2025/01/25 のログ
:: [一覧へ] :: :: ::

ご案内:「ダイラスを一望する丘」にホアジャオさんが現れました。
ホアジャオ > 色のうすい青空に白い雲がぼんやりと浮かんでいる。
地上と同じように空にも風はあまりないようで、雲は動いているのだか動いていないのだか、丘に落ちる影が移動しているのに気づいてようやく解るくらい。
冬でも青々とした草が茂る丘の上には今、放牧中の羊の群れとそれに混じって数匹の山羊と、頭のてっぺんで黒髪を結ったいかにもシェンヤン風の顔つきをした女がひとり。羊飼いはどこか、お茶でも飲みに行っているのだろう。

「ぬー あー」

女が抱えている紙袋からは湯気が漏れている。街はずれで肉まんを買って、冷める前にこの丘で眺めとともに楽しもうと思って駆けてきたのに

「ちょっと… アンタたち もうちょっと向こうよっててよー」

腰掛けるのに丁度いい、丘のてっぺんの岩の周りに今ちょうど羊たちがたむろしていて、あとちょっとでなかなかたどり着けないでいる。
べええええ、めへええええと返事(?)が返ってくるがどっちにしろ集団は動く気はないらしい。

しょうがないなァ、と女はため息をつくと少し羊たちから距離を取って

ホップ、ステップ
「いょ――――ッと!」

ぽーんと群れを飛び越えて―――岩に見事着地。
羊たちからべええええ、めえええええと喝采(?)をうけつつ、意気揚々と岩の上に胡坐をかいた。
膝の上に置いた紙袋はまだまだ温かい。

ホアジャオ > 尻を暫くの間居心地の良いように動かしてから、紙袋から取り出した肉まんに大きな口でかぶりつく。

「热的!(あっつ!)」

お約束と言えばお約束。ふわっとあふれ出した湯気と香りと、肉汁はまだ舌に熱かった。それでも何とか口に入れた皮部分をちょっと涙目で咀嚼する。皮の甘みが肉汁の塩気とちょうどいい。
ふわーと漂う香りに、いつもうろついている港なら猫が寄ってくるところだが
今は空高く、とんびが弧を描いているくらいで和やかだ。一口目を飲み込むと女も心持ち気兼ねなく、かつ慎重に次の一口。まだまだ餡にたどり着かない、一歩手前辺りまでを。

ホアジャオ > 港の方から船の汽笛の音が聞こえる。
山育ちの女からすると、水平線とか海に囲まれた景色というのはまだ感動を誘うものがある。

…あと、こんなに沢山の羊にかこまれるのもあんまりない。

時間はゆっくりと過ぎる。
雲が丘の上の日差しを遮って過ぎて、時々草を揺らす風が吹き渡って、羊たちがべえべえめえめえ騒ぐ。

女が食べ終えるころには羊たちも腹いっぱいになったのか、岩の周りで昼寝タイムに入りつつあった。おかげでまた、女はそれを飛び越えて戻る羽目になったとか。

ご案内:「ダイラスを一望する丘」からホアジャオさんが去りました。