2025/03/05 のログ
ご案内:「領内僻地・泉の湧き場」にドルエンムさんが現れました。
■ドルエンム > 領地にある水の湧き場所。周囲は丈の低い叢が茂り、その地面に細い水の道がいくつか流れ、川の本流と合流することで大いなる水の恵みの一部となっている。
その湧き場所に男が訪れた理由はいくつかあった。
上半身に浮かぶのは僅かな傷だ。その周辺は赤黒く染まり、傷の表面にこそ皮が張っているが周辺の色合いが深刻さを物語っている。
「ここに来るのは久方ぶりか。
力を借りるぞ泉の精霊」
泉の湧き場所の直径は狭い。そして底はそこまで深くもない。
つまりは風呂を連想させるような作りをしている泉だ。
そしてそこに男は腰まで浸かると――そのまま泉の底に尻を落とし。周辺に泉の水をぶちまけながら傷を泉の水で清めていく。
長年自身の退魔の力を泉の奥底に存在する輝石に封じ込めた結果。
そこから湧き出る水そのものにこういった毒や呪詛の類への効果を発揮する回復地点となっているのだった。
■ドルエンム > 泉の浄化の力といえど傷を治癒するようなものではなく、あくまで解毒と解呪に特化した効能だ。
イメージとしては変色している、変質している部分に泉の水が触れると水の中に含まれている退魔の力が皮膚を通して浸透し、内部の呪詛や毒に犯された『非日常』をもたらす箇所を破壊して、新たに皮膚や筋肉の再生を自己治癒能力やほかの回復魔法で癒していく、と言う物。
少しずつ赤黒かった箇所が黒の色素が抜けて赤く。
赤かった皮膚は次第に色が抜かれ元の肌色に変わってゆく、のだが。
「ぐぅぅぅ―――………。」
傷に苦しむ猛獣の様に唸り、歯を食いしばる男。
あくまで、この泉は非日常部分を『破壊』するのだ。
つなるところ、皮膚の内側で自分以外の力が暴れまわっている。
針金が皮膚の下をくぐり、時に針で刺されるような激痛。
風呂でもないというのに、その顔や首筋からは汗が滴り、蒸発して水蒸気を上げるに至っている。
■ドルエンム > 「ふぅぅぉぉぉ―――………。」
食いしばる派の隙間から息が吹き抜け、その音が次第に大きく――つまりその隙間が開かれていく。流れる空気の量が増えていく事を示す。
苦悶の色合いがその表情から薄れていくと、痛みへの予兆により膨張していた筋肉がゆっくりと萎み。
その泉から立ち上がると皮膚の色はすっかりと元通りに。
呪詛の気配はキレイさっぱりと消え失せ、手足のしびれが残っていないことを確認するように水辺でゆるゆるとした動きの演武。
足を擦り、土を薙ぎ腰を捻り二の腕ではなく肘から力w込めるかのような突きを一つ。
空気を割いて離れた叢をそよがせる程度には拳圧がすでに戻り、もう少しすれば普段通りに戻れるだろう。
そうすれば――。
「く、ふふ。待っていろよ……。」
その声は誰に向けたものか。
この傷を負わせた相手への物か。それとも異なる相手にか。
誰に聞かれるでもない独り言をつぶやいた後でその場を後にしていった。
ご案内:「領内僻地・泉の湧き場」からドルエンムさんが去りました。