2023/09/03 のログ
ご案内:「◆夜ノ街(過激描写注意)」にルージェさんが現れました。
ルージェ > シト
                シト

     シト


皓い月明かりを背後に受ける中、黒く滴る死が降り落ちる。
夜の縁に沈んだ街。
其処が人のそれであっても魔のそれであっても、夜を渡るモノにとってはさほど意味はない。
強いて言うなら──魔の街の方が話が早い。それだけだ。

そこは己が領地ではなかったし、気紛れを重ねた結果がそこに現出する。

影から鋭角に突き出たものが、憐れな何かを咀嚼する。


ぐち、ぐち、ぞるり。

影の主はただ、月の明かりを背に受けて、滴る死を伸ばした舌に受け止める。


血赤の眼差しが逆光の中に赤く滲む。
それ以外は、白と黒、モノクロームの影絵に沈み。現実感を遠ざける。

咀嚼し、すり潰し、のたうつ音すら、ただ遠くに。

ルージェ > 随分と軽くなったそれをゆる、と降ろす。
抱き込むように、頬だった、顎だった其処に手を添えて。

つい、と頤を押し上げる。
寄せる唇はまるで恋人の逢瀬のように、甘いくちづけを齎す動き。
濡れた舌先が、瞼に触れてこじ開ける。

「────、………ん」

熟れた果実に歯を立てた時のような感触。づ、と引きずり出したものを、愛おしそうに咥えて、口腔内に迎え入れる。

づぶ、と果汁が溢れて満ちるのを嚥下した。

ぺろ、と唇を舐める舌の動きは陶然とした色を浮かべ。
満足そうにすると、それを影の中に落とした。陰から延びる杭、あるいは死の棘。どう表現するのでも構わないが────。

熟れた果実が潰され、その陰の中に飲まれてゆく音だけが響く。
満足そうな表情を浮かべた女は、その白い面を照らす月明かりに視線を馳せて。

ぞる、と夜の影を引きずりながら、その皓ささえ厭うように影の中に沈んでいった。

ご案内:「◆夜ノ街(過激描写注意)」からルージェさんが去りました。