2024/02/17 のログ
ご案内:「◆平民地区 ギルド訓練場(過激描写注意)」からビーンさんが去りました。
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 地下実験・調教室(過激描写注意)」にマツリカさんが現れました。
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 地下実験・調教室(過激描写注意)」にルヴィエラさんが現れました。
ルヴィエラ > (数多の感情が、要素が、混ざり混ざって混沌を為す
けれど、混ざりあった其れは何時か、一つの色へと収束する物
――黒。 融和の果てに全てが、灰色から、黒へと
僅か乍ら染まり切らぬ、完全な漆黒とは言えぬまでも、二度とは戻れまい
否、そうなって仕舞った以上、戻る事に意味は無い
人として、平凡に生きて死ぬ事など、出来ぬ以上は
或いは逆説、今この場で、そうでなくともこの先、遠からぬ未来に
壊れ、潰え、死を迎えて仕舞うかも知れぬ娘が

もし、生きたいと、足掻いて、願って仕舞うなら
与えられた僅かな可能性に縋る以外の術など、そも、許されては居ない筈だ
学院にとって都合の良い玩具としての存在価値しか無かった娘に
けれど、其の瞬間異なる意味が、価値が生まれるのだ
この淫魔に愛でられ、愛し慕う、眷属としての存在理由が
其れまで必死に保ってきた一線を越え、堕落し、全てを認め、委ねて仕舞えば
娘は赦される。 耐える必要など無いのだと、苦しむ必要など無いのだと
刹那に押し寄せ、娘の脳髄へと堰を切ったように充満する多幸感と解放感は

――娘の魂の奥底に。 新たな望みを、背徳の欲望を、植え付けるには十分だろう。)

「……よく言えたね、マツリカ。 では、次の御褒美に――繋ごうか。」

(ばちん、と、何かが娘の中で接続された気配を実感出来よう
下胎に浮かんだ魔術紋様が一瞬光を強め、其処から、じわりと、魔力が染み込んで来る
其の身を抱く眼前の淫魔と、文字通りの意味だけでなく、主と眷属として、繋がった証
――とは言え、既に他の、数多の強力な呪が刻み込まれて居る娘にとっては
無視出来ぬ新たな主の一人、と言った所になって仕舞うのやも知れないが
其処は大した問題ではない、少なくとも、この場においては

受精を果たした命が娘の子宮に根を張る
深く、深く――魔術回路にすら接続し、娘自身の魔力を吸う為に
一度根付いて仕舞えば最早、以下に其の胎で熱塊が暴れ、蹂躙を果たそうと
根付いた命を滅ぼす事は叶うまい、其れは淫魔からの祝福とも、呪いとも言える物
娘の身体が、僅かに浮き、次の瞬間重力に従って肉槍の上へ落下する
其の衝撃で、子宮の裏側に形作られた、射精の為だけに存在するスイッチを
苛烈に抉って、まだ終わらない受精と射精の、両方を同時に強いれば。)

「―――――……不安や恐れを全て…、……私が蕩かしてあげよう。
これからも。 ……君が望むならば、何時でも。」

(――右手が掲げられる。 其れを合図に、薬液の注入が次第に抑えられて行く筈だ
其れでも、娘の胎が其の圧迫感から逃れられる訳では無い
腸内に充満する物が、次第に吸収され、消化され行く其の代わりに

――子宮が次第、重く、張り詰めて行くのだから
充満し続ける精の重みだけではない、確かな――命の、重みを携えながら
産まれると、そう予感出来るだろう。 其の時は遠くない、と)。

マツリカ > どろりと淀んだ何かが己を満たしていく感覚。それは、淫蕩に堕ちることを忌避するが故の印象だろうか。
濃密な灰黒色が足元から迫り上がって、己の頭の天辺までもを染め上げてしまう。そんな光景を幻視すらする。
取り返しの付かない不可逆な変化。逃れるには己の命を捨て去る以外には認められないだろうそれが迫ってくる。
込み上げる恐怖は引き絞られる弓に似ている。きりきりと限界まで撓む心が、必死に理性を繋ぎ止めようとする。
耐えて、耐えて、耐えて。必死に耐え続けた結果、それでも限界を超えて際限なく責め苦が続いてしまえばどうなるか。
絞りきった弓の弦を放せば、その反動で番えていた矢が勢い良く放たれる。弓の弦は理性で、放たれる矢は本能だ。

