2024/10/12 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート・ファルズフ大聖堂」に聖バティスタさんが現れました。
■聖バティスタ >
コツ、コツ…と。
聖堂の回廊に軽やかな足音。
その姿を見たシスター達は一様に驚き、慌てる様にその姿勢を正す──。
聖バティスタ派騎士修道会グランドマスター。
聖女と崇められる、その名を組織に関する少女の姿に。
『聖女様──、何故、大聖堂に…』
今日は大礼拝の儀ではない。
唐突な訪問に、司祭達は慌てているらしかった。
「…あら」
清らかな鈴の音の様な声が廊下に響く。
「特別な用事がなくては、私が聖堂に足を踏み入れてはいけませんか?」
問いかけにとんでもありませんと首を横に振る司祭達──。
『せめて事前にお聞きしていれば──』
「いいのよ。気にしなくても。
私が訪れるたびに何かさせては、それも手間でしょう」
ひらりと小さな手のひらを揺らして見せ、軽い足音を響かせ、聖女は回廊を歩み進めてゆく。
■聖バティスタ >
回廊の角を曲がると、聖女は足を止める。
ピタリと立ち止まり、耳をすませば。
背後…ここからでは見えぬ、曲がった回廊の先ではぱたぱたと慌てる司祭達の足音が聞こえる。
「……ふむ」
細く小さな顎先、同じく小さな手指をあて、思案する様に小さく吐息が溢れる…。
「……大礼拝って今日じゃなかったっけ」
そういえばおつきの聖天騎士達も、付き従いながらもどこか不思議そうな顔をしていたような。
───ああ、じゃあ…。
「(一日、間違えたわね)」
■聖バティスタ >
再び、歩き始める。
カツカツと、少し早足。
「黙って付き従うのも良いけれど、誰か一人くらい聞きなさいよね…」
まったく、聖女の言う言葉を一から十まで信を置き、疑わない。
それはいいけれど、聖女の言うことが間違っていたら一体どうするのか…。
いや、彼らの中では聖女が間違いを言うことなどあり得ないに違いない。
狂信とは、そういうものだ。
「はぁ…どいつもこいつも、アホかしら」
ちっ、と舌打ちを零しつつ、向かうのは己の私室。
仕方なし、色々な事情があって前日入りした…ということにする。
今日は聖堂に宿泊し、明日の大礼拝に余裕を持って備えれば良い。
■聖バティスタ >
丸一日も聖堂で過ごすなんで、退屈極まりない。
私室の前まで来れば、入口前に衛士を務める聖騎士が立つ。
来る筈のない聖女の姿にやはり驚き、狼狽を見せている…。
ワンパターンに若干イラッとしつつも、慈愛に満ちた笑顔で微笑みかける。
「警護の任、ご苦労さまです…」
「明日の大礼拝に先んじて、本日は大聖堂に宿泊しようかと思いまして──。
"神の塩粒"にて清められた司祭を二人程、準備と遣いに手配していただけますか?」
方便である。
明日までの退屈な時間を潰すための…。
爛れに爛れた淫蕩に溺れさせ、玩ぶための子羊に過ぎない。
『はっ…了解いたしました。聖女様』
■聖バティスタ >
『あの、しかし…』
聖騎士の中には、狂信者にはまだほど遠い者もいる。
こうして、聖女の言葉に疑いを持ち、言葉を返す者も存在するのだ。
内心、さっさと手配してこいよと思いつつも、今は聖女モード。
清らかで清純な微笑みを崩さず、あくまでも淑やかに。
「どうかされたのですか? 何か、疑問でも──」
『い、いえ…あの──』
聖騎士は言葉を選ぶため、しどろもどろと口を噤む。
…じれったい、言いたいことがあるならさっさと言えば良いのに。
「よろしいのですよ」
「人のすべての言葉は神がお許しになられたもの…」
「どうぞ、あなたの言葉で紡いでください」
にこり。
清らかスマイル──。
『はっ、あ…で、では……』
■聖バティスタ >
『その……大礼拝の儀は……明後日ではありませんか?』
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート・ファルズフ大聖堂」から聖バティスタさんが去りました。