2023/12/18 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/【眠らせ屋】」にミタマさんが現れました。
■ミタマ > 夜。
街の外から響く音と言えば、酔っぱらいの怒号やはしごする冒険者たちの楽しそうな喧騒。
はたまた――……こんな時間になっても眠れない、誰かの足音か……。
「んふ~~~~~~♪」
平民地区のとある一軒家。其処には【眠らせ屋】という立て看板が添えられていた。
その看板にはこう書かれている。
~~~~~~
眠れないあなた! 夜更かしがキツいあなた!
傷が痛むあなた! なんかすっごく爆睡したいあなた!
そんな時はこちら、【眠らせ屋】はいかがでしょう!
安眠約束。今ならマッサージから添い寝。お悩み相談まで。
眠れないあなたに快眠を授けましょう!
~~~~~~
果てしなく胡散臭いけれど。
9.5割本気だからしょうがないのです。
1階は受付と、施術室……とは名ばかりに、でっかいクイーンベッドが置かれたお部屋。
その受付の机にふかふかのクッションを乗せ、眠たそうに顔を埋めている狐娘がひとり。
「んふぅ~……眠いですね~……。
けど、この時間ならお客様が来る可能性がひじょぉ~に高いし、起きてなきゃ……。」
■ミタマ > 「は~!……けど、この机の下にある魔導具が!
魔導具があったかいから、眠気が誘われて……!」
言葉の通り。受付に使っている机の下。普通なら肌寒い空間。冷たいフローリングに足を伸ばす格好。
だけど、其処にあるのは熱を零す焔の魔石。其処にたっぷりふわふわな毛布を重ねた事で、簡易的なカイロになり……。
結果、その毛布の上に乗せている足の裏から、絶妙にぬくぬくした熱が浸透し、いい感じに眠気が誘われている……。
「冷え性で眠れない人とかも多いですものね~……。
試しに使ってみたけど、これはやばやばのやばですね……。足元にあったらそれだけで快眠が約束されちゃうレベルですよ……。
まぁ、この道具一つで解決しちゃうと食いっぱぐれなんですけどねー……ほふー。」
自分はいい感じに眠気に誘われてるけど。
まだ眠気に誘われない。不眠に悩まされてたり、身体の痛みがあって眠れないとか、そういったお客様はやってこない。
元々そういうお店なのであんまり気にしないけど。だからこうしてとってもだらけてる。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/【眠らせ屋】」にシルフィアさんが現れました。
■シルフィア > お仕事終わりに、ちょっと小腹が空いたので平民地区にある馴染みの食堂まで。
そこで寒い季節にはうってつけの煮込み料理をたっぷり大人二人前平らげて。
お腹は満足したものの、外へと出れば冷たい夜風にぶるりと震えてしまった。
「さ、寒いです……早く帰るのが一番なんですけど、途中で凍ってしまうかもしれません…」
一応は、氷点下の寒さでも耐えられる仕様ではあるけれど、耐えられるのと寒く感じるのはまた別の話。
無駄に歩数を増やして足踏みしつつ、人通りの少なくなった通りを歩いていると、見慣れない看板が目に留まる。
「眠らせ屋……? なんていうか、違う意味で安眠させちゃうお仕事、なんでしょうか?」
1,2,1,2と足踏みしながら、看板に書かれた宣伝文句に目を通す。
今はお腹いっぱいで満足モード。
強いて欲しいものを上げるとすれば、あったかい毛布だろうか。
こんな時間に空いているお店と言うのも気になって、そっと中を覗いてみることに。
「お邪魔します。空いてますか?」
■ミタマ > 「……ほわっ!」
空いてますか?空いてます。
けど、こんな時間だったのでそろそろ睡眠タイムかなぁ?って思っていたところで扉が開いたなら、狐耳をぴーんっと持ち上げて、寝ぼけ眼をごしごしと腕で擦り、意識を覚醒させつつの……。
「はいはい!空いてます、開いてますよ!眠らせ屋にようこそ、お客様!
今なら安眠コース。添い寝コース。マッサージコース。どのコースも空いてます!
