2023/12/28 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区【眠らせ屋】」にミタマさんが現れました。
ミタマ > もういくつ寝ると、なんとやら。
つまり、数日後。きっと快眠を求めるお客様がいらっしゃるに違いない!
王都ではともかく、自分たちが暮らしていた北方の国では『お正月』というものがあったからこそ、お店を開いたのです。
なので本日の看板には。

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新年を鮮やかな目覚めで迎えませんか?

【眠らせ屋】サービス中。今なら数日後まで、あなたに素敵な夢を提供します!
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つまり、自分の能力を継続的に発動させて、年越しを行い、新年度を迎えた後も、素敵な夢で快眠・起床を促す!というもの。
とはいえ、ここに居着いてまだ1年も満たない子狐は、この王都にそもそも『お正月』という文化があるのかは知らない。
知らない人からしたら、なんでこの時期に夢を見せるんだ?と小首をかしげるし、
知っている人からしても、胡散臭いな……と想われても仕方がない看板。

そんな看板が並ぶお店の扉の向こう。
暖房がきっちりと効いたた受付で……。

「もーいくーつーねーるーとぉー……ですねぇ。
 う~ん!思いっきり病気を貰ったりしましたけど、無事回復!新年を良い感じに過ごせそうでなにより!
 ……とはいえ、月末はゆっくり休みたいし、今日が今年最後の営業ですかねー?」

いまだノックの音も扉が開く音も響かない扉を眺めつつ……。

ご案内:「王都マグメール 平民地区【眠らせ屋】」にクロエさんが現れました。
クロエ > ほの暗い路地でも輝く金の髪は2つに結び。
元気のあふれる肌は小麦色。
手指の先を彩るのは赤、青、黄、緑、白の五色。

今日も好奇心に任せて歩き回り、何気なく路地を抜けてみれば……なにやら不思議な看板が見える。
思わず、足を止めてじぃっとそれを眺めてみる。

「新年を鮮やかな目覚めで迎えませんか?
 【眠らせ屋】サービス中。今なら数日後まで、あなたに素敵な夢を提供します?
 ねむらせや……ねむらせや、かー。夢を提供って、なんだろ?
 よく眠れるー的なやつかな? よくわかんないけど、新年に良い夢見れるって良さそうだなー。
 あれ、でも別に眠るのに困ってない場合、どうなんだろ? ま、いっか。
 話だけでも聞いてみよ!」

ひとしきり独り言会議を始めた少女は結局ものは試し、とばかりに中に入ることにする。
ちらりと見やる視線の先には扉が1つ。

「こんちはー!お話し聞きにきましたー!」
 
ノックとほぼ同時ではないか、という勢いで元気よく開けて迷うことなく胡散臭い店に足を踏み入れていった。

ミタマ > 「うわっひゃあっ!?」

ここでノックが響いたら、はーい?と挨拶した。
此処で扉が開いたなら、誰だろう?と顔を覗かせた。
さて、両方だと?……びっくりした。
挨拶と同時に響き渡った大きな音。更に外からなだれ込む外の冷たい空気。それらが暖を取っていた子狐の五感にダイレクトヒット!
尻尾と耳をぴぃん!と立てて扉の方に視線を向ければ、小麦色が眩しい明るい女の子の満面の笑顔が。

慌てて駆け寄り、とりあえずは防寒のためにお店の扉を閉めて、胸を撫で下ろして、小さな顔は自分よりも少し背丈の高い女の子のことを見上げる。

「はー、びっくりしましたよ。……どーもどーも、いらっしゃいませっ!
 ……はい、お話ですねー? 勿論、カウンセリングも承っているのがこの【眠らせ屋】!
 ……ささ、そこの机に名簿があるので、お名前を書いてくださいなー!
 ……というか、学生さんですよね? そんなにこう、夢見が悪かったり、良い夢見たかったり、悩みがあるのですか?」

