2025/05/28 のログ
ご案内:「タナール砦付近の街道」にタレイアさんが現れました。
タレイア > さてどこで目をつけられたやら、と。

魔族がそのように思うときには既に体にクロスボウの矢が突き刺さっていた。
ローブ越しに血肉を打ち抜かれる衝撃に身体が半回転し、ぐらりとバランスが崩れる。
それと同時に飛びかかって来る屈強な冒険者の振るう剣が男の頭部を叩き、振り抜かれ。
首の骨を呆気なくへし折って、皮膚ごと千切り取り、キャベツのように頭を吹き飛ばした。
魔族は断末魔を上げることすらなく、ごぼ、と水気ある、血の溢れる音だけを響かせ。
軍隊と言うよりは近辺で盗賊行為に励んでいる、そんな出で立ちの冒険者たちがげらげらと笑い声を響かせた。
重たい身体が立っていられずに地面へと倒れ伏して、しばらくの間痙攣を繰り返している。
担がれていたバッグからは薬瓶や薬草が溢れ出て、早速戦利品とばかりに其れを冒険者たちが漁り――

倒れていたはずの身体が、いつの間にか、静かに音もなく起き上がっている。
欠けた頭部の場所には幾本もの触手がうぞうぞと絡み合って形を成しており。
同時に、ローブから這い出る物が完全に油断していたらしい一人の冒険者の足を搦めとり
その体ごと引き摺り倒して、びたん、と玩具でも扱うかのように地面へ叩きつける。

悲鳴と物音に気付いた他の冒険者と来たら、あまりにおぞましい化物の姿に、ひ、と声を上げ。
ある意味では賢明と言える、物理的に対処が不可能だと早々に判断して――脱兎のごとく。
哀れ一人残された男は既に気絶してしまったようで、しかし見逃されることもなく。
唇から、耳から、幾本もの触手が内側に潜り込み、体にはつぷん、と触手から伸びる針が立てられる。
くぐもった悲鳴と幾度かの痙攣を繰り返したのちには、屈強な男の体は最早動くこともなくなって。

「あぁ……しまったな」「案外脆い」

なんて、『有効活用』し損ねたことをぼやく、未だ触手頭のままで。
失った分の血肉、魔力、何かしらで補給できないかと、おぞましい姿のまま、周囲へと意識を向け始める。