あ、なんなら安眠効果たっぷりのハーブティーなんかも差し入れしますが、いかがなさいましょーかっ♪」
なんて矢継早に言葉を紡げば、とててー!っと小さな身体が駆け寄って、中を覗き込んだお客様をささっと室内に入れ、肌寒くないようにしっかり施錠!
そして、上目遣いで、どうします?って言いたげに……お返事を待ちましょう。もみもみと揉み手しながら。
■シルフィア > 出迎えてくれた店員さんは、ちっちゃくて可愛らしい狐のお耳の女の子
勢いよく飛び出す営業トークは、眠くなるどころか、目が冴えちゃうような気もしなくはない。
けれども、可愛いから良しとして。
「うーん……その中なら、添い寝こー……ハーブティにクッキー添えで、お願いします!」
外があまりに寒かったのもあって、添い寝コースを選びかけ。
最後に付け足されたハーブティーに食いついた。
ちゃっかり甘味を要求するのは忘れない。
「あ、ごめんなさい。
突然で、図々しかった、です。クッキーじゃなくて、ビスケットでも構いません。」
はっと気づいてそう言い直すけれど、ぶっちゃけ変わりはない。
何ならケーキでもOKと言い出しそうな勢いを止めたのは他ならぬ少女のお耳。
上目遣いに揉み手で尋ねてくる少女の柔らかそうなお耳に思わず手が伸びて。
半ば無意識にもふもふを堪能してしまう暴挙に出てしまい。
■ミタマ > 「クッキーは……ありましたかねぇ……。
あ、じゃあ、お部屋の中でお待ち下さい! 此処は受付で寒いですから。あちらの扉にどうz……。
……いや、ビスケットでも変わらないのですがっ。」
そう、ぶっちゃけていうと殆ど変わらない。
とはいえ、此処は眠らせ屋。お客様に快眠・安眠を約束するお店であり……1階は受付だけど、2階は住居スペース。
つまり、自分の部屋があるので、多分探せば食べてないお菓子の一つや二つ、見つかるに違いない。
さて、お客様を案内して自分は家探し!と思ったところで……もふん。
「……あの、お客様?
流石の私もいきなり耳をもふられるとちょこっとだけ驚くわけですけどー……?
後、撫でられ続けるとお菓子がご用意出来ないと言いますか……?」
髪の毛と同じ色の耳はもちろんふわふわ。
掌を置いたら、すべすべとした外部分の質感を伝えてから、耳周りを覆うもふもふ部分のぬくもりが、耳の中に伝う血管越しに広がり、絶妙な質感を伝えるのです。
とはいえ、別に嫌がってない。人化した狐だからよくあることなので。
■シルフィア > 確かに少女の言うとおり、風は遮られているものの、入り口は寒い。
足踏みはしなくても良いけれど、早く移動したほうが良いだろう。
そうは思うのだけれど、手はぬくぬくで。
「え? それはダメです。
お菓子の準備は、何事にも優先させてください。
でも、この感触は癖になっちゃうので、続きはお願いしたいです。」
はっと気づいて、手は離すものの。名残惜しそうに、わきわきと指先が止まらない。
ふわふわ感が堪らない。
お耳が狐なら、当然尻尾ももふもふだろうと、自然と視線は少女のお尻へと向かい。
「がーん…… もふもふな尻尾がないのです。
裏切られました。絶望の極みです。
これは、ビスケットじゃなくて、パンケーキでもないと立ち直れません。」
言葉でショックを表現しつつ、その場に崩れ落ちる。
ちらりと少女の方を見上げる仕草は、あざといもので。
■ミタマ > 「物凄い勢いで要望がランクアップしてるのですけどっ!?
流石にパンケーキはないですねぇ……。」
つまめるタイプのお菓子ならともかく、パンケーキまで行ったら一から作るしかない。
これまで一人で過ごしていたのもあって、家事関係は問題なく出来るし、材料さえあれば作れるけれど、そもそも材料がない。
なので、その場で崩れ落ちたお相手様の要望に応じる事ができないわけで……。
「そ、そもそもです!ここはカフェではなく、眠らせ屋!ねーむーらーせーやーっ!
ハーブティーは安眠効果のためのものであって、お菓子はただのお茶請けなのですよ!
