2025/02/05 のログ
■ヴィロサ > 戦争で命を落とす覚悟を決める兵士は無数にいる。
だが、死よりも恐ろしい地獄に生きたまま囚われ続ける覚悟のある者はどれだけ居ただろうか。
今日も一人、また一人と幸運にも命拾いしたはずの者が魔族の手中に落ちていく。
冷たく暗い檻の中で、更なる敵を引き寄せる生餌として、あるいは玩具として生かさず殺さずの時を過ごす。
「ご苦労なことだな。無能の為だけにこうして捕らわれにきたか」
部下たちに乱暴な仕打ちを受けたのか、戦場を駆け抜けていた勇ましさはすっかり鳴りを潜めた騎士に邪悪な笑みを向ける。
王国軍の将の一人を捕縛したところ、一部の軍が死に物狂いでしつこく救出を試みる。
スパイの情報によれば、なんでも偉い者のお気に入りらしい。
身分が低いながらも、敵でありながら認めざるを得ない強者たちは勇敢な死と諦められるのに随分な扱いの差だ。
「生きてるのか だと?フン、自分の心配を先にしたらどうだ。
わたしは命を懸けて戦う奴等には優しいからな。態度次第では殺さずにいてやるぞ」
口答えする捕虜の頭をぐりぐりと具足を履いたままの脚で踏みつけ、サディスティックに笑う。
魔族は邪悪なれどその在り方も多種多様だ。
人間などまるで興味を抱かず容易く殺してしまう者もいれば、彼女のように独自の遊び方を見出す者もいる。
その悪趣味ぶりは、収容所のあちこちから聞こえる卑猥な音や激しい吐息から想像は容易いかもしれない。
ご案内:「捕虜収容所」からヴィロサさんが去りました。