2023/09/02 のログ
ご案内:「何処かの部屋」にレイリエさんが現れました。
レイリエ > 「―――……うぅ………ん………。」

落ちていた意識がゆっくりと時間を掛けて浮上する。
何処とも知れぬその部屋の中で目を覚ましたのは、金の髪と長い耳を持ったエルフの女。
ぼんやりと靄の掛かった意識の中で周囲の状況を確認しようとして、すぐさま異変に気が付いた。

―――動けない。

起こそうとした身体はしかし、ギシリと軋むような音色によって阻まれてしまう。
どうやら椅子に座らされた侭、両手両足をベルトによって固定されているようだった。
辛うじて自由の残る首を巡らせて辺りを見回そうとしても、視界は暗く閉ざされた侭何も見えない。

部屋が暗い所為だけでは無い。
女の淡い緑色の瞳を覆い隠す様に施された黒布の目隠しの所為で、自分が今何処に居るのかを確かめる事さえも叶わずに。
唯一理解出来たのは、エルフの女は今何者かの手によって虜囚の身に堕とされたのだという事実だけだった。

「………此れは、一体………。」

ご案内:「何処かの部屋」にレイン・レジネスさんが現れました。
レイン・レジネス > 「目が覚めた?」

貴女の背後から、声が聞こえた。
……もし貴女がここ数日の来客を仔細に渡って覚えているなら、或いは記憶に合致するやもしれない声だ。
〝よからぬ遊び〟に用いる薬の調合を依頼していった、本人も研究者崩れの、貴族の女。
立って、腰を曲げているのか。貴女の耳に息を吹き込むような距離から、その声は聞こえた。

「安心していいよ。傷つけたりするつもりはない……そんなに酷いことをするつもりも。
 ただ……問題点を強いて挙げるとするなら……君の容姿が整っていたことかな……?」

たったひとつ、自由に動かせる部位である首に、手が触れた。
手袋をした指先が、つうっ……と首筋を擽りながら這い上がって、薄暗い部屋の中でも眩い金の髪、その生え際に触れる。
そこから髪に手櫛を通して弄び、感触を確かめながら──

「絹より繊細な髪、翡翠石の瞳……そんな君がね、乱れ狂う姿を見たい……って人、結構多くて。……私もだけど。
 だから、君を傷つけはしない。だから、無理な抵抗はしないで欲しい……わかった?」

脅迫じみた言葉。声音はねっとりと、蜜のように甘ったるく、毒薬のような優しさを孕んでいる。

レイリエ > 「―――……ッ………!?」

塞がれた視界の背後から突如投げ掛けられた声に、エルフの女は身を竦ませる。
暫くの間を要して、その声がここ数日の間に聞いた覚えのある女性のものである事に思い至る。
貴族からの依頼を無碍にする事も出来ず、気乗りはしないながらも調合した魔法薬を納品した相手―――だった筈だ。

「………安心させたいのでしたらば、まずは如何か、この拘束と目隠しを解いてはいただけませんか………?」

手足を戒めるベルトを軋ませながら、声の主へと投げ掛ける。
女の細い両手両足に嵌められた革のベルトも、座らされた椅子も頑丈な造りで、自力での脱出は最早絶望的。
だからこそ、後は背後で囁く女性の良心に僅かばかりの期待を寄せるしか無いのだけれども―――

「………私の、乱れ狂う、姿………?いったい、何を仰って………。
 いや―――嫌、です。早く、此れを外してください………ッ!」

首筋に触れた手が、長く伸びた金の髪を撫ぜてゆく感触のくすぐったさに身を捩る。
その手付きと声音の優しさに反して告げられた言の葉の内容はあまりにも残酷で、
それはエルフの女にとっては却って恐怖と焦燥を加速させる結果にしかならなかった。

レイン・レジネス > 「ふふ、解いてあげるよぉ……すぐに、そう、すぐにね。
 だって君も知ってるでしょう? 君の作ってくれたお薬は、確かに間違いの無い効能がある。
 ……念のために何人かに使ってはみたが、副作用も何も無かった。さすがだよ、レイリエ」

首筋。血管を爪がなぞり、喉笛を指の腹が擦る。親指が顎をひっかけて、くい、と首を仰け反らせる。
はらり──と、目を覆う布が外れた。両手の指は全て、貴女の顎を捕らえている筈なのに。
そうして開けた視界に映るのは、飾り気のない漆喰の天井。窓の無い、おそらくは地下の部屋。
耳元に囁いていた声の主は、今は貴女の背後から、仰け反る顔を上下逆様に見下ろしていた。

「……ね、君。嫌だって言葉は聞き入れないよ。その代わりにおねだりなら……たぁくさん聞いてあげたいなぁ。
 どこに触れて欲しいだとか、どこを愛して欲しいだとか────あぁ、でも」

酔いに任せて歌うような言葉が、不意に途切れる。……そして。
貴女の首を仰け反らせたまま、上から蓋をするように──奪うように唇が重ねられるだろう。
恋人同士の行為を模して口付けから──という殊勝なものではない。重なった唇から重力に任せて流し込まれる、奇妙な味の液体は。
貴女に作らせた〝お薬〟だ。
意識も感覚もはっきりと残したまま、身体の筋肉を弛緩させて抵抗を削ぎ──体内へ入り込もうとするものを拒む、こわばりを和らげる為の。
薬液を吐き出そうとする抵抗を阻害するのは、舌。
唇を、歯を先端で咎める舌は、指のように器用に這い回る。

