2023/10/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 Bar」にレディ・レッドさんが現れました。
レディ・レッド >  
 物騒な世の中の昨今
 王都にまで及ばないものの、脅威は減るどころか変化している
 形を変え 勢いを変え 伝わりを変える。

 貴族の中では早い解決を望む声もある中、死というものが割と遠い位置にある銀髪の夫人
 今夜も夜という時間を自由に過ごすようで、“朝更かし”をしながら主人との時間に興じる前
 月がやや雲がかかりうっすらと月明りが見えるだけ
 これでは空を眺めるように、首を持ち上げる機会も少なくしている。


   「蒸し暑さも取れた、好い夜の気だというのに。」


 馬車を降りた先 頭上の興味は薄れ、地下の中へと コツリ コツリ コツリ
 ヒールの音 両腕に絡ませるストールの布擦れと共に静寂な富裕地区の夜の中へと消えていった。
 入口の近くには馬車と操者が一時の時間の間待つことになるだろう。


 地下Bar 店内
 入った夫人は、銀色の髪と貴族夫人の例的な編み上げるスタイルではなく下ろしている。
 まるで喪服のように黒一色で統一したゴシックドレス姿でカウンターへと足を運ぶのなら
 静かな店内はまばらな、この店に来たがる物好きな者が数人いる程度か。

 横目でチラリと赤い瞳 周囲を見てから一人が椅子を引く。
 腰を下ろすのなら、手元から葉巻を一つ取り出し、店員に赤い琥珀酒を頼み
 そしてそれ以降はバーテンダーの背景に綺麗に並ぶボトルにも、店内にも興味は薄れたか
 手元の葉巻をギロチン式のシガーカッターが、バチンッと綺麗に切り落とした。

レディ・レッド >  
 手元の、綺麗に切り落とされた断面
 造られた吸い口 ピラミデ型の尖った先端はまるで悪党が好む葉巻の造形
 男の好むそれよりも、やや細まる身幅 尖る細い先を失わないように切り落とした口は半ばのもので
 夫人が側面を寄せて葉巻の香を楽しんだのなら、その白く磨かれているかのように錯覚する歯列
 鬼歯がやや目立つ歯に支える程度に嚙み支えられられたのなら、琥珀酒を注ぐ前のバーテンダー
 タイミングを伺ったようにロングマッチを擦りあげ、燃え上がる勢いのある最初の火


   「―――ん。」  


 それが落ち着くまで数秒 そのあとに静々と火を差し出され、夫人は咥えたままの動かない首
 それで火が近づくのを待ち、ジリジリと先端がたっぷりと焦がされた後で息を吸った。


   「―――ふぅぅぅぅ。」


 うまそうに甘い香りに満ちた紫煙が燻る。
 周囲に白く霞むうっすらとした霧のよう
 漂うそれはすぐに散っていくものの、白い霧と夫人は噛み合う構図と言えるだろう。
 上手そうに煙を呑む最中 商人街のように術師を雇用しているのか
 丸く磨かれた氷の中に注がれた赤い琥珀酒を丸いグラスで出され、舌を濡らすようにではなく
 喉灼けと度数を逆に楽しむようにグラスの半分 容易く干してしまうだろうか。

 そうして煙と酒精 二つを手に少しの間自分の時間だけにしか興味がないように過ごしたところで
 やっと店内で使われるブロンズ像の静かな歌声や無人ピアノがbgm程度に小さく響いている事に気づいていく。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 Bar」からレディ・レッドさんが去りました。