きょとん。と小首をかしげるのは、その外見から。
如何にも悩みがなさそう!という感じに見えるのに……みたいな疑問。

クロエ > 「……」

勢いよく開けた先にいたのは、新雪よりも汚れなき美しい白髪。
そこからぴこん、と生えるは狐のもふもふとした耳。
さらには少女よりも小さく、年若く見える可愛らしい顔。

「……うっわ、マジかわなんだけど。
 えー、うっそ。お店やってるんだマジか。すっごくない?!
 え、ここでずっとやってるの? 手慣れてない? え、ひょっとして一人でやってる?
 やっばぁ」

第一声はそれであった。一声といえるほど短い言葉ではなかったが。
ともあれ、かけられた言葉、状況。そのすべてを置き去って、目の前の事象にすべてを囚われていた。

「……っと、ごめんごめん。
 名簿ね、名簿。」

ひとしきり騒いだ後は、落ち着いて机に向かう。
さらさらと意外にきれいな字で名前を書き始める。

「クロエ・ギャレイル……っと。
 あー、うん。学生学生。
 あれ、もしや悩みとかなかったらやっぱ駄目系なとこだった?
 ほら、表の看板でさ。『素敵な夢を提供』って書いてあるし。素敵な夢ってどんな感じかなー、とか。
 そも夢を提供って何? みたいな? 興味湧いちゃってー。」

きょとんとする相手に、あれこれやっぱ場違い?みたいな顔をして少女は応える。

ミタマ > まさか開口一番、容姿を褒められるとは想わなかった。
流石の子狐も驚いた様子で、真っ赤な瞳を覆うように瞼をぱちぱちと瞬かせて……。
すぐに、ふにゃっと口元を緩めた。それはそう、文字通り人懐こそうに。

「やはー。いきなり照れることを言われてしまいましたねー?
 ああ、そうですよー? 私一人でこちら、経営しております!いわゆるワンオペ!私が店長!
 ……ずっと。というほどでもないですよ? まだ開店して数ヶ月程です。とはいえ、ご縁もあり、お客様の来訪とリピートも上々……。
 ああ、いえいえ!急がずで大丈夫ですよ!【眠らせ屋】は皆さんに落ち着いた時間を提供するお店ですから!」

色々な意味で最後の方、語彙力がなくなってそうな女の子。
その絞り出したような褒め言葉は耳の先に僅かに熱が灯るぐらいには、少しこそばゆい。
とはいえ、受付で立ち往生しているのもなんなので、受付に戻り、さらさらと文字を書くお客様のお顔を覗き込みつつ、刻まれた名前に目を通した。

「クロエさんですね? ようこそ、眠らせ屋へ! 私は店主のミタマです!

 ……いえいえ? むしろ悩みがないことはいいことですっ! シンプルにいい夢を見たい!っていう人も来訪するお店なので!
 ……逆に悩みがある人には、特殊なコースを提案する。というだけですので? 念のための確認だったんですよー?

 ……ふふふ。よくぞ聴いてくれました!」

此処で、受付裏側の椅子の上で立ち上がり、むんっ!ささやかな胸を大きく張りつつ!

「私は北方の獣人で、夢にちなんだ能力を持っているのです!
 ……そう。それこそ、お客様が見てみたい夢を見せる。なんてことも可能なわけですね?
 幸せな夢。冒険的な夢。日常的な夢。人によってはあはーんな夢……。その他様々!
 ……まぁ、そんな感じで。こういった夢を見てみたい!とか、最近眠れないって人のカウンセリングとかマッサージとか。そういうのをしてるのがここのお店なのですよー。」

それは自分が持つ【悪夢】という能力の応用。
他者が生み出す夢の形を作り替え、都合のいい夢にした上で、眠る対象に【安眠】を誘うという能力。
勿論、詳細は言わず、大まかに。

クロエ > 「うわーうわー、そっかそっかー。
 数ヶ月でもう繁盛してるならやっぱすっごいねー。
 商売ってけっこー大変じゃん? しかも一人だもんねー」

さらりと書き上げた帳面から顔を上げて、少女も改めて相手を見やる。
さきほどは、まず目に入った可愛らしい顔にばかり注目していたが服の方も目を引く。
このあたりではあまり見かけない、奇妙な形をした服。
白を基調として紅が差すその服は、赤い目と白い髪をした少女をそのまま写したようでよく映えていた。