……ということで、こちらにどうぞ! ささ、あったまりますよ!」
うぐ。って上目遣いにやられそうになりましたが、今日の私は商売人。
受付の横にある扉を開ければ、暖かな空気がふわぁと広がる。
其処にはたくさんのぬいぐるみ。如何にもな本が並べられた本棚。そしてクイーンサイズのベッド。
部屋自体の色は黒く、薄暗さを感じさせるけれど……星空を模した光点が天井に無数に付いており、見上げれば天体観測が出来そうなもの。
もちろん暖房完備。
「さーさ。そんな冷たい床でなく、あそこのベッドにごろんとしててくださいっ!
熱々のハーブティーとクッキーなら、お出ししますから!」
■シルフィア > 職場仲間直伝の演技は、少女には効果が薄かった模様
開かれた扉から流れ込んでくる暖気に誘われるようにして、ようやく移動する。
出迎えてくれるもふもふなぬいぐるみをもぎゅっと抱き締めて。
「ハーブティがあったので、とーぜん、甘味もあるかと思いました。
あったかいのは幸せです。
ところで、ねむらせやって、何のお店なんでしょうか?」
促されるままに、ぬいの皆様方に埋もれながら、大きなベッドにごろんと転がり。
そのままごろごろともふもふなぬい様の感触を堪能して。
「大きなベッドも良いですね。
今度、ますたーにお願いして買ってもらいましょうか。
うちのますたーときたら、椅子で寝ちゃうことばかりですから。」
少女が最優先使命を果たしている間に、大の字になって寝転がる。
視線を天井へと向けると、そこには満天の星空が煌めている。
ぬくぬくな部屋の中だというのに、それは外のそれと変わりなく見え。
ほぁー、と少々間の抜けた表情で、それに魅入ってしまい。
■ミタマ > 「看板通りですよ!
……普段、眠れない方。悪夢にうなされる方。
傷が痛くて嫌な夢見になるお方。他にも、色々なお方っ!
……そんな方々に安眠を提供する。それがこの、眠らせ屋なのですよ!って、言ってるそばからもう既にぬいぐるみの虜に!」
お店の紹介をしてる間に、既にお部屋の中に入ってぬいぐるみを抱き締め、ベッドにごろごろするお客様。
どちらかといえばペースを持っていく側なのに、持っていかれてる感を出しつつ……。
少しお待ち下さいねー?っとお客様をその場に残し、数分程離席を。
…………
「はい、おまたせしましたー!チョコチップクッキーと、特製ハーブティーのお通りですっ。
……ほほう? イスで寝ちゃうのはちょっと大変ですね。
腰とかばっきばきになってそうですし。肩も大変そう……。」
がらがら。と部屋の隅から移動タイプの机を引っ張ってきて、其処にお盆に乗せたクッキーのお皿と湯気立つお茶入りカップを置いて。
つらつらとお客様の述べたますたーさんに思いを馳せる……きっと腰、肩、眼精疲労。様々なものが積み重なっているに違いない……と。
そんな思いを馳せるのを終えると、天井を見てるお客様が。
「ふふふ、良いデザインでしょー?
……安眠にはほどよい薄暗さ。そして、見ていてキツくない景色が必要です。
では、何を用意するかと言われれば……そう、星空です。
……そういえば、添い寝コースがご希望でしたか? お客様。」
■シルフィア > 「うーん、読んでも聞いても、やっぱりシルなんかよりは、ますたーの方にこそ必要なお店ですね。
シルは早寝早起きがモットーな、ゆーとーせーですから。
チョコチップ! 店員さんは分かってますね。ぐっじょぶです!
