2024/01/02 のログ
ご案内:「図書館」にレヴィアさんが現れました。
■レヴィア > ――血が欲しい、甘くて熱くてどろりとした赤いあの蜜が。
月に一度あるか無いかの血が騒ぐ日。
短くて1日で終わる時もあれば長くて1週間続く時もある。
そんな時は自分に嘘をつく『可愛い』から大丈夫、屋敷には血液が保存された瓶があるから大丈夫、と。
屋敷にいれば保存用で最低限の量しか飲まぬモノを浴びるように飲んでしまう恐れがあって、人が多い場所だと香りに酔ってしまう事があって、今宵は人気の無さそうな平民地区にあって富裕地区との境界に近しい場所に建てられた図書館に姿を見せる。
王都を飛び出して『遊ぶ』のも悪くなかったし、神聖都市まで足を運んで衝動を無理やり抑え込む事も考えたが、それはそれ、これはこれ、あまり遠くに外出する事も悩ましく、こうしてその図書館の中にあるソファー座り込み、1冊の小説を読む。
『吸血鬼と騎士の物語』、有り触れている創作話だ。
悪さをする吸血鬼を黄金の鎧をまとって騎士が成敗する。
誰もが想像して誰もが思い描く冒険譚。
屋敷の書架にもある大好きな1冊で、気分が昂って高揚して狂いそうな時はこれを読んで落ち着くことにしているのだ。
あと服装は趣味である。
必要以上にあふれそうな魔力を抑えるために『可愛い』に魔力を費やしている、これがないと下手をすれば今読んでいる小説のような末路に成りかねず、せっかく人の世界になじんで生活し、今まで築いたものが全て台無しになり兼ねないからだ。
髪も必要以上に長く、服装だって少し使っている布を再現するのに気合を入れているし、裏地の色が違うという部分にも拘りが、後はサテンのロンググローブは肘を包むまであるお気に入りのデザイン。
サテン特有の触り心地の良さと、触った時の心地よさと、触られた時の心地よさを追求した逸品、と、一人自らの魔力で生み出したものを脳内で自慢しながら、小説のページを捲り物語を読み進めていく。
真夜中の利用者がいない無人の図書館。
借りるも自由、読むも自由、盗むのさえ自由な図書館。
明かりもすべて最低限、なので吸血鬼は自分のそばにランプを運んで来ており、吸血鬼が座り小説を読むソファーの周りだけはほんのりと明るい――…でも寒い。
■レヴィア > 「……喉が渇いた………。」
文字を咀嚼し文章を嚥下する。
食し終えたら次なる頁/皿へ。
ぺらり、ぺらり、と静寂の支配する無『人』の図書館に微かに響く音は頁を捲る音のみで、誰かの息遣いはそれよりも小さい。
その最中に呟いた一言。
求めるは葡萄の豊潤なる香りが凝縮されたワインではない。
人間の悦楽と恐怖が凝縮された記憶と知識が込められた何よりも赤く艶やかなる鮮血。
それを飲み干す一時の快楽で今の生活を捨てるほど愚かではないので、あくまでもボヤキとか呟きの類で納めておく。
しかし喉が渇いたのは本当で、さりとて図書館でティータイムなんてする程非常識ではなく、本にも優しくない行為を慎むとして、――静かすぎる空間でひとつ欠伸をこぼす。
ゆったりとした速度であるが吸血鬼の血の高ぶりは収まりつつあるのか、あるのだろう、そうあれと。
暫くしたらお酒を飲みに何処かに行くのも悪くない。
ただそれにはもう少しだけ高ぶるものを鎮める必要がある。
――読書、読書と気を紛らわせるための読書を続けるのだった。