2025/03/30 のログ
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ご案内:「地下水道(過激描写注意)」にサワリさんが現れました。
サワリ > 人々の文化的な生活の象徴ともいえる水道設備。
普段は馴染みのない地下水道も、人が寄り付かない場所となれば自然と不法取引の現場になったり不衛生な環境を好んだ生物たちが繁殖する。
時には地上にまであふれる程にドブネズミや虫類が繁殖し、駆除に赴かなければならないだろう。

場合によっては立入禁止にもかかわらず人の出入りの痕跡が見られ、犯罪者の捜索に汚臭へ怯みながらも立ち入らなければならない。
少なくない頻度で地下水道を巡るトラブルには行政や自治体も対応せざるを得ないのが実情である。

……しかし、ここ最近はその事情も変わりつつあった。

「…………」

青黒い、ヒルのような気色悪い不定形の生物があちこちに点在しており、その成体であろう触手群は天井を這いまわって獲物を探っている。

その表面から白い何かが重力に従って垂れさがると、ころころころ……と、頭骨らしきものがレンガの上を転がっていくと黒ずんだ汚水へとぽちゃんと音を立てて落ちていく。

あれほど駆除に悩まされていた業者たちが暇をするほどに、現在の地下水道はえらく静かだ。
あちこちにはヘドロがこびりついたり、さび付いた清掃用具が転がっているが不気味なくらい生物の気配が感じられない。

それもそのはず、本来この辺には存在しないよそ者が迷い込み、皮肉にも掃除屋としてもともと生息している生き物を捕食して回ったのだ。
悲しいかな、その掃除屋は人間や誰かの都合で動いている訳ではない。
調査に赴いた人間さえも、餌として取り込まれ跡形もなく飲み込まれては決して還ることのない行方不明者にカウントされる。

今日もまた一人……

清掃員 > 「おい聞いたか?地下水道で行方不明者が続出……業者も含めて立入禁止だってよ」
「素人や売人が足滑らせてドブに沈んだんじゃねぇの」
「アレじゃね?ひょっとしたら地下水道工事で死んだ霊の噂、やっぱガチだったのかもな」
「やめろよ、呪いとかそういうくらだらねーやつ……」

地下水道の清掃がなくなり、地上の清掃業務の休憩をとっていた清掃員たちが表の街で地下水道についてたわいもない噂をしている。

サワリ > 入り組んだ地下水道の奥深く、開通工事の途中で使われてたであろう袋小路では毒々しい丸い塊が至るところにこびりついている。
腐食した事務机や椅子はほぼヘドロと同化しつつあり、あちこちには成長した太い触手がズルズルと蛇の如く這い回っている。

それらは何かに群がり、じゅるじゅると水音を立てて纏わりついては何かを啜り舐めている。
無数の青黒い軟体に群がられてシルエットしか見えないが、それは大量の蛇に絡みつかれた人間の形にも見えるだろう。
辺りには衣服をまとわず、半透明の白い粘液まみれとなった素裸の成人女性が数名触手の群れに纏わりつかれ、ぴくぴくと痙攣している。
捕食対象ではなく、繁殖対象として目を付けられた者は死ぬよりも惨い地獄の中で異形を生み育てながら殺される事もなく生かされ続ける。

周囲に残るさび付いた金属片は鎧や武器らしき原型を残しており、恐らくは調査を命じられた騎士や冒険者だったのかもしれない。
もっとも、今となっては触手の蠢く音にかき消されそうな呻き声しか発する事が出来ない孕み袋である。

「マ、ア……マ。マ、マ」

ゴムを引き延ばしたような不快な音と気色の悪い水音に混じって発音されるのは、たどたどしく子が母親を呼ぶ声。
人型の形をとった青黒い触手群が、にゅるにゅると苗床に仕立て上げた人間の個体を撫で回している。

サワリ > 触手に触れられ、ひくひくと身を疼かせる苗床に混じって微塵も反応しない者が一人いた。
人型に擬態した触手が繰り返しぬめりを帯びた触手でつついたり身を撫でて刺激を与えるも反応がない。

「……い、た、だ、ぎ、ま……ンギギギギィィ―――」

ぐちゃぐちゃと不快な音を立てると、まるでスカートのように広がった触手群がモゾモゾと急成長。
反応を示さなかった人間を下半身からすっぽり覆い始めると、ぐにゅぐにゅと蠕動しながら内側へと引き込んでいく。
じゅっぽりと下半身を頬張りつくと、そのまま触手を上体にも伸ばしはじめ、肩口まで触手を伸ばすとズルルと己の胎内へ引きずり込み、そのまま頭まで丸呑みしてしまった。

ぶくぶくと膨らんだバケモノの身体からはバキバキと骨をへし折るようなグロテスクな音が小さく響く。
口や顎は持たないが、触手特有の筋力で人体をグニャグニャになるまで圧し折り、体内でゆっくりと消化するのだ。

一滴の血液さえ余さず、長い時間をかけて。

サワリ > 捕らえた人間は苗床であり、かつ保存食となる。
汚水で生活する甲殻類や虫、小魚などとは比べ物にならないエネルギーを補充できる餌に味を占めた触手のバケモノたちは、再び餌を求めて黒々とした汚水に溶け込み、足をとられまともに進めないヘドロ水をものともせず高速で泳いで回る。

じっとりとした湿り気と闇が広がる迷宮とも呼べる地下水道を餌場とする魔物たちは、新たな生き餌を待ち望んで再び徘徊するのだ。
天井、壁、水中……もしくは隙間やパイプ。あらゆるネットワークを自在に行き来して生物という生物を捉えて逃さない。