2024/11/16 のログ
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」にエレイさんが現れました。
■エレイ > ──温泉旅籠内の、主に宿泊客向けに用意されたサービスの一つが、このマッサージ室である。
その施術室はいくつかの個室に分かれており、客は専用のカウンターで受付を済ませた後、各個室で待機しているスタッフと
一対一でマッサージを受けることになる。
なお、客にどのような施術を行うかは、スタッフの判断にすべて委ねる、というあたりはこの旅籠らしいといった所。
ついでに、各個室内には客に安心感を与え、施術への抵抗感を知らず知らずのうちに薄れさせてゆく効果を持った、
ほのかな香りのアロマが炊かれていたりもする。効果がどれほど出るかはその客次第なのだが。
「──っしゃーい! 久々のマッサージじゃーい!」
その中の一室に、声張り上げて意気揚々と足を踏み入れるのは臨時のマッサージ師である作務衣姿の金髪の男。
久々、というのは、ここのところ本業である冒険者としての依頼に時間を取られ、暫くこちらに顔を出せていなかった事を意味する。
「ずーっと小汚い小鬼(ゴブリン)どもの掃除だの、クソでかい魔獣の群れの駆除だの
血腥いことばっかやってたからなあ……久々に女体を扱いたいぜウヘヘヘ」
盛大な独り言を続けながら、ウンザリした顔をしたり、だらしのないスケベそのものの顔をしたりと
コロコロ面相を変えてから、いかんいかんとパンパンと両手で自らの頬を張ってキリッとした表情を取り戻し。
フンス、と気合を入れるように鼻を鳴らしながら施術台の隣のスツールにどっかと腰を下ろす。
──しばらくすると、その表情も緩んで普段通りのへらりとした笑みになっているのだが。
やがて変な鼻歌まで奏で始めながら、腕組み姿でマッサージ客の訪れをゆっくりと待つ。
出入り口のカーテンが開かれ客が現れるか、あるいは魔導機械の通信機を通して客室への出張依頼が来るか。
いずれかの訪れが、今日の男の仕事の開始の合図となるのだろう。
もしかしたら、受付を経ずに紛れ込んで来てしまうような珍客が現れる、なんてこともあるかもしれないが。