2024/12/28 のログ
ご案内:「闘技場・貴族用個人観戦室」にドルエンムさんが現れました。
ドルエンム > (そこは闘技場の内部。個室と言えばお決まりの無駄に豪華な机に椅子。
気に入った闘技場の戦い手がいれば呼び出すための通信用魔道具。
石造りの個室だが天井の通気口から新鮮な空気は届き、空調のための魔道具が常に室温を快適に保っていた。
クルミよりも固い外殻を持つ木の実を掌で転がし、時に握りつぶして中の果実を貪る。
ここに来た理由は幾つかあるが、護衛の兵の交代に伴う有望株を探すためと、単純に気が向いただけの話でもある。
兵士を雇うならそれこそ冒険者ギルドなり傭兵ギルドなりに依頼を出せばいいのだから。)

「ほう、みろ。あの剣捌き。急所に意識を向けさせて浅く肌の表面を薙いで出血による有利を取りに行きよった。
こざかしいが有効よな。痛みと失血は――」

(嬉々としてという訳ではないが解説を交え。
今闘技場で戦っている両者を見比べていた。片方は速度を信条とする剣士であり、我流だろうか。
もう一人は槍を構えているのだが浅い傷が幾つも肌に浮かび、集中力がそがれている様子で苦戦をしているのだった。
どちらも駆け出しという評判だが、剣士の方は場数を踏んでいるようにも見えていた。)

ドルエンム > (当然だが賭けも行われている。
勝敗以外にも賭けの項目はあり、マスクオッズではあるが貴族が買い上げるかどうかや、何度の攻撃でダウンをするか。
果ては処女かどうかやどこまで露出されるかと言った下卑た項目まである。
処女かどうかを確認する手段はないため、冒険者同士の戦闘結果でソウイウコトが始まれば明らかになる。明らかにならなければ返金されるので人気としては勝敗以外では2番目に人気のある項目だ。)

「槍使いの方が好みではあるがな!」

(戦況を笑い飛ばす様に男はむしろ劣勢の槍使いを高く評価していた。
剣士の方は確かに早い。身軽だし見切りの間合いも槍使いより少しばかり有利を取れている。
だが、浅い傷ではだめなのだ。倒れない。
確かに集中力をそぎ、戦闘力をじわじわと奪うのだろうが、それだけだ。
剣に毒をぬっている訳でもない。それに比べれば槍使いの方は一瞬の隙を逃さない様に穂先は常に相手に向けたまま、嵐とまではいかないが素早い相手の攻撃を耐えている。
派手な動きに目を奪われていれば気付かないだろう、わずかな息の乱れやそれによる動作の鈍化。
そして着地の際にそれが噴出し、バランスを崩した少女剣士は槍使いからの必殺の一撃。
渾身の一突きを受けて簡単に場外まで飛ばされてしまう。)

「おうおう、加減もしねぇとは。
しかしまぁ、見事なもんだ。あの一撃はまともに受けたら俺でも――。」

ドルエンム > (護衛兵の数は少ない。1人は執事的な身の回りを世話しつつ毒や呪詛に敏感な資質を持った男。
主よりも細身な分だけ見た目は整っており、社交界にしろ外に出る時にしろ使い勝手はいい護衛。
指先で宙に何かを描く仕草をしただけで次の呼吸を終えるまでには、自らの目の前の机に何かを記すための紙とペンが用意をされている。
滑らかなペン捌きで薄い紙の上をまるでペン先が切っ先の様に削り、インクを滲ませ、文字は単語に、単語は文章に。
そして文章は最後の署名にて意味のある証書となった。)

「槍使いの推薦状だ。冒険者ギルドにでも放りこんでおけ。
くれぐれも王国騎士団に目を付けられないようにな。」

(それは槍使いがすぐに手を出す対象ではなくキープとして冒険者を続けさせる目的のもの。
王国騎士団に採用されては流石に手を出せない。出してもいいが危うい橋を渡るほどの魅力を槍使いに感じないと言う事でもあるが。
恭しくその護衛兵が受け取ると一時の間姿を消す。
――となると暇だ。何をするでもなく、暇だ。通信の魔道具を使い、娼婦を呼び寄せる手続きを取る。
青い果実でも熟れた果実でも構わない。あるいは傷ついた冒険者だろうと構わない。無茶な注文ではあるがこの一言が添えられていた。『上玉を』と。)

ドルエンム > (呼ばれた娼婦とともに夜は更け、実力ある冒険者のうち妙に男ばかりが王国騎士に推薦を受けた。
王国騎士が弱くなりすぎても困るのだ。悪人にとって王国騎士団は自分の懐の痛みは僅かですむ肉盾なのだから――)

ご案内:「闘技場・貴族用個人観戦室」からドルエンムさんが去りました。