「ふぎゅっ、ぐ、ぎぃぃいいいっ――んぃ、ぃ、いぃぃいいいぃっ♡」

軽い体がぎちぎちと軋みながら調教台の上で跳ね回る。忘我の快楽に浸る肉体へと淫魔の魔力が染み込んでいく。
明滅する下腹部の刻印はこれまでに無い程煌々と明るく、妖しい紫色の魔力をばちばちと弾けさせながら輝いて。
種が書き換わる。当人が望まない悪趣味な奇跡が、全身を構成する細胞の一つ一つにまで焼印の如くに作用する。
学び舎の地下で密かに保存される少女の肉体情報は、人の身を魔に堕とす儀式の貴重なサンプルにも成り得るものだろう。
例えば政敵を人工的に魔族化して汚点とし、失脚させるなどという陰謀にも使えるかも知れない悪辣な研究の扉ともなる。
そんな、魂の変革が今この瞬間に行なわれていた。生きたいと願う、そんな事すら罪なのかと僅かな人の心が嘆いた。

「かひゅっ、ふっ、ひゅぐっ――♡ ごしゅ、じ、しゃまっ――ん、ぃいぃいっ♡ じ、ぎゅぅ、どげ、りゅっ♡
 お、にゃがっ、にゃに、じでっ――♡ ぐ、ぎゅっ、いぃぃいっ♡ いだ、あ、あぁああっ♡ うま、れりゅ、うまれっ――♡」

男が魔力を注げば、少女の下腹部は刻まれた紋様ごと引き伸ばされて、風船の様にぷっくりと膨らんでいく。
新たな主となった彼の意志を酌んでの強制懐妊・出産。その為に、少女の子袋が内側からみちみちと広がった。
同時に尻穴に注がれ続ける生命維持用の魔法薬は、急激な胎児の成長で消耗した少女の魔力と栄養素を補うべく、一気に消費される。
そして、腸が空になってしまうと、本来そこにあるべき魔法薬が消えたことを認識した装置は、追加の薬液をたっぷりと注ぎ込んだ。
次々と注ぎ込まれる薬液を消化・吸収しながら、子を育むだけの肉塊になった少女は文字通り苗床と言うのが相応しい存在だろう。
そして今も尚、母体の中では無数の受精卵のストックが生み出されては刻印の力で保存され、伴う快楽で煮詰まった白濁が溢れ出る。
固く屹立しながらも小ぶりな陰茎が、へばりついた黒い粘液オナホを孕ませんばかりに精液を注ぎ、それは何処かの娘の腹へ飛ばされる。
そうして、かつて少女が産んだ何人居るかも判らない娘達は、例外なく母の娘を授かり、彼に都合の良い幾人もの雌を生み出すことになるだろう。
そして、胎児の成長が一段落する頃、彼が右手を上げると薬液の流入は少しずつ緩やかになっていく。必要十分な量を注げたということか。
今も尚、ぷくぷくと膨れていく腹部。その中の胎児は、少女の腹に収まっていた薬液を全て消費して、丁度臨月まで成長し切る。
ここまでくれば、あとは孕んだ胎児を産み落とすのみ。ずきん、と子宮が収縮するに伴う陣痛が駆け抜けて、脂汗が多量に滲んで。

「んぎっ、う、ぎゅっ――ふぎっ、ぃ、ぃぃいいいっ♡ お、にゃがっ♡ うまれりゅっ、がらっ、にゅい、でぇぇっ♡」

何度目かわからない出産は、しかし何度行っても慣れないもの。走る痛みに身悶えしながら、まずはさらりとした破水が始まる。

ルヴィエラ > (――一度、娘の額に口付けを落とす
十分に膨らんだ腹の中、臨月となり、産まれ落ちるに十分となった赤子の気配を感じて
漸く――熱塊が、抜け落ちる。 弾けて零れ落ちる羊水に洗われ
焼けた鉄棒の如くに空気を熱し、湯気を立ち昇らせる、熱塊を

