2023/08/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 路地裏」にカジャさんが現れました。
カジャ > 王都マグメールその賑やかなる大通りより伸びる路地の一つ。
誰かが近道に使うような、誰かが誰かと内密に取引を行うような、そんな状況が似合う薄暗い路地裏であるが、その薄暗さの他に僅かな霧が霧と共にゾクリとする程の冷たい空気が満ちている。

警邏の兵士や冒険者であれば異変にその路地へ立ち入ろうと、もしくはその変化に気がつかず足早に路地を抜けようと、その路地裏の道を通り抜ける理由は様々あるだろう。

しかし今宵踏み込むモノは非なる日常と遭遇する事となるだろう――若しくはその餌食となるだろう。

其処には今にも朽ち果てそうな呪詛の塊たる生物が居た。
冒険者ギルドに捕獲依頼の依頼書が貼られるような希少な生物だ。
それが今や肉体を保てず半透明で不確かな姿となって路地を彷徨い、その身に宿る魔力が拡散して僅かな冷気と薄らとした霧を発生させている。

半透明なる腕、手、指にしか変化ができぬ化生。
物陰より、地面より、手を指を伸ばし蠢かせながら、獲物が迷い込んでくるのをまっている。

ぞわ、ぞわ、ざわ、ざわ、ざわ

飢えたモノ達は誘う、日常たる大通りから非日常たる異形が満ちる路地裏へと。

そのザワメキは誘いの声、おいでおいで、とその路地に視線を向けてしまった者を誘うのであった。

カジャ > 誘いに乗る者がいなければカジャは呪詛の塊は退くしかない。
何故なら今のカジャに敵対者に抗う力はゼロに等しいのだ。
あるいは他の同族を取り込むか脆弱な身体でも食える相手を飲み込むしかないのだが、現状ではそれを望むのは難しいだろう。

だから今宵は退く。
脅威なる者に眼をつけられる前に影へと消える。

とぷんっ、と液体に何かが沈む音がして、路地の物陰から伸びる腕も手も指も陰の中へと沈んで消えて、路地裏に広がる霧さえも今はなく、通りの喧騒が路地まで響き何時もの日常がやってくるだろう。

此処にはもう呪詛の形跡はない。
もし辿ろうとすれば――余程の術者か魔法に精通したものだけ、後はない、何もない路地には静寂と夜の闇だけだ。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 路地裏」からカジャさんが去りました。