2025/01/26 のログ
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ご案内:「セレネルの海 海賊海廊」に八蛟さんが現れました。
八蛟 >  
 出会いは、奴隷都市バフート

 鬼はこの地獄のような光景を気に入っていた
 河原で積み上げる石積と童よりも悲惨で、仕事をやらせる為の大量の奴隷もいれば
 造りがよければまんま肉孔として男も女も使われる。
 特に耳付や肌が黒い者が多いか。

 そんな地獄 鬼の肉体 身幅 逞しさ 背中の彫り皮
 何かを望んで何かを欲した者らとの殺し合いに興じたところで目に留まった商船の主
 値切りも恩着せがましくもせず、言いたいことを言って時間と力を買いたいと述べたそれ
 鬼はまどろっこしいことを抜きにして、太い鬼歯を見せる笑みで受け入れた結果。
 それは以下のようになった。


   「―――(ごぎゅっごぎゅっずぞぞ、ぞぉ) ぶ、はぁっ。」


 船の上 此処はセレネルの海
 商船を狙うのであれば、それはしつこく、ずるく、また強くなければいけない。
 船の在り方もマチマチだ。
 大型の逞しい船 小型の早き船 果物売りのフリをした、ただの小船使いが乗り込もうと売りをかけている。
 鬼が及ばれしたのは、まさに大型の逞しい船の上だった。

 手にする八角の象り 八角の面 八角の鋲
 その鉄塊棍を右手に、頭が首上から破砕される場面、武器事叩き潰され、床が割れる光景
 カトラスや単発銃では断つも穿つも、筋肉が止めてしまう。
 辺りには形を変えた海の賊が転がり、船上からすらずれ落ちて下へいく。

 鬼は樽を軽々と片手でつかみ、掌いっぱいにスジを浮かべて広げた五指
 それが樽を支えるように指先で圧をかけていた。
 中に満ちているのは赤いラム。
 甘ったるい香りがする黍酒は、鬼が好むには海に寄り過ぎている。
 しかし、度数は申し分なく先ほどから波揺れで口に入る塩辛い海のせいで、酒が恋しくなっていたところだった。


   「あんまし上等じゃあないねェ まぁこれから襲おうってんだ
    望めもしないかい クハハハッ!」


 酒の味にケチをつけ、金色の髪と赤熊羽織に包まれた姿
 賊も乗り込まれている以上引けずにいる。
 海に落とすか戻ってくれなきゃ、撤退も糞もないのだ。

ご案内:「セレネルの海 海賊海廊」から八蛟さんが去りました。