2024/08/16 のログ
ご案内:「平民地区 図書館」にオウルさんが現れました。
オウル > 涼しく静かで此処ほど寝るのに都合の良い場所を知らない。
安全な水は飲めるし、トイレもあるし、屋根もある。
何なら個室だってあるが、ベッドがないのは唯一の難点か。

と、まあ冗談半分な事を考えながらふかふかのソファに腰を深くかけ、適当に選んで手にした『小説』を読む。
内容は極々ありふれた冒険譚である。

「宿見つからなくても、最悪ここの個室占拠するか。
 24時間空いてるっぽいし、利用客少なそうだし。」

冗談半分って事は半分は本気でもある。
日中の暑さから逃れる場所としても最適だし、ついでに勉強する環境としても完璧である。

ともすれば、冗談三分の一でもいい気がする。

ぺらり

と、薄暗い図書館に唯一ランタンの明かり眩い一角で、本がめくる音と自分の独り言だけが静かに響く。

オウル > ――…冒険譚
誰もが夢見て憬れる冒険者の物語。
平民地区の人間であれば一度は読んだ事があるであろう王道でとてもあり触れた有名な小説。

この本に何か思い入れがあるとか。
この本を常に手にしていたいとか。
この本を読む事で何かあるとか。

そんな事は一つもない。
ただ偶然、本当に偶然手に取った1冊。
ただ貧民地区で生まれ育った自分には珍しい本だった。

ぺら
ぺら
ぺら

斜め読み。
少し意匠が目立つ眼帯に隠れた左目と裸眼の右目。
文字をなぞる様にさらさらと読み流しながら、ページを捲る、適当に雑に……けれど本を傷つけないように。

少年の読書は続く。
いつまでも…いつまでも……。

ご案内:「平民地区 図書館」からオウルさんが去りました。