ずずぃっとお通りくださいませ。」
要望どおりのクッキーがお出ましとあれば、がばっと飛び起きる。
もふもふなひつじの縫い様は抱きかかえたまま。
専門家らしい少女の言葉には、うんうんと頷き。
「それはもう。いっつも、肩が凝っただの、腰が痛いだの、言ってます。
そんなに辛いならベッドで寝たらいいのに…って、いつも言ってるのです。」
どうぞと言われる前に、クッキーに手を伸ばし。
さくさくと、その優しい甘さを味わって。
口の中で、ほろほろと崩れていく歯触りに、チョコチップがアクセントを加えている。
さっぱりしたハーブティが、口の中に残った甘さを洗い流し。
冬の星空の下で、まったりとお茶ができるのは稀有な体験とも言え。
「シルはあったかいのがごしょもーなのです。
なので、ふわふわ狐耳さんとの添い寝でお願いします。」
かむかむと両腕を広げて、うぇるかむもーど。
温かいハーブティのおかげで、お腹の中もぽかぽか。
あとはふわふわな狐耳さんをげっとしたら完璧で。
■ミタマ > え?では、なんでこのお方は此処に来たんでしょう。
という疑問を言葉にせず、笑顔でチョコチップクッキーを貪り、美味しそうにハーブティーを飲む仕草を眺めていたり。
そもそも、興味を持ってくれたことが割りと嬉しい感じなので。
そうでなければ、自分のとっておきのクッキーを差し出したり、ハーブティーを差し入れたりはしないのです。
「あー、でしょうねぇ……。寝転がって眠らないっていうのは、身体の重さがずっしりと腰にかかっちゃってるので!
ということで、ますたー様? の事はぜひこのお店に! えっと、シルさん!
――――あ、私はこのお店の店長のミタマですっ。以後、お見知りおきを!」
ぺこっと頭を下げて、顔を持ち上げたら満面の笑顔。
えへへ~♪と邪気が全くない様子を見せつけたなら……お相手様の言葉を聞き、ぽふっとベッドに寝転がる。
大柄の男性と一緒に寝転がってもまだまだお釣りが来る大きさのクイーンサイズのベッド。
小柄な少女たちが寝そべっても、まだまだ余裕があり……。
「ではでは、添い寝コースをご所望のお客様……。
良い快眠をしてくださいねー……♪」
ウェルカムなお相手様の両手の間に身体を倒したら、ぽふ、もふっ。
子供特有のあったか体温と、その抱き包む両腕を後ろからふわふわと包む尻尾のぬくもり。
更に、普段からつけているミルクの香りの香水のお陰で、鼻孔まで満足させる商人気質。
其処に更に……【睡眠】と【安眠】の能力を使えば……。
数分もせず、完璧な睡眠がお客様に訪れることでしょう。
朝起きたら、それこそばっちり快眠。
何なら眠りすぎて早寝早起きがモットーのはずが、少しだけ遅れちゃうかも知れない。
けど、普段以上の体調の良さを見せるはずで―――すやすや。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/【眠らせ屋】」からミタマさんが去りました。
■シルフィア > 「でぶしょーな人なので、来るかどうか保障はできませんけれど。
それでも狐耳の可愛い店員さんがいるって、宣伝だけはしておくことにします。」
ここがポイントとばかりに、強調しておく。
お見知りおきをと頭を下げる少女をぐりぐりと撫でまわし。
「ご丁寧にありがとうございます。
シルの個体識別名称は、シルフィアと言います。
店長さんだったのですね。とっても可愛いから、店員さんだと思いました。」
ちっちゃいからではありません。ほんとですよ?
こういう時は視線はまっすぐ相手の方を見つめるのが、誤魔化すときのポイントです。
そう職場の同僚が言っていました。
自分よりも小柄な少女を正面から抱きしめ、そのままベッドに倒れ込む。
想像以上にぬくぬくな人肌は、残念ながらぬい様も敵わない。
そのうえ甘いミルクの香りに幸せメーターが留まることを忘れた感じにぐんぐん上昇し続け。
ちょうど顔のあたりに当たる、ふわもふな狐耳にちょっとばかり悪戯しそうになったところで、
ふわりと身体が浮き上がるような感覚を覚え。
そこから先は記憶は全くない。
次に目が覚めたら、天井の星空はすっかり明るくなっており。
ちゅんちゅんと小鳥のさえずりが耳に届くだろう。
今日も元気いっぱい。普段よりも快調で。
唯一の心配事と言えば、ふわふわな少女の髪に涎を垂らしていなかったか。それだけで―――。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/【眠らせ屋】」からシルフィアさんが去りました。