2023/08/20 のログ
■カジャ > 暑苦しく寝苦しい夜に聞く一夜の怪談話である。
平民も貴族も学院生も冒険者も好きな噂話である。
そしてそれは噂でも怪談話でもなく実在する『何か』である。
誰かが歩いている最中に消えたとか、誰かが曲がり角をまがったらいなくなっていたとか、誰もが聞いた事があるけども、誰かが発信源かわからぬお話が現実となった場所。
王都マグメール平民地区にある路地と思しき場所。
時間にして深夜か空を見上げても星も月もない。
路地を照らすのは時々明滅する街灯だけである。
そんな場所にこそ呪詛の塊は群れ集う。
人間の負が溜まり淀む格好の餌場である。
ガサリ、ガサリ、と風の音すらもない怪しげな路地に響く何かが這って進む音、硬い何かが地面を削りながら彷徨う音、それは一見して存在を確認できないが、目を凝らせば路地の地面に壁に怪しげな揺らぎが見えるだろう。
そこにはカジャがいた。
今宵は甲殻を持ち触手の尾をもつ不気味な蟲の姿をした呪詛の塊が存在した。
それはこの路地を餌場とし獲物が迷い込むのをまっている。
おぞましく不気味でどこか淫らな姿をした蟲、今宵はその餌場に迷う混んでしまう不幸な者が現れるだろうか?
■カジャ > 何事も起きなければ、ただの噂話である。
そう何事も無ければただの夜の夢……。
ただここは実在し、カジャと呼ばれる存在も確かにあったのだ。
ご案内:「平民地区 路地?」からカジャさんが去りました。
ご案内:「迷路通り」にタン・フィールさんが現れました。
■タン・フィール > 王都の一角……商店街や住宅街などが連なる表通りたる、広い道から裏路地へと通ると、
一部の住民からは「迷路通り」と呼ばれる、複雑に入り組んだ区画へと繋がる。
王都で薬草や薬の素材となる様々なものを買い終えた、小さな薬師の幼子は、
このあたりにも穴場となる店や素材屋などはないものかと好奇心にかられ、自ら足を踏み入れる。
しかし、高い壁、似通った屋根…迷路通りの名前に負けぬ入り組み方の路地は、
瞬く間に小さな子を巻き込み、もう戻ろうとしても簡単には元の路地には出られない。
「ぉ、おおーーーっ…これが、うわさの迷路通り……っ…
…ええと、こっちから来たから……あ、あれ…?あれ…?」
いよいよ迷子になりきる前に、来た道を戻れば良いとタカをくくっていた幼子は、
迷いの森や、迷わしの妖精の術に化かされているかのように、面白いように戻るべき道の選択を誤り続け、
どんどんと奥深くの迷路…否、迷宮じみた、暗く狭い路地へ進んでいってしまう。