娘の身体を抱き上げ、今度は己が揺り籠となり、背後から抱き支えよう
台の上、其の両脚を確りと開かせれば、娘の指先を絡め取り、縋り握る掌を与え
肩越しに頬を重ねながら、愛らしい娘を愛でる様に、幾度も口付けを触れさせる
陣痛を合重ねながらも、未だ赤子に魔力は注がれ続け
子宮は陣痛と同時に、確かな快楽を反響させながら、出産すらも娘に
決して苦痛だけの行為では無いのだと、刷り込んで行く事に為ろう。)

「さて、今度は私が父親だ。 ……以前の時は、娘ばかりだったが…。
今回は娘か、息子か…何方だろうね?」

(娘自身の遺伝子情報のみで、受精を果たした前回は
男、が産まれる余地は欠片も存在しなかったが
今回は違う。 娘が生まれやすいのが淫魔では在れど、男が
インキュバスが産まれ落ちる可能性も、十分にあり得る事
いずれにしても、此処で産まれ落ちる子供は、学院ではなく、己が引き取る契約だ
多少の研究対象として、観察させて欲しい、と言う要望は叶えるが
己が血を継いだ以上、家族である以上、は

淫紋が輝きを増し、少しずつ娘の痛みを和らげて行く
創り変えられ、人の枠を超えた肉体は、産む事にも耐え、壊れはしない筈だ
子宮孔が、急速に開いて赤子の頭を通そうとし始めれば
ぎちぎちと、肉の器が弛緩と収縮を繰り返し、軋みを訴えるだろうが

其れを上塗りして遣る様に。 娘の掌ごと、指が、両翼に押し付けられて
――優しく、絞ってやるのだ。 臨月で在れば本来眠りについて居なければならぬ筈の其処を
快楽を与えて遣る、ただ、其れだけの為に)。

マツリカ > 額に落ちる口付けは淫魔による祝福か。少女の魔力と栄養を根刮ぎ奪い尽くして育まれた子は、尚も貪欲に魔力を食む。
それは肉体の成長ではなくまた別の用途――例えば精神等の内面部分の成長に使われ続けているのだろう。
彼に抱き上げられながら、衆目にすら晒されてしまう公開出産。これもまた、学び舎の稼ぎの一部を担うことになる。
出産と言えば生命の神秘である。見たことがない者も居るだろう。それが、怖いもの見たさや好奇心から覗くのだ。
或いは、そういう光景を性癖とする者達も居る。女性の股座が開き、奥から子を産み落とす。その瞬間を好む者が。
眷属となった少女は、彼の愛を注がれながら調教台の上で息み続けている。痛みが、快楽が、少女の中で暴れている。
ひっ、ひっ、ふっ――自然と身についた出産の呼吸は、少女が子を産み落とすことすら経験済みと示すものだった。

「んぃ、ぎっ――ぅぅうううっ――♡ んぁ、ぐっ、うぁ、あ、、いぃぃいぃいいいっ――♡」

痛くて気持ちよくて辛くて苦しくて心地よくて――様々な矛盾を孕んだ感情に振り回されながら、ただ息む。
その最中に、腹の中の赤児は子宮口を抉じ開けて、ずるずると開ききった産道を掻き分ける様に進んでいく。
やがて頭が顕になる。肌の色は少女のものを受け継いだのか、とろりと蕩けたチョコレートを思わせる褐色で。
ただ、髪は少女の真珠色でも彼の銀髪でも似通った色合いになるだろう。瞳は目を瞑っているからわからない。
性別も今の少女と彼の子供であるならば、息子でも娘でもあり得るし、半陰陽ということも想定されることだろう。
孕んだ時の少女がふたなりだったのだ。途方もない快楽の連続で、しとどに溢れ出た脳内麻薬の味も知っている子の筈だ。
少女は知らないが、産み落とされた子は彼が引き取ることになるらしい。だとすれば、実験動物になるよりマシだから安心か。
彼の元で育つならば、少なくとも衣食住や教育には苦労しない筈だ。少なくとも、少女よりは真っ当な生を得られるだろう。
淫魔の性も持ち合わせるならば、サキュバスでもインキュバスでも、淫蕩を忌避しないだろうから少女よりも生きやすい。
母として、そこだけは安堵する。そんな最中に、彼の手が己の両手をそれぞれ絡め取り、下腹部の両翼へと動かして。
子宮の両翼。そこに存在する、もう損耗することのない無数の卵を抱えた器官を肉越しに捕らえると、彼の掌毎、沈んで。

