2024/03/11 のログ
シャーニィ >  
「……つまらぬ。ああ、つまらぬ。
 実に、つまらぬ結果であったな。
 これで吾が、吾として完成するかと思ったのだが。」

黒のシャーニィは、眉をひそめ心底面白くなさそうに言葉を紡いだ。
赤のシャーニィは、いつもの思慮深い顔をして佇んでいた。

「ァネルサゥ ァヘラゥ シャーニィ ゥライノモトゥ
 ァベクノゥイク ァタム ォズルク」

黒のシャーニィはそれだけを言い残すと、霧のように消え去った。
あとに残ったのは、真紅のドレスを纏ったシャーニィのみ。

「……まったく。
 シロナは愚かだ、本当に。
 それでよかったのか?」

珍しく、どこか困ったような顔をして紅いシャーニィは問いかける。

「あれで決裂するかと思ったのだが……
 本当に、困ったやつだ。アレもすっかりと呆れたようだ。」

吐息が漏れる。

「では、吾として決を伝えよう。
 吾は、どうやらシロナと並び立って共にありたい、と思っているようだ。
 そして、そんなシロナと共にあるためにシロナを欲している。
 思い返せば、”シロナには敵わない”といっていたのも。
 シロナと同じ視座でありたい、という吾の表れであったのだろう。」

まったくもって度し難い、と息をつく。

「……吾からは、以上だ。
 これが、愛、と呼べるものなのか……吾にはわからないが。
 これが答え、で……よいか?」

表情を伺うように、シロナを見つめた。

シロナ > 片親から、邪竜ファフニールの因子、もう片親から、淫魔の因子。
 そして、それを取り持つ人としての因子。
 それがシロナを構成する、因子の全てであり、魔に特に偏っている、双子の姉も同じ、だ。
 姉の方は淫魔の因子の方が強いが、それは、今はいないので気にしないことにしておこう。
 もし、それを邪神が取り込むことが出来たのならば―――彼女は本当の意味で、邪神としての覚醒を、復活の一歩を踏み出したのだろう。

 その可能性が、断たれた、という訳ではない。
 なぜなら、シロナは共に在る事選択しているのだから。
 黒い彼女が消えて、真剣なままの彼女の表情のシャーニィは、其処に居るのだ。

「邪神に粉を掛けるんだもの、半端な覚悟でしてられないと思うけど、ね?」

 ぱちり、と軽くウインクを零して見せる。
 別に、邪神を御しようと思って居る訳でもないし、邪心を持って付き合っている積りもない。
 彼女は、彼女であり、シロナの良き友人であり、彼女候補。
 力を失った神、だからこそ、考えられえるのだ、いつかの彼女を、全盛期を取り戻したいという感情。
 それを、要求する事。
 それは今だったし、未来も、それを求められることが無いとも言えない。

「人間って、神や悪魔を呆れさせるほどに、欲深い生き物、だから。」

 屹度、これが、答なのだろう。
 彼女が欲しい、ただそれだけ。

 そして、彼女の最終的な、返答を聞いて、シロナは頷いて見せる。

「良いも悪いも、ないと思うよ。
 愛を知らないなら、これから覚えれば良い。
 あと、これは、答のあるモノじゃないんだ。
 一緒に居て、時間をかけて、想い出とかいろいろ蓄積して。

 後になって、ああ、良かった、悪かった、と遠い先で、思い出せるようなもの、だからさ。」

 アタシ達には、その時間があるんだから、と。
 ウインクを一つ。

「シャーニィ。好きよ。」

 臆面もなく、彼女に好意をぶつける。

シャーニィ >  
邪神は淡々と真の復活を願う。
今更戻ったところで求めるものはないというのに。
そのためには、己自身を打ち砕いてもいいとさえ思ったが。
あてが外れた。
二兎を追い、どちらも得ることは出来なかった。

残ったのは……

「そう、だな。そうだった。
 ……シロナを信じられていないとはな。
 愚かなのは吾の方だったか。」

邪神であろうと、なんだろうと。
ただただ、シャーニィ自身を。今のヒトの身に宿る自分を求める。
そういうシロナ(あいて)だからこそ、此処に至ったのだ。
今更、その決意の程を測るなど浅慮にもほどがあったか。
紅いシャーニィは、安堵と戒めを心に抱いた。

「……ああ、そうだな。
 これから、愛、を覚えればいい。いや、改めて。
 シロナと共に、学ばせて欲しい、と思う。」

いつもの思慮深い顔が、少しだけほぐれる。
わずかに、笑みが浮かぶ。

「ああ、そうだ。今なら、その言葉も吾に響く。
 シロナ、感謝する。吾に好意を抱いてくれてありがとう。」

素直な好意をぶつけられ、シャーニィは感謝を告げる。

シロナ > 「信じるに足る存在でなかった、というだけ、だと思うんだ。
 それに、無償で信じる事が出来るのは、聖人だと、思うよ。
 愚か、とかそう言うモノじゃ、ないよ。」

