2024/11/21 のログ
ご案内:「野宿キッチン」からタン・フィールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール どこかの道」にヴァンさんが現れました。
■ヴァン > ――深夜。
小春日和という言葉は死語となったのか、昼は暖かさより暑さを感じていたのが二週間ほど前。
この短期間で一気に冬めいて冷たい風が吹くようになった。夜は風こそないものの、底冷えするようだ。
路地で眠るとそのまま冷たくなってしまうだろう。
無人の路地を走る銀髪の男がいた。
簡素な服は運動用のものだろうか。顔と手以外の肌を外気に晒さぬそれは、学院生が運動時に使っているものに似ている。
瞬発力よりも持久力を重視した移動。規則的な息遣いは夜の街に意外と響く。
二年ほど前から男は定期的に走り込みをするようになった。
身体が資本の冒険者ほどではないが、図書館の司書は体力――というか、スタミナを必要とする。
さる出来事から体力維持の重要性を認識し、半月に一度ほど深夜にこうやってただ走る。
昼は仕事があるし朝から疲れたくはない。夜は意外と人通りが多いのでこんな時間になる。
それに、深夜は思わぬ拾い物があったりする。犯罪に巻き込まれている者や酔い潰れたり不用心な者。
そんな不幸な者との出会いは、往々にしていい思いができる。さて、今夜の男の進行方向は――。