2023/08/16 のログ
ショコラータ > 「イイ子は“都合の”良い子ってね。
 …貧乏くじ引かされようとしてるって、早く気付けると良いわね。
 別に自己犠牲で天国行き狙うのも好きにすりゃいいけど…
 ――自分に好意を持つ人を端から自己憐憫のダシに使う気なんだって、ちゃんと自覚して、先に言っといて欲しいわ。」

言えるもんならね、ふん、と半眼の目が次第に据わる。
身を持ち崩すのとはまた別に、優等生を完遂するのにも思う事があるようで、空気悪いが――

「――っぅおう? おお… き、鍛えてるんだ。
 そうそう、タプタプよりそういうのよ、自分でそこまでするのはちょっと大変そうだし太過ぎるけど、筋肉の方がカッコイイって。
 …それも、女の人の夢のためにがんばったの?」

商売道具として鍛えてるのかしらと、職業戦士と遜色ないように見えるそれに、なんとなく照れてしまう。
あんまり興味あると言うのも恥ずかしいところだが、筋繊維の浮き上がりに魅力を感じてしまうのは、男女差なのかと首傾げ。

「…ううんん、ショートパンツ… いや別に、おかしくはないって分かるんだけど、皆履いてるしね。
 でもイキナリあそこまで身軽なのは落ち着かないかな… ああでも、カッコイイのかも…
 ――あ、アレ、テーラードっての? うんうん、そういう方が好きね。」

パンツスーツまでいかないが、系統としてはフォーマルに惹かれるらしい。
軽く触れてくれる一案にも物欲がくすぐられると楽しそうに。
――姉が自分を知ってくれているという一言には、今日一で嬉しそうに えへへ と屈託なく微笑んだ。
……直後にその視線は すとん と落ちて表情無く虚空を見つめるが、人前ですぐに気を取り直し。

「ワンピースで髪を編むならどんなのがいいと思う?」

せっかく褒めてくれたのだからこのままでもいいのだが。
どうせ構えて行くのなら髪型も気分転換して、
普段の自分と、第一印象最悪な痴漢の女たらしとデートする自分は分けてしまった方が変身気分でスッキリする気がした。

負担になるかもしれない質問は避けるところだけれど、案をぽんぽん出してくれたヤシュムなので少し深掘りさせてもらい。

ようやく一口紅茶を飲んだらケーキに手をつけるが、一口分カットしてクリームよそり…
あーん?と一瞬もじもじするが二人分あるのだった。 ガラにも無い事はしなくてよしと、パクリもぐもぐ、むふーと幸せ吐息。

ヤシュム >
「存外長男長女なんてそういうものだろうな。
 ────元は傭兵でね、俺。こっちの国に来てからはのらりくらりしてるけど。
 女の人の夢の為というより、女の人の夢に丁度適ってた、って感じ」

 彼女にとって気分を害しそうな話題はするりと切り替えて、腕に視線を向ける少女にさらりと伝える。
 筋肉もそうだが、指を顎先に添えて彼女の顔を美しく端正な容貌が覗き込む。
 男らしさの中にやや甘みのある翡翠色の垂れ目、通った鼻筋に薄い唇。
 顔面に関しては自覚はあるようで、ふっと冗談めかすように笑う。
 腕も触ってみる?なんて、あまり異性の体に触れる機会がなさそうな少女に尋ねてみて。

「仕立て屋や裁縫職人なんかのプロに聞けば、もっといい案は出そうだけど。
 ふふ、なんとなくフォーマル系が好きそうだなって感じするよ。
 少しずつショコラータちゃんの好みが分かってきて嬉しいなあ」

 そんな風に楽しそうにしてくれれば自然と表情も和らいで。
 更に今日一番の笑顔を見せてくれる表情には素直に「可愛いね」と伝えた。
 すぐにその表情は虚無に変わって怪訝そうに首を傾げるものの。
 質問が重なればうーん、と真剣な面差しで見据える。

「後れ毛を覗かせるポニーテールも良いし、編み込みハーフアップも良い。
 編み込みのアレンジで、後頭部や側頭部に髪で花を象ってリボンやレースで飾るのも似合いそうだ、
 こう、横の髪を降ろして、後頭部で涼し気にまとめるシニヨンにしてもいいね。
 夏の花の髪飾りとか似合いそうだから、贈りたくなるよ」

 男が思い浮かぶ彼女に似合いそうな髪型をいくつか挙げてみる。
 初心者でも出来るものもあえば、一人でやるのは難しいものもある。
 だから美容師や髪結い師という職業もあるのだろうけれど。
 ヘアアレンジについては書店でも気軽に手に入る冊子があったはずだ。

