2024/03/10 のログ
ご案内:「平民地区 カフェ」にシロナさんが現れました。
■シロナ > 平民地区にあるカフェのうち一つ、会員制のそのカフェは、こっそりと人と出会うための場所。
会員の登録が必要なうえで、女性しか会員になる事の出来ないカフェ、マスターも係員も、全て女性。
席は全部で10席しかなく、それもすべて少し離れているから、他のカップルの会話が聞こえる事もない。
更に言うなれば、マスターに言えば、奥の部屋の鍵を借りる事も出来る、奥の部屋が何のために使われるかは、察して余りある。
この場所は、普通で言うならば結ばれてはいけない、女性と女性の逢瀬の為のカフェ。
女が、女と愛し合うための、秘密の場所だ。
常連である、母親、リスの伝手を使い、会員カードを手に入れて、シロナは其処に席を一つ設けた。
後から一人来ると伝えて、待つことにした。
此処は、女性だけが入れる場所という事もあり、メニューは女性のための物。
甘いお菓子に、美味しい紅茶、お酒も甘めのメニューが多い。
取り合えず、今は、ミルクティーを注文し、相手を待つことにする。
相手の名前を伝えてもいるので、この場所に来れば、直ぐに通してもらえるように手配もしている。
だから、シロナは静かに、ミルクティーに、砂糖をサラサラ入れて、待っていた。
ご案内:「平民地区 カフェ」にシャーニィさんが現れました。
■シャーニィ >
招かれた店は、どうやらトクベツな場所であるらしい。
しっかりとした確認を経て、ようやく通された先には見知った顔がある。
「間違いはなかったようだな。シロナ、久しぶり……といってよいのか?」
至って真面目に挨拶の言葉を告げ、相手の対面に折り目正しく座る。
「……さて。わざわざ席を設けてもらってすまない」
そうして、頭を下げる
■シロナ > やってきた相手、シャーニィ。
彼女は、彼女とは、少しばかり、会う時間を置いておいた。
それには訳があり、その訳に関して、今から話し合う、その為の席である。
と言って、彼女は約束の時間より早く来ていた、自分が居るのを、もう知っているかのようで。
それに対して、桜色の唇をそっと釣り上げて、笑みを浮かべた。
「そうだね、久しぶり、シャーニィ。
ゆっくり、考えたりする時間を作ったつもりだし、ね。」
挨拶に挨拶を返して、彼女が座るのを見計らい、少女は何を飲む?と、メニューを差し出して見せる。
彼女の注文に関しては、今回は、自分が出すつもりだ。
その積りでも誘ったのだし、と。
「シャーニィ、気にしないで良いよ。
だって、大事な話、でもあるだし、それなら、こういう場所で心行くまで。
お互いの気持ちや、考えを話す必要、あると思うから、さ。
アタシこそ、時間を取って貰って、有難う。」
お互い様だから、と笑いながら。
それでも、真面目な雰囲気の彼女に、静かに視線を向ける。
紅い瞳は、彼女の年と乖離している雰囲気を見ていて。
「口を湿らせる飲み物、来たら、ちゃんと話そう?」
ね?と。
お腹空いてるなら、食べ物も注文しちゃって、と、笑いかける。
■シャーニィ >
対面に座るのは、いつものような真面目な顔をした少女姿のそれ。
それが、いつもどおり礼儀正しく椅子にかけている。
装いは、見たことのない真紅のドレスだったがそれもまた映えていた。
「ああ、色々考えることができた。
……うん、色々と、な」
これもまたいつものような難しい顔をして、言葉を紡ぐ。
見た目と非常にアンバランスだが、それがカノジョらしい。
「……ああ、なら紅茶を。
食べ物は別にいい」
常よりはやや硬い言葉に聞こえるだろうか。
ともあれ、注文を済ませる。
「……飲み物が来る前に、先にこれだけは言っておこう。
シロナ。これから話をする際に、だ。
何があっても、受け止めて考えてもらえたら嬉しく思う。
……我儘でしかないが、な」
変わらない、真面目な顔で注文の品を待つ間に口を開いた。
■シロナ > 今日は、珍しく艶やかな、紅いドレスに、それでも彼女自身の雰囲気は、普段とは違う。
彼女は、真面目な子だ、色々考えて、それで、答を出してきたのだろう事は、よくわかる。
普段の見た目と彼女のドレスはアンバランス、屹度、他の人から見れば、深紅のドレスを着た、美しい女性に映るのだろう。
紅茶のみを注文し、食事は注文しないとする彼女。
その後の彼女の言葉、真剣な彼女の雰囲気。
「ええ、約束するわ。
寧ろ、その為に、アタシは時間を取ったんだから。」
彼女の言葉に、お願いに対して、シロナはにっこりと笑いを零しながらうなづいて見せる。
シャーニィの言葉に対し、シロナはさらに、言葉を放って見せよう。
「アタシは淫魔だからね、性に関して、愛に関して、普通の人間と懸け離れてる。
普通の人の様に、一人に添い遂げる事は出来ないし、しないわ。
貴女が、邪神というのなら、問答無用で抱いていたと思うけれど、今のシャーニィは違うでしょう?
