2024/04/21 のログ
ご案内:「王都平民地区 鍛治場工房地帯」にスピサさんが現れました。
スピサ >  
 外では雨が降る音が聞こえる。
 最初はパラついた雨だったのが、今ではサラサラと地面を濡らし、水を貯めるくらいの雨量
 激しいものではないものの、全身をしっかりと濡らす程度ではあった。

 そんな午後 雨のせいで人気は少ない工房地帯の通り。
 こういった区画は衝動買いよりも目的買いとなる為か、目貫通りのような散策が少ない。
 雨のせいでそれもさらに人は少なくなっている。

 家屋の中では槌を振るう音が雨でやや掻き消されるものの、薄く聞こえてくる
 スピサもまた、個人で行う家屋の中 炉の鞴で空気を送り、熱くなった炭の中
 振り下ろす筋肉が詰まった薄青い肌の腕
 熱い火の塊のような鉄塊を、剣という形状に変えていく。
 槌と鉄塊の打ち合う事で生まれる、硬質的な音。
 棒の先で繋がれた真っ直ぐな形状
 傾け、縦置きし、均一な直立剣を拵えながら午後を過ごしている。


   「…、…。」


 無言 露わにしている単眼で見入る鋼の形状と火色のみに注視し
 打ち合う火花すらもう消えて、はじける不純物すらない純粋な鉄塊
 
    ギィンッ ギィンッ

       ギィンッ  ギィンッ