2024/12/01 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート・ファルズフ大聖堂」にマカナさんが現れました。
マカナ > 大聖堂の中にもいろいろある。
表の誰でも入れる場所、裏の一部の者しか入れない場所、そして、その中間区域。

とはいえ、この大聖堂においては、中間区域から向こうは騎士たちに任せておけばよい。
司祭階梯などは、表をどうきちんと管理するかの方が大事なのだ。

……とはいえ、それは『シスター・ルチア』のお話。マカナは司祭階梯ながら、裏の方が専門だ。
無論、大聖堂に戻ってくれば、『シスター・ルチア』になるのだから、今いる場所は表の場所。
忠実な信徒や、裏があっても寄付をする貴族や王族、商人たちなど、教団の顔となるための仕事なのだ。

そんな今日は、大聖堂の掃除の差配。
信徒たちが奉仕活動として動いてくれるため、どこをどのように誰にやらせるかが一番の仕事。

そして、指示だけをしていては人はついてこないので、自分もまた掃除を続ける。
このバランスが難しい、という同僚もいるが、マカナにとってはさほど難しいことではない。
なぜなら、周りの顔色を見ればどれくらいが良いかはわかるのだから。

マカナ > 「はい。祭壇の掃除はそれで終了です。
少し人数が足りていない、信徒席の掃除を手伝っていただけると。

ええ、祭壇上の物品に関しては後程私が。」

状況に合わせた指示を出して、手を出させない部分は明示する。
元々コミュニケーション能力の高さは折り紙付きだ。
誰に、何を、どのように伝えればよいのかは得意なのだ。

信徒たちは次に指示に合わせて動きを変える。

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート・ファルズフ大聖堂」にメレクさんが現れました。
メレク > 教団施設の一室、醜悪を絵に描いたような男が教団の神官と談笑に及んでいる。
上等な仕立ての華美な装束を、肥えた腹で台無しに目一杯に広げながら、
蝦蟇の如き口を綻ばせて嗤う男は、会話を切り上げると金貨の詰まった袋を神官へと差し出し。

「これはいつもの寄進です。
 ふひっ、聖バティスタにも、また今度、是非お目に掛かりたいとお伝え下さい。」

聖バティスタ派騎士修道会とヤルダバオートの娼館街、そして、奴隷商である彼は、
『神の塩粒』なる聖薬の流通に於いて、一枚噛んで稼ぎを分け合っている間柄である。
麻薬を蔓延させる為の娼館へと娼婦を卸したり、中毒者となった信徒を奴隷として売買する。
そんな人身売買も含めた商いでの儲けの一部が寄進という形で修道会に還元される。
持ちつ持たれつの関係性は彼等の懐を肥やして、人々を奈落の底に追い立てる事だろう。

「それでは、これにて、……ん? ふむ、成る程。では、折角ですので大聖堂にも足を運ばせて頂きましょう」

上納金を収めた後、目当ての人物も居ない事を知り、言伝のみを残して席を立とうとした折、
大聖堂で行なわれている信徒達の奉仕活動のことを耳にすれば、少し考えた後、其方へと足を運ぶ。
大勢の信徒達が掃除をする様子など、普通の貴族であれば汚らわしいと目に入れるのも嫌がる所だが、
奴隷商人としての彼にして見れば、商品の見本市のようなもので、大聖堂に入れば仕事に励む信徒の様子に目を配らせて。

マカナ > 掃除は進む。とはいえ、大聖堂内はきちんと清潔に保たれなければならないため、進むからすぐ終わるという訳でもない。

寄進を終えたのち、大聖堂に現れた男についても、ちらり視線を向けて確認するのみで、掃除の邪魔をしないのであれば特に気にすることでもない。
まぁ、司祭階梯である己はその相手が誰かなどというのは当然知っていることではあるのだが。

教団とどのような関係にあるのかも当然知っているがゆえに、信徒たちにどのような視線を向けて来ても敢えて言葉にも注意もしない。
場合によっては、この場の信徒が彼の『商品』になる可能性もあるのだから。

とはいえ、大聖堂という表の場において己が彼に何をするという状況は存在しえない。
なぜなら、『シスター・ルチア』は、『裏には触れない』ものだという事になっているのだから。

「はい、信徒席もだいぶ綺麗になってきましたね。
……はい、上部の埃落としが終わったのですね。
ならば、壁拭きのお手伝いに回ってください。

ええ、床掃除は最後です。汚れは上から落ちてきますので、高い所をすべて終えてからの方が効率的でしょう?」

故に、掃除差配を継続していくのだった。

メレク > 女司祭が差配をして大聖堂が隅々まで磨かれる中、
来客の貴族は黙々と視線を信徒達へと這わして値踏みを済ませていく。
今後、修道会にとって恩恵を齎してくれそうな信徒、
即ち、奴隷市場にて価値がつきやすい働き手の男や、見栄えのよい子女へと目を付けていき。

「ふむ。流石ですねぇ……、聖女の教えが行き届いており、皆が活き活きと働いている。
 それに、差配役の彼女も随分と優秀なようですなぁ」

一通り、信徒の値踏みが完了すれば、視線は場を取り仕切る女司祭に向けられる。
司祭服に包み込まれてなお、女の色香を滲ませる彼女の肢体に舐めるような視線を這いずらせると、
口端を歪めながら、其方の方へと近付いていき。

「ふひっ、もし、シスター。勤勉なお仕事ぶりを拝見させて頂きましたぞ。
 お時間が許すのであれば場所を変えて、修道会の教義についてお話できればと思うのですが、如何ですかな?」