レイリエ > 「―――……ッ………その様な、形で褒められても嬉しくはありません。
 何人か………其れは本当に、きちんと同意の上で使用されたのですよ、ね………。」

エルフの女が調合したのは、使い方によっては毒にもなり得る取扱に注意を要する魔法薬。
その危険性の説明と悪用しない旨の合意は、納品の際に確かに行っている筈だった。

白い喉元を、其処に浮かび上がる血管を、撫でる爪の鋭い感触に身を強張らせる。
其の侭、相手の成すが侭に掬い上げられた顎は天井を仰ぎ、はらりと地面に落ちた黒布の下から淡い緑色の瞳が姿を覗かせる。
急遽開けた視界に細められたその瞳は、飾り気の無い天井と、背後から覗き込む女性の表情を鏡の様に映し出していて。

「………私が………その様なおねだりなど、する筈が………。
 っ、や………放して………んんっ………ん、くっ………。」

拒絶の言葉を遮る様に、重ねられる両者の唇。
恋人同士が交わすような甘やかなものでは無い、唯エルフの女の唇に蓋をし、抵抗を許さぬ侭に薬液を流し込んでゆくだけの行為。
初めは飲み込むまいと懸命に抗っていたものの、それを許さぬ指先の如き舌の巧みな動きに、とうとう白い喉がこくりと鳴って、
独特の味と感触を残しながら、流し込まれた薬液はエルフの女の体内へと浸透してゆくだろう。

レイン・レジネス > 一度呑み込んでしまえば、とくん、とくん……女の喉奥から、泉が湧くように薬液が注ぎ足される。
やがて小瓶一本分も飲み下してしまえばもう、言葉は発せられたとしても、無遠慮に入り込んで来る舌に噛み付くことも出来なくなるのだろう。
だのに、身体の感覚は些かも鈍らない。単純な痺れ薬とは違う、優れた魔法薬の技術が故に。

「ん──────ん、ふふ……ん、ぇう、んー……」

そして口付けは、より深く、甘ったるくなる。
噛み付く力を失った歯の間から入り込む──舌? 違う、もっと何か、ぬらついて長く、自由に動くものが。
……触手だ。女の喉奥から這いだした触手が、貴女の口内粘膜に身を擦りつけながら、貴女の舌を絡め取っていく。
ぐちゅ、ぷちゅ、と粘ついた水音を立てて舌に巻き付き、その根元から先端まで、包み込んで扱くように往復したり。
舌裏や、唇の裏や、薄く鋭敏な粘膜に沿って這い回って、くすぐったさと寒気とが混ざったような感覚を、延々と背筋へ送り込んだり。
口唇の快楽を教え込む手練手管は、薬液がすっかり体内に浸透してしまってからも暫く──一方的に、続けられて。

「……ん、美味し。……それじゃ君の〝おねだり〟通り、拘束を外してあげようねぇ……。
 だいじょうぶ、だいじょうぶだよ? きっと君も、君の薬を飲んだ子達と同じように……私のことが大好きになるから」

ずるぅっ……と引き抜かれた触手は、女の喉奥へと這い戻っていって、一筋繋がった銀糸の橋がぷっつりと切れる。
そうしてようやく四肢を拘束するベルトが外されて、開放感はあるだろう。……だが、ろくに手足は動かせないだろう。
だから、貴女を椅子から解放するものは他でもない、陵辱者の女自身だ。
女は貴女を抱え上げ──これまで死角であっただろう──床に敷かれた分厚いマットに降ろす。
裕福な貴族の寝台のような上質の寝心地、真新しいシーツの感触。手の込んだ用意はきっと、この女ひとりで行ったものではないのだろう。

レイリエ > 唯の口移しとは異なり、エルフの女の体内へと流し込まれても尚、相手の中から湧き出る様に注ぎ足されてゆく薬液。
その不思議な現象に淡い緑色の瞳を瞠目させながら、しかしその身体からは次第に抵抗の力が抜け落ちてゆく。

「―――……ん………んぅっ………、ふ………。」

重ねられた唇から零れ落ちるのは、くぐもった声と苦しげな吐息。
するりと唇を割りながら入り込んで来る舌に似た、しかし明らかに異質な何かがエルフの女の舌を絡め取り、
咥内の粘膜を擦り立てながら思うが侭に這い回ってゆく感触の、得体の知れない悍ましさにぞくりと背筋を震わせる。

「………ぁ………待っ、て………止めて………放して、ください………ッ!」

長い時間を掛けて漸くその唇が解放されると同時、外されてゆく手足の拘束。
しかし立ち上がって逃げ出す事は到底叶わず、立ち上がろうと試みた身体はくたりと崩れ落ちる前に女性の腕に抱え上げられる。

その腕の中でもがくエルフの女の動きは弱々しく、細身のその身体には大き過ぎる程の寝台の上へと横たえられてゆく。
さらりと零れ落ちる長い金の髪を白いシーツの上に散らし、意思の光を宿した侭の淡い緑色の瞳は目の前の女性を映した侭、
その色彩はこれから己の身に降り掛かるであろう出来事への不安と恐怖に揺らいでいた―――

レイリエ > 【部屋移動致します】
ご案内:「何処かの部屋」からレイリエさんが去りました。
ご案内:「何処かの部屋」からレイン・レジネスさんが去りました。