなった。
男が思うままに振舞うように、ならば女も思うがままに歩を運ぶだけ。

影が多いというのは、牙の数が増えるのと同義。獣にとっては不利なことは一つもないのだ。

「………────。………厄介な言い回しですこと。」

恐らくこの街に根差すだろう信奉者の耳にでも止まれば女よりも男の身が危ういのではないかといえる言葉に、双眸は眇められる。余計な禍の種はごめんなのだが、と言いたげな態度で唇が引き結ばれた。

「死棘を抱いたところで、その身に穿たれるのは穴だけでしてよ」

男の強さや本能を否定することはない、だが、そこに魅力を感じているわけでもない。
肉感的と言い難い体躯。その魂はその言葉の如く酷く醒めている。
それは本来、その対極にいるだろう大娼館の主と比べるべくもない物だろう、と。

スラッグ > 「かはっ、好いな。オンナは謎が多ければ多い方がよい。」

会話そのものを拒絶するかのような素っ気ない女の言葉に対してめげる気配は微塵にもない。
或いは、彼女にしてみれば災難であると言えようが、
その態度に益々興味関心を抱いている素振りすら見せて、
護衛も道案内も不要と告げられながらも、しつこく隣りに付いてくる始末。

「嗚呼、厄介な事、極まりない。だが、仕方ない、仕方ないのだ。
 何しろ、この身に宿るオークの本能、その嗅覚にて、雌おらぬ憐れな種族は血脈を継いできたのだ。
 それを前にして、嘘偽りを述べる事など、オークヒーローたる我ができる筈もない」

喜劇役者の台詞演技とでもいうように臆面もなく、目の前の彼女を褒め称える。
その根幹が生殖活動に紐づくものでありながらも、その口から零れ落ちるは世辞ではなく紛れもない本心で。
街を牛耳る輩や大淫婦の狂信者の耳に入れば、如何な身分であってもただでは済まぬであろう。
無論、跳ね退ける自信や気概に裏打ちされた言動ではあるが、次いだ女の言葉に口端を緩め。

「幾十、幾百の棘に穿たれようとも、欲するオンナを前に退くのは我が名折れ。
 その死棘で、我が肉体を刺し穿ち、穴だらけにしてみせよ、美しき姫よ」

立ち止まって女へと向き直れば、徐ろに右手を伸ばして接吻を拒まれた彼女の右手を掴み。
左手をその背中へと回せば、細身の矮躯を抱き締めようとして。

ルージェ > 陽の傾き。あるいは影の濃さを確かめるように視線を滑らせる。
それから傍らに懲りず侍る巨躯の男へともどす。

聞くものもないというのに、芝居がかった言葉で、賛美を囀る声音を耳に流すもあまり感銘は受けない。
その言葉の真偽のほどは測りかねた。何よりかの大娼館に一度でも足を運んだものはそのとりことなるという触れ込みが───第一区画の紹介文に記載されていたのをぼんやり眺めた程度。
その程度の認識しかもっていない女にとってはその言葉のありがたみもそも分かりようがないのだ。

「───慮外者」

手を引く仕草に、足元の影が呼応するように、棘が伸びる。
自身の手首ごと刺し貫かせるよう、無音の牙が、がちりと女の周囲を刺し貫いた。いくつかは壁に刺さったがその程度の損壊なら──可愛らしいものですむだろう………おそらくは。

淡々とした声音、眼差しには少々苛立ちを孕んだ。
男がそれで手を退かせるならいい。
そうでなくともその手を払うと、音もなく飛びのくと影に身を委ねる。

ぞ、と半ばをその中に埋め。

「あなたの都合を押し付けられるのはごめんですわ、不埒な方。
──御機嫌よう、さようなら」

一方的な言葉に、一方的な言葉を返すと、とぷ、とその気配を融かしきり。
その路地裏から何処へかと姿を消した。

ご案内:「魔族の国・欲望の街「ナグアル」」からルージェさんが去りました。
スラッグ > 女の短い一言と共に闇から伸びる棘が手首から前腕を刺し穿つ。
革製の籠手を容易く貫いた棘は鍛え抜かれた筋肉をぞぶり、と食い破り、
鮮血を噴き出させながら、腕を貫き、周囲の壁へと突き刺さる。

「ッ、……、成る程。これは中々に手痛いものだな」

腕を貫かれても、手を退かせる無様を晒す真似はしない。
だが、影を掴むように相手の腕がすり抜け、闇に溶け込む様子に目を見張る。
吸血鬼の影渡りに対応する術など持ち合わせいないオークの戦士は、
ただただ影の中へと消えていく女の姿と、その声の響きを見届ける他はなく。

「くははっ、次は死棘にこの身を貫かれても、影ごと抱かせてもらうぞ、ルージェ」

人気のない薄昏の路地裏に高らかと笑い声を響かせると踵を返して、
人通りの多い歓楽街へと愉快そうな面持ちで、闊歩していき――――。

ご案内:「魔族の国・欲望の街「ナグアル」」からスラッグさんが去りました。
ご案内:「魔族の国・欲望の街「ナグアル」」にネクロマリアさんが現れました。
ネクロマリア >  
「それじゃあ、お店の準備よろしくね~♪」

第一区画に在る、淫魔大娼館『リリートゥ』
そのオーナーでもある淫魔女王はいつも通り、にこやかにキャストの淫魔達に手を振ると、その足で中央区へと向かう。

「ふふ、こんにちわ~♡ 今日も良い陽気ね♪ 此処(魔族の国)はいつも薄暗いけど~」

間延びした口調で、露天商なんかにも愛想っぷりの挨拶を振り撒きながら、往来を闊歩する。

交易品などを見るのが目的だが、稀に訪れる街の外からのお客さん…。
時には人間の国からやってきたり、連れされてきたりして、文字通り露頭に迷っている人がいないか、見回っているのだ。

ネクロマリア >  
「あっ、これ~、あんまり見ないお酒ね♪
 人間の国からの交易品かしら~。うーん、興味湧いちゃう…。一杯買うからおまけしてくれない?」

大きめの木箱に藁と共に詰め込まれた、果実酒と思しき酒瓶。
地産のものではあまりみないラベルに思わず視線を惹かれて。

「そうそう、お店で出したら珍しいし喜んでくれるかなぁ…って♪
 え?安くしてくれるの~?嬉しい~♡ じゃあ~…嬉しいからリリートゥのお得なチケットつけちゃう♪」

交渉?成立。
後から箱ごとお店に届けてくれるってお約束。
少しだけお値段は高くついたけど、珍しいお酒にきっとお客さんも喜んでくれるはず♪

ネクロマリア >  
一通り見て回れば、今日もナグアルの街は賑々しく異常なし♪

お店を一通り挨拶にまわって、娼館の宣伝もにこやかに忘れずに。

陽が沈み月が覗くまでもう少し。
夜、魔の眷属が最も盛る時間だ。

ばさりと漆黒の翼を腰からはためかせ、舞い上がれば見下ろすは第一区画「ディスタシア」

今日もたくさんの精が迸りますように♪
おっとりのんびりのカオをしつつも、淫魔らしくそんなことを考えながら我が店へと一飛び、帰路を翔ぶのだった。

ご案内:「魔族の国・欲望の街「ナグアル」」からネクロマリアさんが去りました。