 幸せそうにパウンドケーキを頬張る様子を見ていれば、不意に彼女の方へ身を乗り出し。
 顔を寄せて、あ、と口を開けてみよう。
 餌を待つ雛のような、しかしやっているのは甘いマスクをした成人男性である。
 いわゆるあーん、の姿勢だが、さて少女の反応はどうかと伺い。
 

ショコラータ > 「……。」

「――うっそ転身ナンデ!?
 ああいや… あー… なるほど、むしろ向こうじゃちょっと浮いてたのかしら。
 天職… かどうかは知らないけど、有効活用って気がする。」

…長女という単語には ずぅん と雰囲気が更に重くなるが、
別に引きずるつもりはなく傭兵と聞いてジャンルが異世界ではと目を丸くする。
見た目には分からない、何か傭兵を続けられないような負傷などがあっての事だと気まずいが…
話してくれて、キメ顔見せてくれるなら、あーハイハイ似合ってるわよと、
まじまじ直視も恥ずかしくって明後日見ながら。チラ見しながら。

腕、触ってみるかと言われるとそれこそ着恥ずかしいものの、そういう部分では好奇心が勝つタチである。
実用力こぶ、とちょっとお尻を浮かせて身を乗り出してぺたぺた… にぎにぎ… もみもみ…

「――ううんくそう勝てない気がする… 力抜くとやーらかいのね…」

硬さこんなに変わりますかと、別に自分のカラダだって実感できる事なのだけど、
太さの規格がそもそも違うところで筋肉量を体感すると、強そうねえと眉根が寄って。
照れてほんのり赤くなるくせに、めっちゃ触るのだ。

可愛い、との声は聞こえないフリをして。

「…は、花はダメよ花は、そんないかにもお洒落して来ました可愛くしましたみたいな。
 てゆか傭兵が何でそんなに色々すぐ出て来る… んんでも、私より女の人をたくさんよく見てるのよねきっと。」

身に付けるのはアリだと思うけれど、今回デートのためにそれは出来ぬと。
じゃあ服や髪の相談は何なのだとなるが、花には特別な印象があるらしい。
とはいえ挙げてくれた候補はイメージしてみて、どうしようかなあと悩む。

――コレ美味しいわよとおやつ時間に突入したら、乗り出してくるヤシュム。
同じのが目の前にあるでしょうがと狼狽えるけど、あーん、されてお断りや無視も失礼なのかと、
ザクッ サッ と素早く一口分用意して、とにかくこのいたたまれない状況を終了させようと、
ずぼっ て感じにヤシュムの口へ突っ込もうとしてしまう。
あーんする、が、趣きも何もあったもんじゃなく、本人の心拍ばっかり変に高く。

ヤシュム >
「傭兵業の中で訪れる目に見えない"病"、ってやつがあってな…。
 年老いてまでやってる健康な奴もいれば、若いうちにかかる奴もいる──なんて。
 はは、そうだろう? 娼婦の姉さんらと遊んでたら、男娼を勧められたんだ」

 深刻そうに意味深な顔をして見せるが、なんてねと付け足せば真実か否か。
 実際のところ負傷関係ではあるが深くは語らず、どこまで信じるかは彼女次第である。
 もっと見てくれてもいいのにと目線反らしながらもチラチラ見てくる彼女に笑う。
 腕の方に興味津々な様子にぺたぺたにぎにぎと存分に触れてくる小さな女の子の手がくすぐったい。
 軽く力を込めて見せれば一気に硬くなる。

「魔法科だったっけ。対面だとどうだろうね、やってみないと分からないけど。
 ベッドの上なら負ける気はしないな?
 ……そんな興味津々に触ってもらうと、もっといろんな所に触れて欲しくなるね」

 頬を赤らめながらも触る手を止めない少女に小さく笑いながら、分かりやすいお誘いの言葉だ。
 ベッドの上で、もっといろんなところに、と言えば、彼女はどんなことを想像するだろう。
 その反応もきっとまた可愛らしいだろうと思いながら、手を引いて大きな掌へ 
 滑るように彼女の手を重ねて、男女の差というものを分かりやすく示す。
 大きく、無骨で長く太い指と、少女の女の子らしい細くて小さな手。
 同じ褐色だが、大きさもだいぶ違うことがわかる。

