2024/02/29 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区:図書館」にオウルさんが現れました。
オウル > ――…平民地区に建てられた図書館の一つ。
王立コクマー・ラジエル学院の生徒や教員も良く利用するらしい図書館に少年は一人で初級の魔導書を読んでいる。
先日?先先日?かぼやいたのだが、数か月にわたって学院を離れて『ギルド』の仕事に関わっており、学院に戻って元の仕事をしようと動き始めたところで、教員の一人に「成績大丈夫か?魔法の習得具合は?テスト追試の準備はOK?」とまで言われてしまい――今に至る。

物覚えが悪いわけではない。
要領が悪いわけでもない。
何なら座学の成績は真ん中よりちょい上。
だけども包帯で隠している左目のおかげで魔力のコントロールや魔法の発動に関して、ダメ、ありえない程にダメ、なので、今はこうして魔導書を読み復習を兼ねて今一度魔法が何たるものかを勉強しているのである。

図書館で飲食は禁止というのがお約束であるが、口に棒付きの『飴』を加えながらのまじめにやっているようには思えないスタイルであるが、それは仕方ないよねって話で……。

「わかるんだけど、わからん。
 文字で読んでも感覚的なものはわからんな……。」

ワカンナーイのである。
文字を右から左、上から下、と飲み込んで読み込んでもかしげる首の角度が深まるばかりでわからないのである。

苛立ちはしない、しないが理解できないものを読み続けると少々頭も痛くなってくる、その上は雨模様、シトシトと降り続ける雨音が心地よい子守唄にもなりそうで、寝落ち層になるたびにギシとソファーに深く腰を掛けなおして、睡魔を追い払おうと。

図書館は時間は時間なのか無人である。
なので本を借りて帰ることもできず、仕方なしの絶賛読書中だった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区:図書館」にクロエさんが現れました。
クロエ > 黄金色の髪はお団子にまとめて
しなやかな指先に連なる爪は、五色に染めて
生命あふれる肌は小麦色

少女は図書館を訪れていた。
最近ちょっと研究中のオシャレの改良に色々調べてみたくなったからだ。
学院ではちょっと調べきれなかったので、むしろ外のほうがいいのでは?なんて思惑であった。

「んー……マジかー」

そんなわけでやってきたのだが、時間帯のせいかなんなのか。
図書館はがらんとして、空虚の塊と化していた。
場所が場所なので、騒がしかったり賑々しくあってもよくないのはわかるが。
それにしても人の少ない静謐は微妙に落ち着かない。

「ま、しゃーないかな。本、探そ……ん」

とぼとぼと歩き始めた先に見えたのは本に没頭……しているようなしていないような少年の姿。
なんだ、人いるじゃーん、と思ったりしたが
はて、いくら鋼のメンタルの持ち主でもこんなところで声をかけるのも野暮……?なんて思ったりして。

そうしたら、わからん、なんてつぶやきとくわえた飴がみえる。

「よし」

あんまりの静謐さに微妙にヤル気を削がれていたので好都合。
困ってる民に声でもかけるかー、と当初の目的を投げ捨てて近づいていく

「やー、少年。図書館は飲食駄目だぞー、なんてね?
 なになに、悩みごとかな?」

ずけずけと目の前にいって話しかけた

オウル > 奥歯で棒付きキャンディーをガリッと噛み砕く。
包帯で隠している左眼のおかげで毒耐性があるので、割れた飴の亀裂から少々ヤバめの成分が滲みだしても、ピリとしてる?くらいしか感じず、後でそのピリと感じるので要改良とレポートを書かねばー……と言う所で誰かにいきなり声をかけられて、パタンと初級魔導書を閉じた。

勉強のこと、仕事のことから対人に頭を切り替える為に、飴に練りこまれた果実の香りがする吐息を大きく吐き出してから、一先ず取り付くようように人懐っこく笑顔を作る。
ほとんど癖のようなものだが、ひとまずそれはおいておく。