 彼女が、邪神だから粉を掛けたわけでは無い、でも。
 邪神だとしても、彼女の性格、性質が好ましいから声を掛けた。
 仲良くしようと思ったのだ。

「ふふ、黒い方も―――時には、遊んで欲しいなって、伝えといて。ね?」

 紅、黒、そんなの一面でしかないのだ。
 シロナだって、邪竜の、淫魔の、人間の、と有るのだ。
 だから、時には一緒に遊ぼう、悪い事もしよう、なんて誘いかける。

「うん、これからも、よろしく、ね?
 愛を一緒に覚えて行こうね。
 それと、好意も……いっぱい、向けていくよ。

 ……エッチな気分とか、お誘いも向けて、良い?」

 感謝を告げてくれる彼女に。
 シロナは、頬を染めて問いかけてみる。
 そう言う目でも、見たいんだよね、と。


 紅い方も、黒い方も、両方とも―――抱きたいな、とも。

シャーニィ >  
「いや、それは……信じるに足らなかったなどとは……う、むむ……いや、うむ。
 その、おそらく、だが……不安、だったのだろう、な。
 吾の内のアレを知って、見限られることを、な。
 ……アレも、ソレがわかってて出てきたのだろう。」

どちらに転んでも、黒のシャーニィにとっては得しかなかった、はずなのだ。
結局、第三の選択をされたせいで思惑は全て吹き飛んでしまったのだが。

「い、いやまて。アレを……いや、うむ。
 欲深、なのであったな。いっそ、アレを御してもらったほうがいいかもしれないな。」

黒の方も、と言われて珍しく慌てるカノジョ。
しかし、一転して。或いはシロナなら、と思い直した。
なにしろ、結果的にかもしれないが出し抜いたのだ。

「……ああ。そういう話、でもあったな。
 うん。そういうことは、吾は経験がない。
 それで、よいのであれば……いや、きっとよいのであろうな?」

頬を染めて問いかけてくる相手に、肯く。
答えはもう決まっているだろう?とばかりに。

シロナ > 「色々あるというなら、そう言う不安もあると思うよ。
 それに、驚いたもの、黒い方のシャーニィが出てくる、なんて。

 でも、さっきも話したけど。シャーニィはシャーニィだよ。」

 どちらに、というのは、屹度。
 赤か、黒かという意味なのだろう、両方を選んだので、驚いている、との事なのだと、思った。

「あは。
 寧ろ、引かれたかなって、思ったのよね。
 御するとか、考えてないけど、今も。」

 慌てている彼女、でも、きっとこの会話も、黒い方は聞いているのだろう。
 先ほど出て来た時も、シロナの事を知っているようだったし。
 だから、シロナは、お任せ、なんてウインクもして見せて。

「ふふ、あのね。
 シャーニィ、これは、アタシの欲望でもあるの。
 シャーニィの初めてを奪って、アタシを刻み付けたいなって。
 孕ませて、貴女と、子孫という名の絆を作りたいなって。
 それも、アタシの愛の形の一つ。

 先程の、黒い方、も……ね?」

 決まっているだろうという彼女に頷いて見せて。
 そっと、手を差し出す。

「奥の部屋に、行こう♡」

 その誘いは、そう言う積りだ。
 手を取るならば、交わる積りだ、と。

シャーニィ >  
「アレは、吾の奥の吾の核でもあってな。
 今は吾が主導しているが、自分が主導することを企んでいるフシがある。
 だから、今回はそれも狙って出てくることを承知したのだろうな」

あわよくばシロナを取り込み。
それが叶わなけくとも、逆に離れたならば……と。
多重に得があったはずなのだ。

「まあ、引いてはいるだろうな。
 アレもあの答えは予想していなかったようだしな。
 吾も少々溜飲が下がったというものだ。」

御する事は考えていない、などというが。
きっとカノジョが関われば、アレも変わるのではないか、などとシャーニィは思う。

「……いや、今度ばかりは吾も呆れる。
 本当に欲の深いことだな」

黒も、赤も。どちらも愛する対象にしようなどという。
その愛も、とても欲にまみれて、いっそ清々しい。
わかってはいたが、実に贅沢だ。
呆れてしまう。と、同時に。
自分でも不思議なほど、愉快に思ってしまう。

だから。
差し出された手を取った。

シロナ > シロナの意思を知ったうえで、呆れを認識していた。
 それでも、と彼女は、シロナの手を取った。

 だから、彼女の手を握り、マスターに追加料金を支払い、鍵を預かる。

「じゃあ、行こう。」

 シロナ達は、奥へと、移動していく―――!

シロナ > 【部屋移動します】
ご案内:「平民地区 カフェ」からシロナさんが去りました。
ご案内:「平民地区 カフェ」からシャーニィさんが去りました。