2025/05/11 のログ
ご案内:「王都平民地区」にホウセンさんが現れました。
■ホウセン > 王都平民地区。
朝方から曇りがちだった空模様は、この時間となってポツポツと雨を降らせ始め。
備えの良い者は雨具を持ち歩いていただろうし、そうでない者は今更慌てて駆け出しているのが見える。
中には、濡れることを何とも思わない輩もいるのだろう。
筋骨隆々で、槍の雨でもなければ気にしませんというような。
そんな剛毅さと対照的な体つきの小さな人外は、朱の目立つ傘を広げ。
「氷雨でないのは救いじゃが、足元が悪ぅなるのはのぅ。
帰ってから衣の手入れが億劫じゃな。」
腐っても王都である。
土が剥き出しとか、砂利道とか、未整備ということは無いけれど、
富裕地区や王城付近でもなければ、メンテナンスが行き届いているとは言い難い。
色合いこそ落ち着いていても、相応に値の張る北方帝国辺境由来の服なのだ。
所々に見える水溜りを、ひょい、ちょいと飛んで避けつつ、跳ね返りの被害は最小限に。
「む…この時間帯に四つ角とは、何ぞ怪異にでも出くわすじゃろうか。」
小動物めいて飛び跳ねた先、周囲に人影はなく。
どこにでもありそうな交差路の手前で、ぽつり。
陽光が雲に遮られて感覚が麻痺しがちだが辺りは仄暗く、夕刻といったところ。
出身地の辺りでは、逢魔時などと呼ばれる頃合いで、
彼岸と此岸の交差とも重なる四つ角では、人ならざるものに出くわすという俗信がある。
それでも気安く、カラン…と一歩。
果たして怪異に出くわすのか、或いはこの小さな体躯の人外が。
――余人に対する怪異としてまみえるのか。
■ホウセン > ――所詮は儀式でもない俗信。
何事もなく、雨で煙る街に溶け込んで。
ご案内:「王都平民地区」からホウセンさんが去りました。