「……バレなきゃセーフじゃない?
 バレても最悪土下座という方法もーっとこんばんは。
 悩み事、まあ、見てわかる通り、魔法の勉強中だよ。」

ズケズケと物理的に距離を詰めてきて、初対面でもズケズケと精神的距離も詰めてきそうな相手に対して、悩み事って程でもないけど、今現在していた事を言葉にしてから、包帯で隠された左目と裸眼の右目でじーっと相手を見つめる。

蜂蜜色よりも太陽の色なんて言ったらアレか、それくらい明るい黄金の髪と、艶めかしくも感じる小麦色の肌、すんごく気になるのは不思議な色合いの爪、と、一通り視線を行き来させた後に小首をかしげて質問を返そう。

「えーっと…アンタは?
 アンタは図書館にどんなご用事で?」

まあ夜の図書館にくるくらいだから、勉強だろう。
あるいは外が外なので雨宿りかもしれない、が……。
ちょっと興味が湧いたのだった。

なんせ勉強オンリーだと脳が枯れて死んでしまうからね。

クロエ > 取り繕うような笑顔を向ける少年を、こちらもじっと眺める。
半分直感のようなもので、本物の笑顔じゃないな、となんとなく思うがまあそれは別にいいか、と右に流す。
ともあれ、相手が返事を返してきたのは有り難いわけだ。

「んー、確かにそだね。うはは。
 もう証拠も隠滅しちゃったみたいだし?
 お、魔法ね。ムツカシイよねえ魔法。勉強熱心だなー。やるじゃん。てか、制服……っぽくないけどガクセイだったりする?
 学院って結構(けっこ)服自由だし、それだけじゃわかんないもんねー」

噛み砕かれた飴の行方は腹の中。もはや、クロエが仮に誰か呼べたとしても罪には問えない。
まあそもそも問うつもりもないわけではあるが。
それよりも、わざわざ図書館で魔法を勉強する少年に好奇心を擽られる。
いつもの調子であれこれと話しかける。

「ああ、あたし?あたしはー、そだね。ちょっと研究?勉強?
 染料とかー鉱石とかー、そんな感じのヤツを調べようかなーってね。
 そしたら、静かすぎてマジやる気が削げるっていうかさー。
 いや、図書館はお静かにー、なのはそうだけど。人の気配ないと寂しいじゃんね?
 そしたら君を見つけた、というわけだよ。」

染料、といいながら指にナニカ塗るポーズをしてみたり、研究といいながら本をめくるポーズを取ってみたり。
一々なにやらジェスチャーをはさみながら質問に答える。

最後は無遠慮にびしり、と指差しで、そう君だ!とばかりに示して見せた。

「それにしても、魔法でお悩みねえ。初級ってことは出だしで詰まってる系?
 それとも途中で困ってる系?まさかの読めない系……ではなさそう、だよねえ?」

突きつけた指をそのまま形の良い顎に持っていって、ふむり、と推理し始めた。

オウル > 包帯で隠している異形の左目がピクッと引き攣る。
実際に引き攣っているわけではなく、何かを感じとった時の反応なのだが、こちらをじっと眺める相手の視線に勝手に反応したか、それとも此方が浮かべた表情の微細な何かを感じ取ったか――…と、相手の視線に妙に過剰な反応をする左目に心の中でそっとため息を、だ。

「ん、何なら口止めにアンタの口に飴を放り込もうか?
 ポケットに幾つかあるから1本くらい……はさておき。
 その言い方からすると、アンタもラジエル学院の?
 あ、服装はそりゃそうだプライベートだから制服着てないし。」

ズボンのベルトにつけたポーチに手を滑り込ませると、中から『試作品の棒付きの飴』を探り出して、人差し指と中指で挟んで、引き抜けばオブラートに包まれた球体の飴をすいっと相手の口元に突きつける。

