2023/08/22 のログ
ご案内:「魔の国辺境」にルージェさんが現れました。
ルージェ > ───魔の国とされる領域。その辺獄。
光を厭う森は、常に夜に支配されている。

森の奥深くに城館を抱いたその森は、誰であろうと侵入者を阻むように茨を絡ませ爪を立てる。

その中を、何にも阻まれずに歩むことができるのは森の主であり虜囚である女に他ならない。

『夜』の中であれば十全にその身は躍る。

その森は女の揺籃であり、棺。

世界が夜に沈むなら、その領土は広がるが──今はまだ陽光が楔としてその身を縛るのだから。

のこった『夜』の中で微睡むのが相応。

ルージェ > 気まぐれな爪先が選んだのは、館の中庭。
シンメトリックに配されたトピアリーが林立する、寒々しい月の光が照らす夜の庭。

月明かりが照らす頬もまた白く、艶を帯びる黒髪が挙措に揺れた。
馥郁と香る夏薔薇の香りがほのかに漂う中。白く細い指先が、露を含んだ薔薇の咲き初めたのを愛でる。
──愛でる端から、艶やかだった花弁が色を無くして萎れてゆくのを、血色のような眼差しに映してうそりと笑んだ。

戯れに、くすんだ色の花びらを散らす。
パ、と砕けた様に花がその容を無くしてゆくのに暫し興じて───、それにも厭いたようにまたそぞろな散策を再開し。

退屈、というほど静寂に倦んでもいないが。静けきを崩す何かが訪うのならば、それもまた否はない、か?
等と自問自答を繰りつつ衣擦れの音を供に、静寂に小さな波紋を広げていった。

ルージェ > ───気まぐれに、何かを見つけたのか、琴線に触れたのか。
僅かに浮かべた笑みが月明かりに照らされる。
瞬く合間に、その身は影へと融けて───

ご案内:「魔の国辺境」からルージェさんが去りました。