「ふぎゅっ、ぅ、に、ぃぃぃいっ――ちゅ、ぶ、れりゅっ♡ たま、ごっ♡ んぃ、ぎ――ぃ、いぃぃぃぃいいぃ♡」

ぷちぷちと卵が潰れてしまう錯覚。実際には多少の圧迫ではびくともしないそれらが、弾けてしまう夢想に蕩けていく。
自身の子供に成りうる存在を無為に使い潰される――そんな、非人間的な愉悦に、マゾ雌苗床の情欲が喜びを覚えてしまう。
絶頂と出産の収縮が重なれば、赤児は先よりも早く産道を滑り落ちて、やがてズルリと全身があらわになることだろう。
とは言え、少女は疲労困憊で確認など出来ない。どんな子供か、娘か、息子か、小さいのか、大きいのかの全てが不明だ。
だが、きっと彼が確認して教えてくれる筈。そんな信頼すら懐きながら、最後に胎盤を産み落とすと、赤児の泣き声に微かに笑んだ。

ルヴィエラ > (もし、娘の存在が学院にとって有益なもので無くなったなら
ありていに言えば、金が稼げなくなって仕舞ったら
其の先に待って居るのは、今よりもさらに非人道的な実験道具の日々となり得る
金が稼げるから、容姿に手を入れないのだ。 金が稼げるから、壊し切らないのだ
其れもまた、娘の置かれた状況が、環境が、如何に絶望的で救いが無いかを示しても居る

――其の中で淫魔が与えた物は、呪いとなるのか、祝福となるのか
其れは、後になってみなければわからぬ事、だが
少なくとも、産まれ行く命にとっては間違いなく、祝福、で在った筈だ
少女の容姿と、己が容姿を掛け合わせたような、美しい赤子
流石にまだ開かぬ瞳までは判別出来ぬが、台の上に、産まれ落ちた其の命は
少なくとも、男の子、の特徴を備えては居た事だろう。)

「―――……ふむ、欠けも無く、五体満足の様だね。
……よく頑張ったねぇ、マツリカ。 君の肌色に、私の髪色を備えた、可愛い男子だ。」

(――母体の中で充分以上の魔力と栄養を喰らったからか、普通の赤子よりも大きく育ち
其の身体を抱き上げれば、糸の様に伸びた影が、臍の緒の根本を縛り付けた
ぷつり、同じく影の仕業であろう、綺麗に切断された臍の緒と、赤子の身体が分かたれた後
其の身体が、娘の胸元へと乗せられ、自らが産み落とした命を、抱く機会を与えれば
きっと、其れ迄泣いていた赤子は、本能的にか、一心不乱に母親たる娘の胸元に顔を押し付け
乳をせがもうとするのだろう。)

「……、…後で、少し拭いて挙げねばね。」

(疲労で、抱き締める事も億劫であろう娘の両掌を誘い
共に赤子を、腕の中へと抱かせてやりつつ
周囲の好奇の視線なぞ、何も気にする事なく、娘に声を掛ける
――未だ目深に被った儘のフードでは、観客が己が人相を確かめる事は難しかろう
奇特な淫魔が居る物だと、思われても、其の程度にしか認識されぬのは
協力者である己への配慮で、観客側にそういう阻害が掛けられているからだ

故に、如何あろうと気に留めぬ。
未だ荒い呼吸を繰り返す娘の顔に、そっと影を覆わせれば
――呼吸すら奪い、混じり合わせる様な、深い口付けを
与えて遣ろう。 快楽を与える為でも、翻弄する為でも無い
人間らしい、父たる己から、母たる娘に送る、愛情の形として)。

