2023/11/17 のログ
■エレイ > ともかく、男は客を迎え入れ。カーテンは再び閉ざされて──
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」からエレイさんが去りました。
ご案内:「城塞都市アスピダ周辺 」にスピサさんが現れました。
■スピサ >
山脈での戦争
それは騎士や冒険者 鍛冶師 誰もが共通して想うことは 金属 の不足。
剣から鎧 盾 兜 弓の矢じりに至るまで、青銅ならばまだしも鋼鉄を求める手は多い。
スピサは想う武器を造ることもあれば、頼まれて仕上げることもある。
鍜治ギルドでは敵味方問わず刀のような二種を合わせたようなものではなく、鋳造から鍛鉄に至るまで
一つの金属から為せるものを蘇らせる仕事も増えているらしい。
元の作った職人の魂は消えるものの、新造された剣に変えなければ使えない。
折れた 欠けた 罅入った 最後まで戦える信頼性はなくとも、斬れる信用性は生まれる。
これはこのアスピダという、ハテグやタナールとは違う新しく生まれていた争いだからこそ
起こった不足に対するスピサとしても凡そなかった経験
アスピダへの参加だった。
―――“ギィンッ ギィンッ ギィィィンッ――!”―――
最低限火力を生み出す炭と鞴さえあれば、炉は作れる。
小さく囲いを造った耐火性の炉でもいい。
スピサは、薄青い肌と単眼という体に恵まれた膂力と鍛治能力という二つから
性格上知人の押しに負け、鍛造と研ぎに参加していた。
革製の防具に関しても、一々新品を扱うのではなく当てや工夫で繋ぎ止める。
赤茶けた革製のオーバーオール 三角巾の鳥獣のバンダナ
グローブやブーツに至るまで耐火性のスピサは、今も折れた剣を重ね
針金に仕上げたそれで強引に巻きつけて静かに一つの鉄塊へと変えた後、槌を振るう。
スピサの怪力で数を打たねばならない変形への過程は短くなり、不純物を排除して生まれるそれ
剣の形にする際、量産品同然に丈を同じにすれば手は早くなる。
中には個人に頼まれた場合、その背丈や手の長さに合わせて少し短くしてやることもあれば
傭兵らに当たることが多いものは厚みを増やし、鈍らにする。
「…、…。」
鎧を折り、肉をひしゃげ、骨を砕く
剣とは斬る為だけにあるわけではない。
弾け飛ばすだけの打撃武器のようにすら変えて見せる。
スピサは人前故、目元に装具を付けたままながら、充分に見えているようで
柄や柄を別途取り付けるよりも、一人仕事が多い。
鍔や柄まで一体型のものが目立つだろうか。
冷気帯びる今の時期 肌は薄く湯気が立ち、鍛冶仕事だからと上着も来ていない
裸体にオーバーオール姿だけの容姿で、傍で剣を眺める者や、塩と水を差し入れるお節介などがいる。
■スピサ >
戦場の空気
普段の工房や町並みとは違う
ダンジョンや坑道とも違う匂い。
向こうでは頼まれない限り仕事は増えない
此処では簡単に折れさせるつもりもないものの、別の剣もあれば革も扱えることも踏まえてか
街での革職人とは違い洗浄修繕はできなくとも、持ち込んでいるツールで繋ぐことはできる。
それも、限りなく目立たなくさせる これは鉄鎧も革鎧も同じだ。
ただの複数の切り傷ならばいいものの、何度も打たれた同じ凹みは直さなければならない。
防具の疲労だけではない 身に付ける者が一番打たれる個所 防御が甘い 隙
打たせる場所として認識されてしまい、其処に会心の一撃を叩きこまれれば死ぬからだ。
複数人相手ならばまだしも、一対一になった時の尋常ではない集中力は一般兵を狩人に変貌させることも儘ある。
「ふー…、…。」
終わった時間はそれなりに経過していた。
汗をぬぐい、火の傍で体温を維持し、水気を乾かし、革の上着を羽織る。
火の傍はやはりスピサは落ち着くようで、団体の中に紛れ込むことは少ない。
汗をかいた分だけ塩を舐め、水を取り、ごった煮のシチュー状のものを食む。
水分と栄養を取るには干し肉や乾パンは旅路だが、こういったもののほうが効率がいい。
「…、…。」
槌と金床 これだけは無ければ始まらない。
疲労や凹み スピサの単眼の視力では、やはり疲労がいつもより濃く見える。
柄の取りかえる頻度も増えるだろう。
自身の鍛冶に取り扱う道具を点検しながら、パチンと燃える火の音を聞き。