「へー、北方の……えーっと、シェンヤンだったっけ?
 あー、あっちはなんだっけ? こっちとはまた違った変わった魔術とかあるんだっけ。」

ささやかな胸を、大きく張って力説する少女に、おー、と小さく拍手をしながら感心して耳を傾けるクロエ。
なるほど、眠らせ屋、とはセラピーっぽいものなのだろうか、などと心のなかで噛み砕いてみる。
そう考えると、目の前の少女がますます凄いように思えてくる。

「なるほどなー。いい夢、かー。
 楽しい夢とか好きに見れるんなら、すっごくいいよね!
 じゃあじゃあ、もしや現実にできなそうなこととかもできたりする系?
 たとえば……違う自分になるとか、めっちゃ空飛んだりするとか!」

ほー、とまだまだ感心している。
羨望、とも異なるが真摯に話を受け止め、感嘆の瞳をしていた。
ついでに、なんだか夢を語りだす。夢があるっていいよね。

「マッサージもやってるんだねー。あれ、北方出身ってことは北方式のなんかトクベツなやつとかあるの?
 あっちの方は縁がないから全然知らなくてさー。なんかすっごいのがいるってウワサくらい。

 獣人、とかも初めて会ったもん。やっぱあっちって一杯いたりするの?
 あと、種族も色々いたりする?タマちゃんだと、んー……耳からすると……狐、とかそういう系っぽいけど。
 猫とか犬とかとは違う感じするし。」

彼女の特性なのか、思いついたことは片端から口にしている感じがある。
詮索、というよりは本当に興味の思いつきなのだろう、と感じ取れるかもしれない。
そこには純粋さがよく現れている。

ミタマ > 「やははー。そこまで褒めても、ハーブティーが出るぐらいですよー?
 ……繁盛というほどではないですけどね! それにほら、ワンオペなので!予約が入っても次に開店するのはいつか!みたいな。
 ……それに収入はこちらよりも冒険者としての稼ぎの方が多いので。いつかは逆転すればいいのですけどね~。」

そう。そもそも其処まで高額な設定をしていない+ワンオペによる不定期な開店のため、まだまだ稼ぎは多くはない。
自分の能力を使って行うギルドからの採取依頼や調査依頼。それらの収入が多いことは悩みどころ。
はふ~。っとわざとらしいぐらいの溜息を吐き出しつつ……。

「あはー。そちら側ですね!実際にはシェンヤンではないのですが、近い。とだけ言っておきましょうか!
 もっともっと、山里な方と考えていただけたら……あ、そですね!そうなのです!博識ですね、クロエさん!」

王都で生まれ育った人はシェンヤンに関して、其処まで知らない!という人も居る。
如何にも遊んでそうな外見だけど、案外勤勉なのかな~?と考えたりもする。
だからこそ、自分の知らない物に興味を持って、自分のお店に来てくれたんだろうな。なんて言う、ちょっとした推理。

「ふふふ、そうでしょう? 単純に眠りが浅かったり、逆に深く眠ってしまう人へ心地よい眠りを提供したり。
 そういったものを行うのが私、【眠らせ屋】のミタマなのですとも!
 ……お? 余裕ですよ~? なんなら、大人になってモテモテになる!とかでも、空を飛ぶ事も、なんなら魔法を使って魔物をばったばった倒すようなものでもっ!
 ……夢というものは自由なのですから!」

興味を持っていただけたなら、提案された言葉に+して、そんな妄想を叶えることが出来ることをアピール。
しつつ。

「いえー。これは私の自前の技術ですねー。何せ山育ちでしたので? 筋肉が凝りに凝って……という同胞も多かったので。
 ハーブティーなどに使う薬草などを塗り込んだローションを使って、筋肉から解して、脱力させることで、安眠に誘う!という技術です!
 ……まぁ、全身コースなので、眠る前に求める人はあんまりいないのですけどね~、やはは。」