マツリカ > 少女が学び舎にとって有益な存在でなくなった時は、確かに悲惨な末路が待っている。
なにせ、学び舎の暗部に長く触れ続けている存在だ。口封じも兼ねて、飼い殺すくらいなら良い方か。
或いはその体質を使って、様々な人体実験の贄になるかも知れないが、それも価値がなくなったらという話。
半ば不老不死でそこそこ容姿の整った少女、と言うだけでも何かしら金になるのだからその未来は当分先だ。
飽きられる、というのが怖いが、そうなれば冒険者課程等に所属を移して、外部に出稼ぎ等も考えられる。
それに、そもそも風紀の乱れたこの国だ。娼婦となれば、生き長らえる程度の金は手に入れることも難くない筈だ。

ともあれ、産み落とされた赤児は男の子だったらしい。彼の精が少女の身に宿した呪いを破った証ともなる。
基本的には雌しか孕めない。そんな卵を孕ませて、雄を産み落とさせる。それもまた、彼の力量故なのだろう。
彼の影が臍の緒を切り、赤児に必要な処置を速やかに施す。こうして、少女の血を分けた淫魔の息子が産声を上げた。
赤児を胸元に抱けば、自然と乳を求めて顔を擦り寄せ、やがてぷっくりと控えながらに熟れた乳房の先を加えて吸い始める。
既に母乳体質である少女だ。特に何をするでもなく、赤児の為の甘露が染み出して、その喉を潤していくことだろう。
完全に疲弊しきっている少女は、彼の手を借りて赤児を抱き上げて、その後は乳をあげるのみ。そこには母親の情がある。
どんな目にあっても、こうして産み落とした存在は可愛く思えてしまう。弱々しく子供を撫でながら、彼を見上げて、そして。

「――んぁ、むっ、んふぁ――ちゅ、ん、むぅ♡」

甘い甘い口吻。出産の後に愛されたのは初めてで、思わず心がときめいてしまう。
貪るよりは啄む程度で、呼吸の合間に口吻を交わし続ける。それこそ、視聴者にも甘い映像だ。
とはいえ、視聴者たる彼らからすれば、学び舎の備品に愛を注ぐ奇特な存在としか思われていないだろう。
一頻り接吻を楽しむと、僅かに落ち着いてきた呼吸を整えながら、可愛い息子を少しばかり強く抱きしめて。

「……お名前、考えてあげてくださいね、ご主人様?」

立場上、あまり面倒を見られないだろうから、彼の下ですくすく育ってくれることを願いながら、今出来る限りの愛を注ぐ。
色々思うところがあって複雑な心境であっても、今この時だけは確かに母親として、生まれた子供と父たる彼への情に満ちていた。

ルヴィエラ > (――舌を柔く触れ合わせる、其の程度
娘の腕が、確りと赤子を抱き支えるなら
代わりに己が指先は、娘の目元を撫ぜながら、労いを伝える
直ぐに赤子から娘が引き離されたりしないのは、一言言い含めたからだ
『君たちだって、産まれた時はそうだっただろう?』―――と。

淫魔の子の成長は、産まれた後はまちまちだ
直ぐに成長して、暫く見ぬ間に大人になる子も居れば
人と然程変わらず、ゆっくりと歳を重ねる子も居る
娘の血を引く子の赤子が、どんな育ち方をするかは、まだ分からぬが
確かに、娘の子であると。 そう感じられる何かは、在る筈だ
単純な魔力の繋がりと言った要素とはまた異なる、理屈ではない、母親としての本能にて。)

「――――……何か、案は在るかな? 私が決めても良いが、君が決めても構わない
或いは――後日、相談に来ても構わぬよ。」

(名前については、是と頷き返すだろう。
耳元で、眼前で、囁き合う言葉までは、周囲の観客には聞こえまい
他ならぬ娘自身の母乳と魔力を必死めいて吸い上げながら
赤子は、母の腕の中で、その温かさと、心臓の鼓動を肌に伝えるか

――後、どれだけの時間が残されて居るだろう。
漸く、真っ当な、人の言葉を交わせた様に思えるが
されど、其れを続けるには、相応しい状況とは言えぬ場だ
娘に施される実験が、此処で終わるのか、それとも未だ継続されるのかまでは知らぬが
少なくとも、担当職員が戻って来るまでは、僅かな休息を与えよう

