2023/07/31 のログ
ご案内:「セレネル・屋台エリア【海の庭】」にヤシュムさんが現れました。
ヤシュム >
 空が夕焼けの赤に染まる頃合い。
 セレネル海岸にレジャー施設が出来たと聞き、王都民は近場という事もあって繰り出しているようだ。
 普段は娼館で女性を相手に愛を囀る男もまた、休みを得てその施設とやらにやってきた。
 街道沿いに整備された屋台が多く立ち並ぶエリアは、まるでマルシェのよう。
 男娼をしている男でも聞いたことがある大きな商会の出店から、個人出店の店まで。
 飲食物を中心に、雑貨や魔導具や薬や衣装や、その他もろもろ。
 それこそ掘り出し物が見つかりそうな雰囲気に遠くからわざわざやってきている旅人も散見する。

「賑やかで良い。酒は売ってるかな?」

 長い夕焼け色の髪を緩やかんに束ねて、ひらりひらりとボレロの裾を揺らして歩く。
 露出の多いインナーは割れた腹筋を晒し、ぼったりと南国風のサルエルパンツを腰あたりまで下げている。
 褐色の肌と翡翠の目は、南国風の衣装も相俟って、異国の血を感じさせる。
 そう言った異国人が多くあつまるのも、まれびとの国の特徴だろうか。

 売り子の少年少女の元気な声が客を引く。
 音楽家の奏でるフルートが陽気な音を立てている。
 ハープを持った詩人の唄う異国の詩に集まる者も。
 悪さをしようとする盗人を、警備の騎士か冒険者かがとっ捕まえて。
 ここ最近の熱気に負けないような、活気に溢れた道を人にぶつからぬよう、男はするりとすり抜け、時に道を譲り、のんびり歩いていく。

 面白そうなものがあれば足を止めるし、拍手喝采があ画えばそちらへ足が向く。
 屋台エリアも中々に広いようで、男の興味は尽きない。
 ひとまずは酒だ。酒を売る屋台を探そう。

ヤシュム >
 朱と藍が交じり合い、夕焼け色に雲が染まるのと、藍の帳に星空が散りばめられる。
 屋台で炭酸水にレモンとウイスキーを合わせた酒を購入した。
 専用のコップを購入すればそこに注いでくれるというので大ジョッキを買った。
 その近くでいい匂いを立てている牛肉を分厚くカットして串に刺した肉串も一緒に。
 程よくあらびきの胡椒が効いたそれに豪快にかぶりつき、咀嚼する。
 そして酒を煽る。

「っかァ~~、美味えぇ~~!」

 やはり酒と肉の組み合わせは最強だ。
 厚みがあるから、噛みしめる度にじゅわりと肉汁が溢れる。
 塩胡椒が良く効いていて、肉素材の味をよく引き立てている。
 酒との相性も抜群だ。

 男の胃袋はまだまだ入る。
 あっちにあるのはポケットのような生地に炒めた野菜と肉を詰め込んで甘辛のソースをふんだんにかけたものか。
 そっちにあるのはあらびきのソーセージやブロックハムやらを大きくぶつ切りにして、馬鈴薯と一緒に味付けたものか。
 こっちにも新鮮なイカの中身を取って豪快に串焼きにしてワインで味付けたもののようだ。

「いやあ、食べるものだけでも目移りするね。
 食い物が豊富にあるというのはいいことだ」

 海が近いから、新鮮な海の幸が味わえるのも良い。
 この国は自然の恵みが多いなと、男はしみじみしていた。