2024/11/27 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場」に牟峰さんが現れました。
■牟峰 >
旅籠にて
山脈湯屋とは違い、そこの湯を引いてきたという王都に建つ旅籠屋。
木造建築の、石材とは違った屋内を満たす木の香り。
床に敷かれた草編みの部屋はまた香りが違う。
寝床 娯楽 湯殿に食事。
ただの宿より値は張るが、好んで留まる場所としては有名所だろう。
―――だが、そんな場所に多少金が入ったからと一時の贅沢で入ったもの程捕らわれる。
どこぞで消えた神隠し
馬鹿が下手を打った負債背負い。
この情緒のある旅籠もまた、王都に仕掛けられたものなのだとよくわかる。
楽園なんて、簡単にありゃあ苦労はしない。
―――旅籠 娯楽場―――
旅籠は階数は地下まで及ぶ。
湯と飯以外にも楽しみはあり、その一つが娯楽だ。
大柄な体躯と、まるで赤い筆のような逆立った髪。
上嘴のように先を伸ばした白面と、和鎧の面具のような口元の覆いで顔を隠す出で立ちのそれ。
面具のWの形に透かした口元から伸びた大ぶりな銀煙管。
兎を模すような両側で寄り添う長耳と、雲流のような波打つ毛並みを彫りこんだ喫煙具の先からは煙が一筋。
火口に詰めた煙樹の木片が複数本、雑に差し込まれじりじりと燃やされながら長い時間を保っている。
向かい合うのは数名。
丁半ではなくこれは海賊でも遊ばれる、今時が旬にもなっている“嘘つき芸”だ。
「―――ふぅぅぅぅ……㊂が三つだな。」
それぞれ“壺”の中に賽を五つ転がし、閉じた矢先で己だけ覗き込む。
各自指定数は増やしていかねばならず、誰があり得ない結末を予想したか言い当てる遊びだ。
有名な海賊幽霊船では、そこで過ごさねばならぬ年数を賭けていたとか。