2025/04/03 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 大通り」に八蛟さんが現れました。
■八蛟 >
冬も終わりをつげて、桜を散らすように雨が空気を読まずに振りはじめた時期。
雨が上がれば、春の強い風を使って船が一斉に冬以上に乗り出すだろう。
船着き場は真っ当な品から怪しい非合法まで、色々と船に積み込もうと躍起になっているらしい。
海賊も船乗りも、互いに活発になる時期だ。
最も、鬼はそんな事態でも馴染みの船が土下座で頼み込むでもしなければ乗り気じゃない。
それより、先に楽しんでおかなければ桜なんぞ直ぐに散ってしまうと、大歓楽街ではなくではなく
こちらの通常の目貫に来たのだ。
一本の桜が好い感じに傘を広げるように咲いている枝ぶり。
幹も太目なそれは、あそこでは建てるのに邪魔だとすぐに切り落とされただろう。
どっかり背中を幹に預け、脇で抱えれそうな太さの壺徳利をそのまま括った縄で支えて直飲みしている図。
目を外側に向ければちらほらと見えた、桃色の広がり。
それと散り広がる目の前の桜を肴に、鬼は一杯やるほうが船よりも重要だ。
この花だけは、喧嘩も殺し合いも、財宝を奪い合う鬼の常よりも優先できるところがある。
ご機嫌な顔で頬を色づかせる酒気と笑み
臓腑を灼きつかせる熱の吐息が太い鬼歯口から零れた。