一人の人間としての貴女の時間は、有限だもの。
アタシは、アタシなりだけど、シャーニィの事が大事よ。
だから、貴女の決定に、アタシは何も言わないし、その決定に従うわ。
そして、どの様な決定でも、アタシは貴女との関係を―――悪い方向に変化しないことを、誓うわ。」
良い方には変化させる。
友人とか、知り合い、そう言った関係を斬る積りは無いから、安心してほしい、と。
彼女は今は人間なのだ、その大事な一生を縛る積りは無いのだ。
■シャーニィ >
そこにようやく飲み物が到着する。
すべて心得ている店員は必要最低限の言葉と動きで、飲み物を供してすぐに消えていく。
それを見届けてから、シャーニィは重々しく、口をひらいた。
「では、話を始めようか。
……できるだけ手短に話そう、と思ったのだが。
正直、しっかりまとまったとも思えない。
そのうえ……いや、これは後だな」
じ、と……眼の前の相手を静かに見据えて言葉を紡ぎ出す。
「まず前提から話さねばなるまい。
あの時、シロナは『術に拠る変調』の可能性を指摘したな?
しかし、だ。あの時はそれ以前の問題だった、と言える。」
淡々と、いつものような事実を確認するような言葉。
しかし、それも今日はどこか仰々しく感じるかもしれない。
「なにしろ、無防備に術を受け入れたのだ。あんなもの、滅ぼせと言っているようなものだ。
なんとも、驚くべきことだ。あってはならないことだ。
その段階からしてすでに吾は『変調』していた、と言っても過言ではない。」
いくら邪神であろうと、魔術的防御が薄まれば命すら危うい。
そんな状態であったのだ、とそれは語る。
「そして、だ。
そこから、あの時求めたモノの正体を探れば、答えは見えてきた。
あの時、吾は――」
一つ、息をつき……しばしの間をおく
「シロナを。シロナ自身の存在を欲していた。
シロナが近くにあることを。シロナが吾といることを。
これは、やれやれ。業腹なことだがカゲトキ、とやらにも言われた。
吾はシロナを他の者とは別の扱いとして見ている、とな。」
たまたま出会ったシロナとの知己と会話をした時に。
ほんの僅かばかりの話題だったが、言葉に含まれる意図に言葉を超えるものがある、と。
そういうことを指摘された。
「……………まったく。」
やや下を向いて大きな、吐息をついた。
その表情は見えない。
■シロナ > 彼女の雰囲気を静かに見つめて、待っていた。
暫くして、彼女の分の飲み物が来て、それを置いて、店員は去って行く。
こういう場所の店員だからわかって居るのだろう、店員を気にすることなく、静かにシロナは彼女の言葉を待っていた。
「ええ、始めましょう。」
彼女の雰囲気、真剣な感覚が伝わってくるから、シロナは口数を減らす。
今は、まず、彼女の話を聞くことが先だと感じたから、だ、自分の目を見て、話そうとする様子。
それを邪魔してはいけない、と感じたから、でもあるのだ。
「……それ以前の、話?」
前に、シャーニィに性欲という事を知ってもらうために、態と彼女に、性欲を感じて貰おうとした。
そして、彼女に、性欲を感じてもらう事を、成功した。
ただ、その時は……性欲を感じ、自分に想いを寄せたと勘違いする可能性があったのだ。
そう、シロナは思っていた。
その時点の話を、彼女がしてきたので、首を傾いで問いかけた。
「あ。」
話を聞いて、納得した。
確かに、無防備になれというのは死んでくれと言っても同じくらいの事だった。
シロナはその積りも無かったのだけど、彼女が無防備になった時に、それこそフェロモンではなく別の物。
即死の魔法―――元邪神の彼女に効くかどうかは、また別としての話だが、それを掛けて、殺すことも可能だった。
指摘されて気が付くぐらいに、シロナは彼女に対しての害意は無かったし、その積りも無かった。
