2024/11/20 のログ
ご案内:「野宿キッチン」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > 王都平民地区の一般人もよく通る路地に隣接した空き地に、許可をとってちょこんと設置されているのは、
「花と薬と」の看板が掲げられた移動式薬屋の住居 兼 店舗のテント。

「よぉーし! やるぞぅ!!」

そこの少年店主が、店の前で夕食のために焚き火を組んで、野宿のキャンプを初めていて…
今日のメニューは本日はじめての実験料理。
肉と野菜を、店で余った数種類の薬効のあるスパイスと共に煮込んでみようという挑戦。

鍋にバターを入れて、安く仕入れた鶏肉と玉葱を入れてじっくり炒めていき、薬屋の商品でもあるスパイスを引っ張り出し、
コリアンダー・クミン・ターメリック・シナモン・クローブ・ナツメグ…その他多数。
具材が香ばしくなってきたら牛乳と砂糖・塩とワインを加え、じっくり弱火で煮込んでいく。

出来上がったのはごろごろ野菜とホロホロ鶏肉が映える、食欲そそる香ばしい褐色の汁物。
それをシェンヤン地方の古米を炊き上げたものにかけてみると、茶色と白のコントラストが美しい。
美しくはあるが……王都では貧民層から富裕層まで、あまり見慣れぬ褐色部分のビジュアルはややショッキング。

「ぅ―――おいしい、筈、なんだけど……もぐっ  ―――……っおいし!!!!
…おいしい!けど!……ちょっとよくばって、つくりすぎちゃった…かもっ」

初めて味わうその香ばしさと甘さ、塩味、酸味、辛味、ほろ苦さ…すべてが複雑に混じり合い、しかし食べやすい。
場所と時代とが違えば、大衆食としてメガヒットすることとなる料理を偶然生み出してしまった。
……が、考えなしにあれこれ具材をぶち込んでしまったためか、その量は一食で食べ切れるものではなく。