2024/01/02 のログ
ご案内:「ミナスジェイラス領・一新祭会場」にモルガナさんが現れました。
■モルガナ > ミナスジェイラス領にあって史上初の次女にして領主を務める才女の開会の挨拶と共に始まった領の新年の祭である一新祭。
文字通り領主の家の備蓄を一新する為に全てを放出し盛大に新年を祝う祭である。
大量に備蓄した食料は宴に訪れた者全てに振舞われる。
それこそミレーも平民も貴族も、奴隷さえも。
加えて各種露店の出店にかかる費用もこの日に限っては無料。
王都からミナスジェイラス領の会場への馬車等各種移動手段も無料。
食事も全て無料。これら費用は全てミナスジェイラスが負担する。
一年に一度、新年を全霊を以て祝い、再び年を越すまでの活力とする宴。
それは同時にミナスジェイラス家の力を知らしめるためのパフォーマンス。
民にミナスジェイラスの威光を示し、領地の豊かさを国内に知らしめる意図もある。
それだけの、年に一度ぐらいは領民を、民を問わず労うだけの度量と財力があるのだと。
モルガナもまた、王都より帰還して宴に参加していた。
■モルガナ > 「貴方も楽しんでいて?」
『んー? まーな。長女様もご機嫌なことで』
国を飛び交うとある情報屋の男、背後で壁にもたれかかり酒を嗜むそれへ声をかけるが返ってくるのはそっけない態度。
「私にそんな不遜な態度を取るのは貴方ぐらいのものでしてよ」
『クソみたいなリップサービスありがとよ。長女様の距離の詰め方で同じようになる奴多いだろうがよ。
んで、今日はあんたこそ楽しまねえのか?』
二人して賑わう光景、人々の笑顔を眺めながら酒を飲み、静かな時間を過ごしていて。
「今夜は貴方を誘うつもりですもの。今日こそは相手をしていただきますわよ。」
『あ? パス。腹に一物抱えてる奴とは寝ないんだよ』
「逸物抱えてるのはあなt」
『下ネタいわせねーからな……? 悪いけど俺ぁ明日には帰るよ。今日は別の奴と愉しみな』
「相変わらずつれないんですのね」
『出かけるところがあるから準備しねーといけねーんだよ。
つーか、若気の至りをまだ引きずってんじゃねーだろうに。』
「あら、貴方は後ろ髪を引かれてくれないんですの?」
『全くないですけど……? んじゃ今年も一年よろしくなー。』
本当に家へ挨拶に来ただけだというように、情報屋の”カラス”は片手をヒラつかせて離れていくのを見送って、ため息一つ、テラスの柱にもたれかかり。
「誘った相手を壁の花にするとは、分かってませんわね」
一人残って、さりとて今更誰かに声をかけるか、だが思い通りにいかず鬱屈した気持ちもある。
年の初めだ。激しく燃え盛りたい気持ちもあるのだが、さて。
ご案内:「ミナスジェイラス領・一新祭会場」にアイクさんが現れました。
■アイク > ミナスジェイラス領へ向かう商人の護衛隊の一人として参加できたのは、まだ駆け出しである己にとっては非常に幸運なことだった。
自分は雑用に徹することができる程度には道中は順調であり、現地での宿どころか食事の心配もしなくて良い――なじみの商人から誘われてなければ、何か裏のある危ない依頼なのではないかと疑ってしまう程だった。
「――お金ってあるところにはあるんだなあ。」
先ほどまで隅っこの方で若い食欲を満たし終えたあとは、商人からの許しを得てぶらりと散策することにした。
冒険者としてはまだ駆け出しで、元は寒村の出での人間ではあるが、ここまで盛大で太っ腹な祭りなど見たことはない。
護衛対象の商人から話を聞く限りは女領主の権威を誇示する意味合いも多分にあるだろう――ということだが、これだけの催しができるのだから少なくとも財力という面では他の貴族たちとは一線を画すものだろうことは容易に想像しうる。
と、柄にもないことを考えている最中――不意に感じるのは淫の気配。
連れ込み宿らしきところはもちろん、そうでない場所からもお盛んな様子には、何となくむず痒い気持ちを覚えつつ、そこを避けるように歩いていけば……意図せず、屋敷の前へと通りかかる。
「…――いやぁ…皆、舞い上がってるみたいだ。」
そういえば他の護衛役の冒険者もどこか浮ついているような雰囲気を醸し出していた。
その理由が今漸く分かれば、むず痒さはさらに増す。
少し息をつくように――人酔いにも似た感覚を覚えながら、その場にしゃがみ込み、高鳴る鼓動が静まるのを待っていた。
■モルガナ > 貴族の力はどこに見せるべきか。
国に。王に。そんなものは無論であり、それは普段の貢献によって示されるものである。
だがそれは民草には見えぬもの。
故にこそ、住む土地を治める領主は力を持っているのだと民に知らしめる必要がある。
民あっての領地。領地あっての民。
故にこそ、労う時は存分に労うことが肝要であり、また領民が他より流入すれば更に財政は潤う。
長女たる己が領主となればこうはならなかっただろうと、
次女たる妹が領主として民をよく見る目が活きてこその今日の宴。
それに何より子は国の宝。
もうこういう空気で沸き立ってきっかけとなればいい。
ミナスジェイラスで秋生まれの子が多いのは公然の秘密。
