2024/10/30 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート・ファルズフ大聖堂」に聖バティスタさんが現れました。
■聖バティスタ >
本日は大礼拝の儀が行われる日
王都からも大聖堂を訪れる権力者の姿が見られる、宗教的な観点でも、金銭的な意味合いでも重要な日である
「───」
決まり切った、定型句のような台詞を並べ立てるだけの聖女
しかしその変わらぬ言葉が信徒の不安を取り除き、変わらぬ不変の存在である神への信仰へと繋がる
言葉を終え、神像への深き一礼
荘厳に奏でられるパイプオルガンの演奏と共に大礼拝の儀は終わりを告げる
そして──
訪れた王都の貴族・王族達による寄与・献金…
グランドマスターたる少女に直接お目通り、"神の塩粒"の提供…そして騎士修道会、ひいては聖女との繋がりを求め大金を注ぎ込む者は珍しくない
■聖バティスタ >
聖バティスタ派騎士修道会
百余年以上前に現れた『聖女』をグランドマスターとする、ヤルダバオートを信仰するノーシス主教の一派
その規模を急激に拡大したのは、昨今のこと
それは、"神の塩粒"と呼ばれるものの流通を取り仕切る様になってからのこと
強烈な多幸感と依存性、中毒性…そして狂い死ぬ程の禁断症状を与えるその高精製の魔薬は、
主に快楽を求める王国の貴族や王族を中心に愛好家を増やしていった
神聖都市の大聖堂建設、そして運営
各所の教会建設や大規模な聖騎士団の旗揚げ
貧民地区での配給・炊き出しなどの催し
大金を湯水のように使うその背景に在るのは、肉体的…そして精神的に蝕ばまれている王国貴族からの献金に他ならない
■聖バティスタ >
無論そんなものがいつまでも続くわけはない
それは長い歴史で見ればあくまでも刹那的な出来事
肉体と精神を蝕まれた王国貴族から流れ込む金も無限ではない
当然腐敗は進む一方、いずれは完全に爛れ堕ちる
「──変わらぬ信仰。多大な寄与に感謝致します」
鈴の音の様な清らかな声色を奏でる聖女の前に積み上がるのは薄汚れた金
宗教の裏側などこんなものである──といえど、それでもそれを煮詰めた泥のような醜悪の坩堝
それが聖バティスタ派騎士修道会という組織の本質であり、裏の顔
マグ・メールの腐敗と堕落を良しとし、その様をせせら嗤う欺瞞の聖女のただの道楽である
■聖バティスタ >
なぜこんなことをするのか、といえば答えは一つ
聖女は、人間の生き様を見るのが好きである
馬鹿らしく、滑稽で、それでも一生懸命に、底なし沼に足をとられ必死に藻掻くような様が
希望を捨てず生きることに縋り付く様が、その縋る大木はすでに根腐れを起こし枯れかけていることを知りながら手放そうとしない
そんな哀れな子羊達を信仰というより甘美な堕落に導いてやることを救済などと嘯き、嗤う
要するに、馬鹿を俯瞰して見ているのは楽しいということ
──くすり、思わず口元に笑みが浮かぶ
「(……おっと)」
うっかり笑みを零してしまった
集った貴族達には、自分達の寄与に頬を綻ばせて下さったのだというようにしか映らなかっただろうが──
■聖バティスタ >
収めた寄与・献金の額に応じた"神の塩粒"が提供される
裏で、更に高額で買い付ける以外には唯一の正規の入手ルートである
控えた聖騎士達によって手渡され、中には一抱えの木箱程の分量を馬車へと運ばれる者もいた
快楽と腐敗の種、禁断の誘惑
それらを抱え、王都へと持ち帰るのが彼らの役目
「──それでは皆様。またの日…大礼拝の儀にてお会いいたしましょう」
幼気な顔に柔和で清らかな笑みを浮かべ、そう締めくくる聖女、バティスタ───この国は、本日もまた不健全に歴史を積み重ねてゆく…
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート・ファルズフ大聖堂」から聖バティスタさんが去りました。