――ちゃんと効能は微量で、癖のないやつ、流石に気に食わないアレやコレやではなくて、ただの初対面にアッチは渡せないからね。

「勉強に熱心ってより、遅れた分を取り戻したいとか、補修は嫌だって奴かなー……。
おっーと染料や鉱石なら魔法よりは得意分野なんだよね。
 草とか花とか、薬の材料になる系、鉱石もそうだけど。」

何かを塗る、化粧品にでもするのか、ああ、すごい気になる爪先に塗る染料かな?本をめくる仕草も何んとなしわかる。
わかるので、その辺は少し詳しいことを告げながら、取り繕うような人懐っこい笑みではなく、同じ人懐っこい笑みでも年齢相応の笑みを口元に浮かべて、軽く笑う。

初対面のはずなんだけど、何だかわちゃっとした動きとか、その雰囲気に引きずられて、後でベッドに顔をうずめてジタバタするくらいには、じんわりと素が出始めてしまうのだった。

「読める、書ける、発動しないって奴。」と、推理を始めた相手にあっさりと答えを返し、やれやれと自分に呆れたように小さく首を左右に振るのであった。

だって本当に発動しないのだ。
原因も理由もわかってはいるのだ。
だけどもそれの所為にしても解決しないのも自覚している。
のでー……基礎から勉強していたのだった。

クロエ > 「え、マジ?あたし共犯?ってか、要求したみたいじゃんね、それ。
 んー……や、なんかごめんね? 集る気はないから、無理には言わないから。
 それでもくれるんなら、なんかで埋め合わせるね?」

差し出された飴に、少女の雰囲気にしては珍しい感もあるが恐縮する。
それでも口元に突きつけられた飴がどかなければ素直に受け取るだろう。

「あ、それはそっか。いやあたしがほら、こうしていつもだいたい制服着てるからさー。
 ついついみんな着てる気になっちゃうわけ。」

ほらね?と自分の着崩した制服をピラピラさせて見せる。
よく見れば。いや、人によってはよく見なくてもコクマーラジエル学院の制服、を着崩したものとわかるだろうか。

「あー、ガッコ行けてなかった系?んー、そりゃ大変だ。
 って、え?マジ?染料とか得意?染め具とかさ、アクセとかさ、今ちょっと改良しようかなって研究してるんだ。
 でも、いい感じのがなかなかなくてさー。えー、師匠って呼ばせてもらって良い?」

なんらかの理由で学院に通えていない生徒、なんていうのは珍しくもない。
彼もそのうちの一人なのだろう、と理解し。じゃあ取り戻したりするのは大変だろうな、とちょっと同情して……
染料などが得意分野、と聞けば目を輝かせる。
思わず飛びつきそうな勢いであった。もちろん本当に飛びついたりはしないが。

「んー……そっかあ……読めて書けて……じゃあ、詰まってるのは技術的な?感覚的な?
 簡単なトコじゃなさそう?んー、あたしも魔術系勉強してるからなんか手伝えるといいんだけどなー」

相手があっさり困りごとを答えれば、むむむ、と考える。
一般的な魔術とはちょっと毛色の違う術を修めているとはいっても、一応基本的な体系は学ばされている。
師匠(仮)になるかもしれない少年の手助けを出来るなら、それに越したことはないのだが……

オウル > 幾つか『試作品』は常に持ち歩いている。
今現在進行形で口に破片の残ってる飴は自分の毒耐性に合わせた強めのものだし、今相手に突き付けている飴は媚薬成分は僅かに含まれた玩具のような奴で、味は成分が生み出す味を誤魔化すように柑橘系の味の棒付き飴である。

飴の部分はオブラートなので剥がすも口に入れるも自由。
受け取って持ち帰るつもりであるなら、指先でくるんと回して、棒側の切っ先を彼女の方に向けるだろう。

「そうそう共犯者。
 埋め合わせなんていいよ別に味の感想だけ教えてくれればね?」

共犯者の部分でニマッと悪戯めいた形に口元を変えると、ピラピラと揺れる着崩した制服の布と日焼け肌に左目も右目も吸い寄せられて……しまうが、少し自重、だいぶ自重して、視線はなるべく彼女の緑色の瞳と合わせる。