女司祭の傍らへと近付けば、貴族という立場にしては奇異な程に丁寧な口調にて話し掛ける。
ずぶずぶに利害関係が絡み合った教団と彼の間柄、聖職者や信徒による閨での接待も過去幾度も行なわれており。
されども、信徒の手前、飽く迄も敬虔な信者の一人を装いながら、司祭へと礼を尽くして見せて。

マカナ > そうこうしている中で、近づいてくる男。
そして、一人の司祭に声をかけた時、メレクの付き添いである神官が、『こちらの司祭は……』と静止の言葉をかけようとする。

だが、近づいてくること自体を感知していたマカナは、顔を上げて神官を見やり、軽く右手を上げてその先の言葉を止めてから

「……ご検分ありがとうございます、サマリア辺境伯メレク様。
私はこの後も作業の差配が入っておりまして、『教義に関する問答』を15分程度であればお付き合いが可能ですが、
『修道会の協議について深くお話』をされたいとおっしゃるのであれば、別の者を手配いたしましょう。」

笑顔で返答を返すものの、メレクは少なくとも、修道会においてあまりない返答をされたと感じるかもしれない。
少なくとも、『修道会の協議について深くお話』出来る者で幹部を除けばメレクの爵位や名前に言及する者はいなかった。
また、寄付を受け取る司祭よりも、この司祭の方が高位にあることは二人のやり取りから察することができる。
故に、目の前の司祭は『修道会の協議について深くお話』の対象ではないことは分かるが、
先の司祭の話を止めて、短時間だから時間を取ると言っている。
それは、メレクが何者かを知った上で、場合によっては短時間話をする必要があると考ええていることでもあって。

つまり、ここでメレクは目の前の司祭に3つの選択肢から、選択を迫られていることとなる。
1つめは、別に差配される別の聖職者と『修道会の協議について深くお話』をすること。
2つめは、今日は縁がなかったと大聖堂から除すること。
そして3つ目は、この司祭が何を話すのか、短時間時間を取ること。

彼が選ぶのは……

メレク > 付き添いの神官が紡ぎかけた静止の言葉を目の前のシスターが遮り、
告げられる言葉に双眸を瞬かせると、頬肉を綻ばせる。
一目見れば忘れられない(悪い意味で)風貌の男ではあるものの、彼女に対していまだ名乗りも挙げていない。
それにも関わらず、彼女が自身の事を知っているという事は、彼女の修道会での地位の高さを裏付ける。
その上で持ち掛けた話を断ると言うならば、それはそれで構わないのだが、
ただ解せぬのが、その状況下で持ち掛けられた短時間での問答の内容。

「ふむ、成る程。
 お忙しい所、お手を煩わせてしまい申し訳ございませんなぁ、シスター。
 しかしながら、興味が湧きました。少しの間、貴重なお時間を頂けますかな?」

提示される選択肢に対して、返した返答は3番目の選択肢。
恐らくは、何も知らぬ純真無垢な敬虔な使徒ではなく、修道会の裏の顔に関わり合いがあるであろう相手。
その彼女が、短時間でも話す必要があると考えた内容は一体何であるのか。
与えられた謎は、好奇心を刺激して、愉快そうに嗤いを滲ませながら女に応えて。

マカナ > 「ありがとうございます。それでは、少々お待ちを。」

メレクの返答にそう返事を返せば、掃除差配の神官をひとり呼び寄せて、二言三言、この後の差配の引継ぎをしたのちにメレクに向き直り

「それでは、こちらへ。…………どうぞ。」

そう告げてから先導し、大聖堂内にある、声は外に聞こえるが、室内の様子は見えない部屋へとメレクを招く。
そして、2人で入ってから扉を閉めて、鍵をかけ、中のソファーの片方を勧める。
腰掛けるのを確認してから己もまた腰かけて、近くにあった紙とペンを引き寄せながら言葉を紡ぐ。

「いつも、多大なご寄付をありがとうございます。メレク様。
頂くご寄付のおかげで、信徒も孤児院もとても恙なく運営出来ております。」

引き寄せた紙に何やらさらさらと書きつけてから、くるり、向きを変えてメレクの前へと突き出して、
自分の髪の毛を、頭の上の方、左右のあたりでツインテールのような形に握る。
その後で、敬虔な、楚々とした神官の視線が、悪戯っぽい、どこかで見たことがあるモノに変われば、べーっ、と一瞬舌を出す。
でも、言葉は先ほどの神官のもののままに続いている。

「メレク様のような篤志家の皆様のおかげで、当修道会も神の、聖女の教えを広めていけるというものでございます。
今後もなにとぞ、お力添えいただけますとありがたいと考えております。」

そして、突き出された紙に視線を落とせば、書いてある内容は……

『こんの、メレクのオッサン、こんな場所であーしを選んでるんじゃねーっての!
どうしても今日我慢できないってんなら、別の子選んで盛っとけって。
あーしとするてんだったら、今度王都に帰ったら顔出したげるから、ザーメン貯めて覚悟しとけよ~?』

改めて文字を読んでから、改めて髪を握った顔を見やれば、
王都で教団の使いとして何度か顔を合わせたことがある、ギャルめいた諜報員と認識がつながった。
誘いをかけて、数度体を重ねたこともあるあの女。
まさかこの二人が同一だとは、さっきまでは認識できていなかったことだろう。


その後、10分ほど、寄付の礼と最近の教団についての雑談を、大聖堂にいる沢山の信徒や神官に聞かせてから、
程なく会話を終わってこの部屋から出てくるだろう。
そして、互いに一礼をしてからその場を辞し、別々の方向へと歩いていく。
大聖堂ではここまで。
王都では何があったのか……それはまた、別のお話。

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート・ファルズフ大聖堂」からマカナさんが去りました。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート・ファルズフ大聖堂」からメレクさんが去りました。