2025/01/23 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート・ファルズフ大聖堂」にアガタさんが現れました。
アガタ > ファルズフ大聖堂、清浄の間とされる場所。
独特の湯の香り、湯気が淡く身を包む。

「────……」

人のいない時間帯を選ぶように女が一人、その禊の場に姿を見せていた。
ひた、と白く磨かれた床の上を素足が歩む。均整の取れた体つきを薄いタオルで覆い隠し。
ひとまずは髪や肌を洗い、漱ぐ。
ふんだんに湯水を遣えるのは組織の大きさと寛容さというべきか。

豪奢なこの場所は、聖女様の使用する間とも通じている。さすがに同じ時間帯に湯殿に足を踏み入れることはできないが、彼女に侍る信徒が禊をする場所でもあるのだから整えられているのが望ましいのは自然なことだった。

数種類の香料や薬の混ぜ込まれた乳白色の湯に体を沈めると、わずかに眦を震わせる。
心地よさというよりは自分を蝕む傷跡の疼きを同時に感じるが故の、不快も交じったそれ。

「────ハァ」

溜息は疲労を溶かすように。異色の双眸を伏せて熱が体に染み入る心地をただ味わう。

アガタ > 温まった膚が薄く染まると、古傷が白く浮かび上がる。
その中でも異質なのが腰部から広がる大きな傷跡だろう。
それは肌よりも濃い紅色として裂傷とも、或いは徴ともいえるような痕は腰から花弁上に胸部や、脚部へとその爪痕を残し。

それらは、いまだに女の体を静かに蝕んでいる。
清浄の間で使われている香料や薬ではそれらを抑え込むのには弱いものではあったが、気を紛らわす程度にはなる。
ぱしゃ、と軽く湯を跳ね、顔を拭う。
そうでなくとも冬の中にあって、この温かさは得難い。

ひとしきり体を温めると、湯を切るように体を引き上げ。
再びいつもと変わらない従士としての生活に立ち戻ってゆくのだろう。

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート・ファルズフ大聖堂」からアガタさんが去りました。