2023/09/16 のログ
ご案内:「神聖都市 廃教会」にアザレアさんが現れました。
■アザレア > 修道院の皆が寝静まった頃、あるいは、皆が客と共に個室に籠もった頃。
灯りも持たず、ひとり宿舎を抜け出して、訪れたのは街外れの廃教会だった。
ここへ来るのは初めてではないから、星明りだけで充分辿り着ける。
窓からだって、ほかの場所からだって入り放題だけれど、
立てかけられているだけの扉を、わざわざ脇へ避けて身を滑らせるのもいつものこと。
内部はほとんどがらんどうになっていて、長椅子も壊れたものが転がるばかり、
祭壇らしき痕跡は在れど、崩れかけて見る影も無い。
そんな中へ、迷いなく進み出て身を落ち着かせるのは、祭壇跡の陰になった一角。
小さなスツールが奇跡的に無傷で残る、夜空がすっきりと見える場所。
そこへ腰かけ、空を振り仰ぎぼんやりと眺め遣って。
こうして過ごすひとときには、誰の邪魔も入らないから。
行き帰りが多少物騒に思えても、控えようとは思わなかった。
■アザレア > 半時ほども、そうしてぼんやりしていただろうか。
祈りの言葉も聖歌も無く、けれど確かに、その時間は己にとって、
心を落ち着け、魂を洗い清めるひとときとなる。
夜が明けるまでそうしている訳にもゆかず、
そそくさと立ち上がり、修道院へ戻って行くけれど。
きっと三日とあけず、またこの場所を訪れることになる筈だ。
打ち捨てられた、もはや何ものにもなれない静かな場所。
そこが、己に相応しい場所であれば――――――。
ご案内:「神聖都市 廃教会」からアザレアさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」にツネオキさんが現れました。
■ツネオキ > 日は沈んだばかりで空もまだ赤々とした頃合い――
瓦斯灯や魔導灯に提灯にと様々な明かりがぽつぽつ点き始める、宿場町。
王都に向かうにも他へ向かうにも早馬を駆けさせても間に合わぬだろう絶妙な位置に設えられた其処には王都へ向かう人から王都から出立した人からが立ち寄っては、本日の宿は此処にどうぞ! と、呼び込まれ、お兄さん良い娘揃ってるよ! と、呼び込まれ、今日採れたばっかりだよ! と、呼び込まれ、商人達と共に活気を生んでいる。
「ハハハ。堪忍な。嫁はんに怒られてまうねん」
お兄さんは胸派かね尻派かねどっちも選り取り見取り……云々、
掛かった呼び声に片手を謝意と遠慮で立てつつ活気の中を歩く。
嫁さんなんか居やしないが。興味がないわけではないが。興味しかないといっても過言でないが。懐事情も厳しければ戒律的にも大変宜しくない。顔に残念の内心が浮き出てしまわないよう表情筋しっかり固めて女衒の誘惑を振り払ったあとには、宿は決めたし後は飯だ、王都程とは言わぬがそれでも数々に立ち並ぶ露天を眺めて歩く。
「色々あんねんなぁ」
ノーシスの信者さん向けだろうか? それとも流行りとかいう菜食主義者向けか、肉類を省いた献立を出している店も少なくはない。
お値段は驚くほど高くもなければ安くもないが持ってきた銭もそれなりだ、
木賃宿で腹を空かせながらじっと耐えて眠りに就くという目は回避できる。
……出来れば自分の拠点の自分のお布団で眠りたい所ではあったものの……
近郊の農村に説法しに行くはずの坊主が急遽病欠で急いで出立した帰り道、
流石に疲れてしまって自慢の駆け足も使いたくない故こうして宿場町で一泊という流れ。
「アイツはほんま……あ、これちょーだい」
担当坊主の文句もそこそこ。芋の揚げ物に目を留めて、果実水と一緒に購入。近場の椅子に腰掛けて、飯には物足りないが空きっ腹をとりあえず満たすために摘むことにした。