そんな風に宴が盛り上がり、昂った奏者達がひとしきり楽しんで落ち着いた奏者達と交代して
楽団の演奏が再び始まる頃に、長女たるモルガナも屋敷から出て会場に出ようとして、
「あら。貴方大丈夫? お加減が悪いのでして……?」
屋敷の前でしゃがみこんでいる人影が一つ。衛兵が近づき排除、ではなく臨時の診療所に運ぼうとして、
長女がその手を制す。
「ここは私が介抱いたします。それよりもあなた方もそろそろ愉しみなさいな。
……館に近づく不埒な輩は、そっけないカラスが見張っていましてよ。」
そう、衛兵達さえも宴を愉しむ権利を謳歌せよと命じてから、改めて跪き、貴方に手を伸ばして頬に触れる。
「喋る気概はありまして?」
顔を覗き込み、熱を測るように、着飾った貴族が……、よく見る余裕があるのならば
肌の至る所に細かい傷を帯びた女騎士が、顔を近づけて額を当てて。
■アイク > 自分がその場でしゃがみ込んでからどの程度の時間が経過したか分かっていない。
分かるのは大して自分の中にあるむず痒さは治まる様子がないことぐらいだ。
もう少し、もう少しだけ――と、自分の中で条件付けをするかのように独りごちる中、不意に聞こえた声に慌てて顔を上げる。
どう考えてもこんな場所で蹲っている人間など不審者でしかあるまい。
衛兵たちが排除、もとい移動させようとするのも不思議ではない。
「あ、そのすみませ――」
咄嗟に出るのは謝罪の言葉。
もう大丈夫です!と言おうとするも、その言葉は不意に止まる。
見目麗しい顔つきと、己を間近で見つめられる瞳の美しさと、触れる頬への手指――柔らかさは帯びつつも鍛えられた剣の使い手を示す力強さに一瞬言葉を失う。
――むず痒さが増す。
それを振り払おうとするも、顔が近づく額が重なれば息を詰まってしまう。
少しもどかしげに躰を揺らしつつも…
「あ、あの……ちょっと立ちくらみみたいなものでして……
少ししたらここから移動しますので……」
間近にある女性に気恥ずかしさを覚えているのか視線を僅かにそらす。
そらした先でその服装と言葉遣いからは貴族か、それに近しい人であることは容易に想像しえる。
平民からすれば恐れ多く、すぐにでも離れていきたいのだが――躰は額を通じて感じる女性の温もりすら離れがたく感じているのか身じろぎ一つする程度で。
■モルガナ > むず痒さの要因はこの宴そのもの。元よりそういう宴。致し方ない。
なんなら淫魔がここにいたとして私がこの場をこういう空気にしたと言ったとしても、
いいや私達がいやらしい雰囲気を醸し出したと責任を取れるのがミナスジェイラス。
何においても民への影響は責任を取れる。面倒を見る。
それが高貴なる者の務めであると掲げられるミナスジェイラスの長女は、
しどろもどろにこちらへの対応を受け止めて言葉を紡ぐ貴方の遠慮がちな仕草に首を振る。
目の前でイブニングドレスに包まれた巨乳が大きく弾む。谷間が宴の灯りに映えて際立ってしまう。
「立ち眩みを甘く見るものではありませんわ?
ここに在っては無礼講。
これは宴の始まりで領主が発したミナスジェイラスの名の元に掲げられた宴のルールです。
新年の始まりに、貴族が平民を介抱するなど一夜の夢だと大目に見なさいな。」
と、遠慮する駆け出しのたおやかながら鍛えこまれた強さが伴う指が絡みつき、ゆったりとした微笑みを投げかける。
「それとも……、もっと良いお相手おられて?」
……その微笑みがまた近づいて、耳元で優しく囁く。
言外に、何故立ち眩みをしたのか察していると、今日はそういう宴なのだと誘いをかけて。
「さ、屋敷でゆっくり”おやすみなさい”な……?」
と、貴方を導いて屋敷の中へと連れて行こうとする。
■アイク > 近かった女性騎士の顔から視線を逸らし――その身に纏う装いは、酷く目に毒だった。
己の頬を撫でる指先は騎士としての力強さは兼ね備えているのに、目の前でこれ見よがしに揺れる乳房は不能な男でもなければ意識せざるを得ない魅惑的な色香を覚えることだろう。
むず痒さは次第に熱を帯び、僅かに頬を染める。
重ねられた額にも熱が籠もるが、続く耳元で囁かれる言葉には、
「あ、いえ……その……。」
その意図が分からぬ程に己は初心ではない。
むしろその熱気や淫気を敏感に察してしまったが故に、今の”不調”へと転じさせているのだから容易にその言葉の意図は察っせてしまう。
一夜の夢。
そう目の前の女性はそう紡いだのだ。
この状況に甘えていいのだ――と己の中の”誰か”が囁く。
「それじゃ……お世話になります。」
大きく息を吐き出す。
自分の吐息が熱い。
ゆっくりと立ち上がる。
僅かに足下がふらつくも、転ぶような無様はしない。
しっかりと貴女へと視線を向けるように、重ねるように視線を向ける。
女物の服を着せれば少女のようにも見える顔立ちのそれ。
けれどもどこかこれが”牡”であると、貴女は”雌”であると貴女の性が囁く。
自身に交じる淫魔の気配がそう貴女へと囁き、連れられるままに屋敷の中へと足を踏み入れるだろう。
気後れする様子もなく、堂々とした足取りで。
貴女に少しでも見合う”牡”であろうとするかのように。