――不思議と。 赤子が娘の乳を吸っている、其の間だけは
暴虐めいた快楽も、おぞましいほどの発情も静まり――澄んだ心地で、居られる筈だ)。

マツリカ > 腕の中で暖かく灯る赤児の命は、少女にまた一つこの世への未練を増やしてしまう。
これから先、少女が末期の際に経ったならその度に思うのだ。この子は大丈夫なのか、と。
真っ当なものであれば生きる気力になるものだが、少女の様に過酷な将来を背負うものには毒でも在る。
だが、こうして体の殆どを魔の物に変えられてでも生きたいと願ったのだ。自ら命を断つことはあるまい。
この子がどの様に育っていくか。それもまた、今後の少女の楽しみとしてあり続けることになる。

「……お言葉ですが、急にこの子を産み落としたのですから、全く用意がないですよ?
 まさか、魔法具の実験で母親になるなんて、想像してませんでしたし……」

名の案を問われたならば、少しばかり悩んでみるものの中々思い浮かばない。頭も疲れているのだろう。
今はスポンサーたる彼への配慮か、映像も生放送ではなく先の出産動画のリプレイが放映されている。
最後に残った魔力も胸元の彼に分け与えてしまうと、疲れとはまた違った体の重さと怠さにぐったりと潰れた。
子供はそのまま彼の腕の中へ。気力で起こしていた体を横たえると、ぐわんと眼の前が揺れるような感覚が走る。
姿勢を変えた後、時間が許す限りは寝たまま子供を胸元に乗せ、滲む乳液を飲ませられる限り飲ませ続けて。
やがて職員がやってくると、流石にこれ以上の負荷は実験にもノイズが生じるとのことから一頻りの休息に入る。
とは言え、データ収集のために外された少女の両足が戻ってくる気配はまだないことから、実験そのものは続くのだろう。

「……むぅ、全く望んでいなかった筈なのに、産んでしまうとこんなにも可愛く思えてしまうのがずるいですね」

柔い頬を優しく突いてみたり、撫でてみたりと許される限りのスキンシップを試みながら、親子三人水入らず。
そんな優しい時間を経て、少女はくったり力尽き、やがて肉体が強制的に休眠を求めて意識を飛ばすことになる。
すぅ、すぅ、と寝息を立てる少女の胸元で、子供は満足行くまで乳を吸い、後は彼の手元に収まることになるだろう。
願わくば、生まれ落ちた彼に健やかな将来を。母としてそんな願いを祈りながら、とっぷりと微睡みに沈んでいく。
その表情は何処か穏やかで、安らぎと充足感に満ちていた。そうして、僅かながらの幸せな時間は過ぎていく――。

ルヴィエラ > (零れ落ちて、失ってばかりで在った娘の掌に
新たに増えたのは、娘の模倣品でも、道具でもない、命
娘自身の掌だけで在れば、其れもまたいつか、零れ落ちて仕舞い兼ねぬのだろう
されど、この命は、娘以外の、父たる魔の掌が共に包み込んで居る
其の掌に、信を置くか否かは、また娘の感じ方次第だろうが
――二つだけの掌よりは、きっと、安心出来る筈だ

文字通り、精と根を使い果たして動けなくなる娘と、其の赤子を
暫しは己が腕の中に抱き支え、久方ぶりの、穏やかな休息に変えようか
映像が切り替わって居るのなら、甘やかす様な口付けが、眠りに落ちそうな娘に幾度も降り注ぎ
そうして、きっと、娘が意識を落としてしまいそうな、其の間際で。)

「……では、また会いに来よう。 君がもう少し元気な時にね。
客人として声を掛ければ、実験では無く、のんびりと話も出来るだろう?」

(――無論、”何も無い”時間とは、娘にとっては貴重な時間だ。
ただ言葉を交わすだけで終わる保証は、中々出来ないが
名前を相談して、そして、又会わせてやる事位は、きっと叶うであろう
母親と、その息子が。 程なくして二人、すやすやと深い眠りについて仕舞うなら
もう引き取って良い、と言う職員の指示にも暫しは動かず
二人共を、父親として愛でて居るだろう

――娘が再び目覚めた時に、傍に居て遣る事は叶わないだろうが
その片腕へと巻かれた、見覚えの在る、灰色の布地の切れ端が
己が存在が、決して夢幻では無かった事を、教える筈だ――)。