最後の方はちょこっと苦笑い。
更に質問が投げかけられると、少し考える素振りを見せつつ――の。

「そですねー!先日も同胞。ではないのですが、近い地域に住んでいる狐人のお客様にも出会いましたので!
 ……やっぱり多いんじゃないでしょうか。私、実は学院にもちょこっと顔を出してるのですけど、獣人の人って時折見かけますし?
 あ、私は狐ですよ! ほら、此処の尻尾を見てください。」

そのまま椅子から降りて、受付をぐるっと回り込み、その小ぶりなお尻を揺らしてみる。
其処から顔を出すのは真っ白な尻尾。それはまさに狐の尾。1本ではなく5本というのが、強いチカラを秘めていることを指しているが、其れを知ってるかどうかはクロエさん次第で。

クロエ > 「んー……やっぱ商売の道ってきびしーねぇ。
 あたし自身はやってないけど、実家の方は色々考えてたみたいだし。」

その実家も、商売そのものをやっていた、というよりは商売を管理監督していた。
要は領主としてよく様子を見守っていた、ということになるのだが。
なにしろ、後継はしなくてもいい、となってハンパにしか齧っていないので深いところはわかっていない。
だからこそ、そういうことをきちんとしているものには敬意を持つのだ。

「は~、山里かあ。あ、そっか。獣人っていうくらいだしトクベツな集落、みたいなのがあるのかな。
 ……って、ああ。ごっめん! 別に探ってるわけじゃないからね! 言いたくないことは口閉じー!でおっけーだから」

近い、というややぼかした言い方。もしや何か理由が?とふと思ってついつい謝罪する。
どうにも細かいことが気になってしまうのは悪い癖である。

「や、はは。博識ってほどでもないんだけどね。なんかこう、おもしろそーって感じで覚えてただけで……
 それにしても、そっか。眠りって大事だもんね。売り物としてはだいぶイイ感じだなー。
 もうちょい場所か宣伝を……ああでも、そっか。ワンオペだと繁盛しすぎても困るか……んー。

 っとと。あぶないあぶない。脱線脱線。そっか、結構色々できるんだねえ……
 タマちゃんみたいな獣人になって、もふもふを堪能することもできるのかな……それはアリ寄りのアリっぽいな。
 でも自由、自由かー。逆に悩んじゃいそうだね」

眠らせ屋の本領。宣伝文句に感心しつつ、少し真面目に考察を始める。
思考の淵に落ちる前に我に返って、今度は夢について考え始める。
きっと注文をさせたら同じノリで悩み続けそうだ、という感じが溢れ出る。

「あー、それリラックスってヤツ? 体ほぐしてー、いい感じに力が抜けてー、ゆったりしてーって。
 でもそれ、やってる途中で寝るくない? それなら眠るヒトでもおっけって感じがするんだけど。
 あ、でも全身か。脱いじゃう系?だと確かに困るっちゃ困るのか……んー。
 いっそマッサージだけでも売りにすると良さそうだけど。凝り、凝りかあ……」

気持ちよくなるのなら、マッサージだけでもいいかも、と思うクロエであったが。そもそもあまり体が凝ったりすることはない。
適度な運動と適度な息抜きの賜物だろうか。ただ、別にそれがマッサージを受けてはいけない理由になるのかどうか。
哲学的な問いかけかもしれない、などと馬鹿なことを流石に口にはせずに考えていた。

「わ、もふもふだ!かっわいい!って、ん?んん?ひーふーみーよー……五本?
 たくさんあるなー……あれ、実はタマちゃんって凄い系?
 いや、最初から凄いとは思ってたけどさ。」

思わず目の前のもふもふに飛びつきそうになるが、流石に自重する。
なんなら、純粋に愛でるために少女そのものにハグしたりしたい気もあるが……
そんな気持ちを、目の前の事実が切り替えを要求する。

尻尾の数が多い。そのことが驚きを招く。
実のところクロエにそこまでの知識がある訳では無いが、単純にあるものが多い、という事実はそれだけで特別感を感じていた。
ある意味、勘が冴えている、といってもいいのかもしれない。