2023/11/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 夜月のカフェテラス」にレディ・レッドさんが現れました。
レディ・レッド >  
 王都マグメール 富裕地区 夜間限定のカフェテラス
 屋外に設けられた品質のいいテーブル・チェア
 透かし彫りされた木製の床
 夜の月明りが制限されないよう天幕やパラソルはない
 せいぜいが小さな風でカップに散り屑が入らないよう、風除けが設けられている程度か。

 レッドは、そんな自由な夜を満喫するように黒いドレスと黒いストール
 肩口と背中の洋彫りが露わな姿で、コロナサイズの葉巻を鬼歯がやや目立つ前歯で咥え、甘い煙を燻らせる。
 ロングスカートスタイルの足元は組み、背もたれに身を預ける。
 紙巻とは違う葉巻の密な巻き方は、多少先端が灰になった程度で落ちることもなく、動じない。
 時折指先で携え、転がした煙を唇から散らすのみ。

 傍では常温の赤い琥珀酒がグラスの中でまだ量を満たしており
 それは唇 もしくは煙で辛くなった舌先を湿らせる程度の役割だけなのだろう。
 手元で折りたたまれて手の内に収まる不定期刊の情報誌にも似たそれ
 庶民では出回りにくいだろう低品質の紙と国内情報が真偽の率を問わず並べられたそれを
 書物替わりに赤い瞳が追っている。

 周りの席も疎らなもので、月明りを好む者や夜を好む者程度
 中でも月明りの下で構わず読み物をする者はレッド以外にはいなかった。


   「…、…ふん。」


 とはいえど、その中身は月明りの下、葉巻片手でなければ読むには余り値しないものであるらしい。
 好い気温と好い月明りの下で怠惰に過ごす それが目的のように振る舞っている。

レディ・レッド >  
 やがて葉巻が一本吸い終わる頃
 4分の一ほど残してそれが灰皿の上で放置され、自然と火は消える。
 グラスの中の赤い琥珀
 度数の高さが目に見えてわかるようでも常温のそれ
 喉が焼けるような熱を敢えて冷たい皮膚の下に流し込むように
 一度も抵抗がくることがなく喉の奥へと消えていくのなら、音も無く置かれたグラス
 指定数分のゴルドを銀貨でテーブルの上に置き、カフェテラスを立ち去るだろうか。
 レースを両腕に絡ませて歩く先は馬車か それとも フッ と煙のように消えてしまっていったかもしれない。

ご案内:「王都マグメール 夜月のカフェテラス」からレディ・レッドさんが去りました。