2024/10/12 のログ
ご案内:「薬師のテント」からジーゴさんが去りました。
ご案内:「薬師のテント」からタン・フィールさんが去りました。
ご案内:「平民地区 路地裏」にラヴィニアさんが現れました。
ラヴィニア > 王都マグメール平民地区路。
夜も更けてもなお賑やかな大通りより一つ脇にそれた路地裏。
人々の生活の明かりが辛うじて射し込む薄暗い路地に人影がぽつりと。

ずる、ずる、ずる、ずる、ずる

食事に向かう家族の声や冒険帰りの冒険者たちの声、長い長い夜を楽しみにしている恋人たちの声、賑やかな声が響く通りとは違い、人気のない路地裏には何かを引き摺るような音が人々の声の代わりに静かに響く。

音をたどればそこには1匹の魔物。
昨夜は貧民地区をうろうろとしていた魔物が今は人の気配の近くに平民地区のその路地裏をさ迷い歩いている。

ぼろぼろで穴だらけのフードを顔の半分が隠れるより深くかぶり、青白い肌が露出しないようにぼろぼろのローブでしっかりを身を包んで、なるべく人でないことを周囲に見られないようにしている。

何せ王都に入り込むために純粋な力と魔力を人並みに落とし、その分姿かたちを人になるように擬態に力を注いでいる今は衛兵や冒険者に正体を見破られたら絶対に勝てない。
チャンスがあるとすれば搦め手であるが、それも残念なことに瞬時に浮かぶような知性は人間に擬態した副作用でなくなっていて、下手をすればしなくても貧民地区にいるストリートチルドレンの少年少女と変わらぬ力しかもっていない。

ゆえに王都に来た目的がすっかりと頭の中から抜け落ちたまま、生存するために活動をしているのが現状であった。

とはいえ、『冒険者ギルド』というは単語が、本当にかろうじてであるが、記憶の片隅に残っている、それが何を指すかはさっぱりとわからないのだが。

……なお、この引きずる音は先ほどまで寝るのに使っていた来ているローブに負けないほどのぼろぼろの布を引きずってあるく音である。

ラヴィニア > 「…………ぼ、う、けん、しゃギ…る……ど。」

頭の中に浮かんだ言葉をカサカサと乾いてしまった小さな唇で歌うように紡ぎあげると、がくんっ、と大げさな程に首を傾げると、頭部が揺れてバサとフードが剥がれそうに。

慌てて、慌ててはいるが酷く緩慢な動作で、指先すらでないローブの長い裾を払うことなく、袖の布越しにフードをつかむと左右にぐいぐいと引っ張って、最後に前にぐぃと引っ張る事で顔が露出しないように調節する。

ひたひたと歩いている平民地区の路地。
気が付けば先ほどまで引きずっていた布を落としてしまい、両手はすっかり手持無沙汰、ぐぱぐぱと握って開いて握って開いてと手を動かしながら、あてどなく歩き続ける。

頭の中に浮かんだ単語『冒険者ギルド』は建物である事くらいは思い出せても、肝心の場所がわからない。

そもそも王都に冒険者ギルドはいくつもある。

それでも、頭に浮かぶ単語はその一つ。
あとは……あとはひどくおなかがすいた。