「影時センセに、指摘されたんだね。」
何を指摘された、というのも、聞くのは野暮だろう。
彼女の話の流れから、察することが出来ないような、すっとろい思考はしていない。
そんな思考であれば、元々、可の御仁の指導は受けられないだろう。
あれでいて、彼の授業について行くには、それなり以上の思考能力が求められるのだ。
―――思考が逸れたので、意識を、シャーニィに、戻す。
ただ、今、彼女は下を向いている。
何かを、まだ言いたそうだから、と少女は、静かに、深紅の瞳で見つめる。
自分の言葉を放つのは、彼女の言葉が、終わってから。
ちゃんと、彼女の話を、意思を、確認してからと。
■シャーニィ >
頭を下げたまま、表情を伺いしれないまま
シャーニィは言葉を継いだ。
「これまでの話は、通じたようだな。
だが、あと一つだけ。伝えねばならないことがある。」
顔が、陰になる
そこまでこの部屋は暗かっただろうか?
「シロナ。吾をヒトとして見ているようだが……やはり、吾は邪神だ。
このヒトの身とて、仮初めに過ぎない。
ああ、そうだ。この身がヒトのように生きるかもしれないにしても、だ。
それだけは、理解しておいて欲しい。」
シャーニィは、指を鳴らした。
その音と共に、真紅のシャーニィの横にもう一人、黒いシャーニィが立つ。
二人は、入れ替わる――
黒は 思慮深い 顔では なく
己が 唯一人 最上だと 疑わぬ 傲慢な 笑顔で
椅子に 尊大に 座り
赤は シロナの 横に立つ
「まったく、度し難いことだ。
邪神をヒトとして見る汝もだが。
竜の血族であるとはいえ、たかがヒトの末ごときに、だ。
吾が執着を向けるとは。吾自身、随分と腑抜けたものだ。」
くろの カノジョは くろく わらう
あかの カノジョは しずかに たつ
「では、吾が汝の望む返答、とやらに決を下してやろう。
汝の望みはそれであろう?」
あかと くろの カノジョが
そろって くちを ひらく
「ォウィジナァン ィネィン ォイェガサス シロナ
ァベルサス
ァヘラゥ ォウィトミコニジナァン ゥオイェコドティキィク ァキァナヘド」
ききなれない ふしぎな ことばが ながれる
■シロナ > 「―――。」
感じる、深く、深淵に潜り込むような、雰囲気。
感じる。その感覚は、シロナは、慣れ親しんだ雰囲気。
邪竜としての、淫魔としての感覚がシロナに対して教えてくれる。
瘴気(ミアズマ)という物が、周囲を取り巻いて、それが、結界の様にテーブルを包み込んでいるのだ。
そして、シャーニィ(邪神)の隣に邪神(シャーニィ)が立ったのだ。
彼女は、人であって、人ではない。
人の殻に押し込められた、邪神なのだ、と。
自分の目の前に立つは邪神。
それこそ、彼女が邪神という事、過去の彼女を彷彿させるという彼女。
恐らく、これが本来の彼女、なのだろう。
シロナの思い違いが黒い彼女(邪神)を呼び出した、という事なのだろう。
「貴女様が、人の形を持っていただけの、邪神だった、という事を理解しきれてなかった。
その部分は、改めさせていただきましょう。」
傲慢に微笑を零して、自分を見る黒い彼女。
そして、その隣にある、紅い彼女。
「蛮声、邪神の……詞。」
耳慣れぬ言葉、聞いたことの無い、言葉。
それは、彼女の本来使うべき、言葉。
それを聞きながら、シロナは瞳を閉じて、その言葉を自分の中で翻訳して見せる。
邪竜としての、淫魔としての知識、魔に寄った思考が、彼女の言葉の意図を理解して。
「捧げるとしてアタシが捧げるなら、貴女様では、ないわ。」
黒い方に視線を向けながら、シロナは。
「Shirona deus Malum Sharny accipit et cum ea votum facit.」
邪竜は邪竜の言語で、言葉を放つ。