ん、確かにラジエル学院の女子制服である事はわかった。
自分も帰宅すれば男子用の制服がちゃんと有り、今は先ほど口にしたようにプライベートなので春の装いの軽装で来ていた。

「正解、ちょっと野暮用で長期で学院に通えなかった奴。
 今まさに大変ってのを体感しているところだよ……。
 で、染料とか鉱石の鑑定くらいはできるよ?得意得意。」

そりゃ毒物を扱うのに薬草も花も鉱石の粉末だって使う。
その手の技術があれば自然と詳しくもなるし、扱いも出来るので、得意分野といわれると間違いなく得意分野である。
――…悪い方面で得意なのは伏せておこう。

「飛びついてこないの?」と冗談めかして口にし、何だか本当に飛びついてきそうな程に緑色の瞳を輝かせる相手に、軽く小首を傾げてから、わざとらしく両手を広げて見せて笑えば、師匠と呼ばれることに対しては特にダメもないので。

「師匠はどうかなー……オウル、俺の名前はオウル。
 アンタの名前も教えてもらえると嬉しいし、そう、技術的な感覚的なところで詰まってるから、手取り足取り教えてもらえたら、と、は思う。」

手とり足取り腰とり、と少し危うい冗談を言いそうになったのは心の中に封じ込めておき、むむむ、と考え始めた相手に少々頼るように、感覚的なものや技術的なもので補助がもらえたら嬉しいなと、その部分は嘘ではない。

だから、包帯で隠した左目も裸眼の右目も期待に満ちた視線をじーっと同じ学院の生徒である少女へと向けて、返答を期待する、もしOKなら先生と呼ばせてもらうつもりである。

クロエ > もちろん、飴の内実など知る由もない。
単純に、せびった感じになったのが嫌だっただけなので、くるりと持ち手を差し出されれば素直に受け取る。

「んあー、わかった。おっけー、了解。
 味の感想ね、憶えとく。マジ絶対ちゃんと憶えておくからね」

やたら強調して憶えておく、と主張した。
別に本人も忘れる気はないし、そこまで不義理でもないが……いかんせん、食レポなどは門外漢。
気を抜いたら「美味しかった!」で終わりそうな自分を自覚している。
なので、少しでも味をちゃんと覚えておこう、という気合であった。

なお、視線がどことなく何かを見ているのは気づいているが気づかないふりをするのは常である。
まあよくあることだし。

「だよねー。大変だろうなあ……普通に受けてても結構面倒くさいのに……
 って、マジ?鑑定もできるの?うわー、マジ尊敬ー……」

授業に出られておらずに取り戻す。そのなんと大変なことか……
別にクロエ自身、そこまで頭が悪いわけでもないが、根本的に机にかじりつくのが苦手なのだ。
そんなわけで座学とかあまり好きではない。でも頑張る、みたいな?
その体験から、相手の苦労を推し量ると同情心は湧く。

なのだが、リスペクトのほうが上回ってしまった。
心の底から尊敬して、ますます目を輝かせていたりする。

「え、飛びついたほうがいい?オっくん師匠。
 あ、あたしはクロエね。よろしく、オっくんししょー!」

飛びついてこないの?と冗談めかせて言われれば、真顔で問い返す。割りと真面目な顔だった。
それとともに、元気な自己紹介。師匠、と呼ぶことが拒絶されていないのでしっかり師匠呼ばわりだ。
その割に珍妙なあだ名をしれっとつけたので散々な呼び名に魔改造されていた。

「あ、マジで?んー、それなら普通の魔法は大得意ってほどじゃないけど、そこそこは使えるし全然教えるよー。
 飴のお返し……は味の感想でいいっぽいから、染料とかの分かな?」

じっと期待の眼差しで見られれば、にぱっと輝く笑顔で承諾する。
できることはしっかり返すのがクロエ流である。