「はは、元傭兵で、今は男娼なものでね。
 おしゃれには詳しくなるんだ。花は駄目かい? そうだな、君の好きな花は?」

 何か思い入れがあるらしい少女に質問を重ねつつ。
 悩む様子にもまた、時間があるならお風呂上がりに練習してみるのも良い、と勧めておいて。

「……っふふ、っくくく……いや、うん、んん…、本当におもしろいなあ」

 あーん、を強請ったら思いのほか素早い動きで、ずぼっと叶えてくれた少女におかしそうに笑う。
 不慣れながらも律儀に、緊張に似た面持ちで食べさせてくれたケーキを美味しく頬張り。
 自分の分のパウンドケーキもまた一口サイズにして、クリームを添え。
 ナッツの甘味と触感が美味しいそれを彼女の口元へ、お返し、と言うように。
 それを食べるかそっぽを向くかは彼女次第だが、きっと応えてくれそうだという表情。

 頬杖をつきながら、可愛い反応をする彼女に柔らかく微笑んで。

「……そろそろ時間になってしまうんだけど、惜しいなあ……帰したくなくなるよ。
 また遊びに来てくれるかい? 今度は見学でも良いし。デートの報告でもいいし。
 ────俺と一晩を過ごしてくれるなら、一番嬉しいけど」

 初心で可愛い少女が、男を知って女になるのだと思うと。
 その髪にも頬にも唇にも素肌にも、触れたくなるのがこの男だ。
 彼女もまた次を、男との時間を望んでくれたら嬉しいが。
 勿論、彼女が金銭で人を買うことに抵抗感があるのはわかっているので、無理強いはしない。

 カップもお皿も空になり、少しすればちょうど良い頃合い。
 席を立つエスコートをして、支払方法を最後までレクチャーする。
 富裕地区のちょっとお高めのカフェぐらいの値段。時間にして一時間程度だっただろうか。
 店の外まで彼女を見送りするだろう。
 最後に彼女の手を取って、その指先に軽くリップ音を立てて、しかし感触的には触れたか触れないかわからない程度の。

「気を付けてお帰り。
 ……また逢える日を楽しみにしてる、ショコラータちゃん」

 そう告げて、最後まで笑みを携えながら少女を見送ろう。

ショコラータ > 「……。」

斬った張った殺し上等な世界だ。
体が資本であるし、心理的にも様々な病があるだろう。
深刻ぶらなくたって改めて考えてみれば そりゃあね という話。
軽い調子を見せてくれてもその評価は変わらないが、芝居でも何でもとりあえずそう振る舞える事に、うむと頷いて。

「私は戦える魔術師よ。
 魔術使えなきゃ荷が重い… と言いたいところなんだけど、ちょっと最近分かんないから大きな事は言わないでおくわ。
 ――べ、ベッドの上って勝ち負けなわけ…?」

魔術師の相手は魔術師にしか務まらぬと胸を張ろうとするものの、けっこう対処された記憶が蘇り半眼で。
ベッド・と言われれば、それはベッドの事だ。
これは勘違いする方が難しくストレートに男女がくんずほぐれつプロレスするところを想像し、いやいや愛情を確認し合えと首を振る。
――しかし自分とヤシュムで想像してしまったら組み敷かれる図が自然と浮かんで、重なる手にもじもじもじもじ。
しかしここでも じゃあ指の太さはどんなもの? と握ったり、掌の厚みを挟んだりと
照れる割にお触りできる動物園状態で―― その手が自分に触れるのを想像しはじめてしまうと、ようやく解放する。

「――ユリかな。シンボル的なイメージが先行してるかもしれないけど。
 だからコレ!ってこだわりは無いんだけどね、花ってなんとなく女の子だし、贈り物だし、綺麗で特別な感じ。」

そんな話をしているが、あーんとかされたら平常でなく。
ずぼっ!したら何か笑われて、ぎこちなかったかもしれないけどやらせたくせに!と表情に険が差し――
しかしお返ししてもらえれば、強迫観念だか義務感だかで バクッ とパン食い競争なノリ。

「な、何してんのよコレ同じの二人分でバカみたいに―― こういうのいいから!」

ちょっとだけ満更でもない部分もあるのだが。
御覧の通りぎこちなさが遥かに上回りいたたまれないったらないと。
――帰したくない・一晩過ごして・なんてのもお別れの定型文なんでしょうと努めてはぐらかす方向に考えて。

「――そ、そういうのもいいから…! …んんん、け、見学には、興味あるので、その時はだけど… 見学だけよ…」

こんなご縁でも無ければ立ち入れない世界だ。
見学コースにはとても興味があるが、別に利用したいわけじゃないんだからね!とカマトトぶって。
指先へのキスも二度目となればいくらか平静に受け止められるものの、やはり居心地は悪そうに。

「ありがとまたね!」

そそくさと帰っていくようだが、またね、なのだ。

ご案内:「平民地区歓楽街 娼館【楽園の扉】」からショコラータさんが去りました。
ご案内:「平民地区歓楽街 娼館【楽園の扉】」からヤシュムさんが去りました。