2023/12/08 のログ
ご案内:「海魔の巣窟」にイソギンチャクさんが現れました。
イソギンチャク > 王都マグメールより馬車を使いまるっと3日間。
揺られに揺られ、途中で野営し、辿り着くここはセレネルの海でも珍しい、さらさらの白い砂浜と荒波に磨かれた大小様々な大きさのガラスや岩の球体が転がる海岸線である。

今夜は夜空に見事な月が輝いている。
潮は引き潮で、潮風は緩やかで潮騒も穏やか。
いくつかある条件を満たし、今宵は迷宮の入り口が姿を見せる。

その名は『海魔の巣窟』
セレネルの海に出没する初級ダンジョンで中は天然の洞窟であるが、階層を下だり最下層に近づくと徐々に人工物の様相を見せる不思議な迷宮である。

初級ダンジョンに分類されるように数多存在するダンジョンの中では罠も少なく安全だと認定されていて、冒険者ギルドで受ける初心者向けの依頼書でよく見かける。

冒険者以外にもギルド関係者や珍しいもの見たさの観光客紛いの人間や何も知らず入り込んでしまう人間も多い、その迷宮の海水が流れ込むような浅い階層に今夜は珍しく活発的に蠢く海魔がいる。

潮の満ち引きに研磨されたつやつやつるつるの壁に1匹。
人間であれば脛辺りまでの深さの潮だまりに1匹。
その潮だまりを回避しようとすれば壁にイソギンチャクに、壁を怪しんでまっすぐ進むなら潮だまりの中のイソギンチャクに、と罠にしては結構えげつない状態でうぞうぞと。

明かりをかざして目を凝らせば見えるかもしれない。
でもそうでもしないとこの2匹は透明な姿で見えない。
あるいは熱を見ることができる、生命の鼓動をみることができる目でもないと、容易く捕まることになるだろう。

と、いうのを狙ってダンジョンのボス直々に配置した二匹。
さてダンジョンのボスの狙い通り獲物を捕まえることはできるだろうか?それともそんなボスに用事のあるギルド関係者がくるのか――それはボスにもイソギンチャクにもわからないのだった。