2024/09/08 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート・ファルズフ大聖堂」に聖バティスタさんが現れました。
聖バティスタ >  
今日もまた彷徨える仔羊達を導かんと、司祭や修道女達は神の御下にて根限りの信仰を高める、

併設された孤児院は主に他国との戦争などで孤児となった子供たちが集められ、騎士修道会の元で生活をしている。
──彼らは有用な資源。
文字通り命を管理され、厚い信仰を植え付けられる。
生かされている、という現実が、言葉にせずとも刷り込まれる。
将来的に司祭、あるいは聖騎士を目指す子らも少なくはない。

時折聖女は孤児院にはもその顔を見せ、有望な未来を背負う子供達に祝福を与える。

──本心から言えばただただ面倒臭いの一言。
将来が未来がと言ってみたところで所詮可能性の話。
どうせ大半は娼館送りなのが現実である。
むしろ子供のほうが王都などからやってくる金を持った変態にはよく売れる、

そんなわけで乗り気はしないが。
表向きの聖女の顔は厚く、本心など感じさせもしない。

「皆さん健やかに成長してくださいね」

なんていうくだらない言葉を吐きに吐いて、大聖堂へと戻って来る。

「それでは本日の礼拝の御法話はお任せ致しますね。シスター・ブレア」

朗らかな笑みで仕事を任せ、さっさと自室に引っ込む。
子供を相手にするのはとにかく面倒くさい。
分別のある大人こそ、聖女という存在にみだりに触れようとはしないが、連中はそれも理解らない。

「まったく、糞餓鬼の相手も疲れるものね──」

聖女の私室、豪華なソファに身を沈め、不遜な言葉を吐く。
神はすべてを見て折られます。
聖女の私のこんな態度を野放しにしておくのですから、神はそれをお認めになっているということでしょう。
サンキュー神様。

聖バティスタ >  
天井の魔法照明に己が手を翳す。
その手の甲には特徴的な紋様が刻まれている。

───奇跡。
そう呼び称され、聖女が聖女たる所以の力。

少女が、聖女を名乗りこの地に降りて数十年。
その力に疑念を持つ者も、訝しむ者も大勢いたにも関わらず。
バティスタは奇跡を起こし続けた。
否、奇跡を起こす様"だけ"を人間に見せてきた。
年老いぬ少女を怪物ではないかと勘繰る者もいた。
しかしその証拠を掴める者は誰もいなかった。

結局のところ誰もが聖女の存在と奇跡の力を暴くことが出来なかった。
故に、奇跡で在り続けている。

「嗚呼、人の生(地獄)とは」

「百年見ていても飽きぬもの───」

北叟笑み、異色の瞳を閉じる。

「良き、娯楽ね」

妙に満たされた様な。
穏やかな聖女の声が大聖堂の一室にて零される。

その娯楽の末に滅びが在るとしても、
聖女自身が滅び去る未来があろうとしても。

それすらも、娯楽。

真の地獄とは──娯楽にすらもならない、停滞を差す。
腐敗が進行しようと、滅びに向かおうと…それは言いかれば"変化"
変化が起こる限り、その先への興味……娯楽が生まれる。

「──良い夢も悪夢も」

「夢を見ないよりは、楽しき時間───」

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート・ファルズフ大聖堂」から聖バティスタさんが去りました。