2024/03/28 のログ
ご案内:「平民地区 大広場【イベント開催中】」にヴァンさんが現れました。
ヴァン > 妖精祭が行われている広場の外れ。木の柵で囲われた10m四方のスペースがある。
傍らには看板が立ち、片手剣とバックラーを手にし鎧を纏った人物が描かれている。その隣の文字はこうだ。

『勝ち抜きトーナメント 30分以内に5人抜きで500ゴルド! 参加費1回100ゴルド』

うまくいけば平民なら2日暮らせる金額が手に入るが、美味しそうにみえて渋いのが実態だ。
所詮は祭りの催しなので、実力がある冒険者や傭兵は参加しない。
まず、強さを見せつけてしまっては挑戦者が来なくなる。30分はあっという間に過ぎてしまうだろう。
では適度に加減して強さを隠すべきか。そんなことをしたら実力を低く見られる。舐められたら終わりの稼業では致命的だ。

結果として、勝った負けたのどんぐりの背比べが繰り返されていた。
周囲の野次馬に対し、難しいことなどありませんよとばかりに係員が説明を繰り返している。

まず、参加者は長袖とフードがついた灰色のサーコートを服の上から身に着ける。レインコートを想像するとわかりやすい。
そして、同じく灰色の布でできた剣と盾。魔法で硬くし、形作っているようだ。
剣がサーコートにあたると剣にかけられた硬化魔法が解ける。同時に、サーコートは剣が接触した場所が赤く染まる。
「相手のサーコートに赤い染みをつけた方が勝ち」という、単純なルールだ。

そんな中、銀髪の男は柵に凭れかかり周囲を眺めている。
男は他人からどう思われるかをほとんど気にしない。爪を隠して接戦を繰り広げ、4人抜きをしたところだ。
5人目はどんな人物だろう。これまでの戦いを眺め、勝てるかもと気軽に挑んで来るだろうか。
それとも、男の来歴を知っておりその上でリングにあがろうとする者か。

ヴァン > 挑戦者を待つ間、ぼんやりと妖精祭に思いを馳せた。
もともとは辺境の村の風習らしいので、王都でやるようなものでもないというのが男の考えだ。
一方で時期的にはよい行事だとも思う。長い冬を越え、春を祝う。つまるところ……騒げればそれでいいのだ。
国境は遠いとはいえ、この国は長年戦時下にある。数年前には内乱すらあった。民心は内心、不安に揺れている。
鬱屈した思いを晴らさせよう、という為政者の考えが透けてみえるものの、悪いことでもない。

男が滞在する酒場では『パン祭り』と称してパンを大量に作っては料理につけ、その分値段を上げている。
一月かそこらで冬小麦の収穫が始まるから、その前に昨年の春小麦を使い切ってしまおうという魂胆だろう。
邪な考えを持つ人間はどこにでもいるらしい。

ヴァン > あと残り3分というところで挑戦者が現れたようだ。
欠伸を噛み殺し、布製の剣を弄ぶ。どうやらこの男、祭りにかこつけて何杯か飲んでいるらしい。
勝負の行方は、さて――。

ご案内:「平民地区 大広場【イベント開催中】」からヴァンさんが去りました。